カラパイア:現在の光を過去の光に干渉させることに成功。二重スリット実験を応用 2023年04月09日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52321674.html

イギリスの研究チームは、光をそれ自身の”過去”にぶつけることに成功したそうだ。
粒子と波の性質をあわせ持つ光は、板に開けられた2つのスリットを通過すると、波のように進路を変えて、互いにぶつかり合うという。
英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、この有名な「二重スリット実験」を時間で区切られた「二重タイムスリット」にアレンジし、光の振る舞いを観察してみた。
すると光は過去の光と干渉し、周波数が変わることが確認されたのである。
1801年、イギリスの科学者トーマス・ヤングは、物理学史にその名を刻むあの有名な「二重スリット実験」を行った。
2つのスリットが開けられた板に光を照射すると、光はスリットを通過してから進行方向を変えて互いにぶつかり合い、スリット板の向こうのスクリーンに干渉が起きたことを示す模様を残す。
これによって、光には「粒子としての性質」があると同時に、「波としての性質」があることが判明した。
つまり、光は坂道を転がるビー玉のようでありながら、池に石を投げたときに広がる波紋のようでもあることがわかったのだ。
その後、同様の実験によって、この奇妙な光子の性質は、電子・中性子・原子にもあることが確認されている。
つまり二重スリット実験は、量子物理学の核心である「確率に基づく理論」の礎となったのである。
二重タイムスリット実験の様子 / image credit:Thomas Angus/Imperial College London
今回、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、それを現代風にアレンジしている。
https://karapaia.com/archives/52321674.html

イギリスの研究チームは、光をそれ自身の”過去”にぶつけることに成功したそうだ。
粒子と波の性質をあわせ持つ光は、板に開けられた2つのスリットを通過すると、波のように進路を変えて、互いにぶつかり合うという。
英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、この有名な「二重スリット実験」を時間で区切られた「二重タイムスリット」にアレンジし、光の振る舞いを観察してみた。
すると光は過去の光と干渉し、周波数が変わることが確認されたのである。
二重スリット実験とは?
1801年、イギリスの科学者トーマス・ヤングは、物理学史にその名を刻むあの有名な「二重スリット実験」を行った。2つのスリットが開けられた板に光を照射すると、光はスリットを通過してから進行方向を変えて互いにぶつかり合い、スリット板の向こうのスクリーンに干渉が起きたことを示す模様を残す。

photo by iStock
これによって、光には「粒子としての性質」があると同時に、「波としての性質」があることが判明した。
つまり、光は坂道を転がるビー玉のようでありながら、池に石を投げたときに広がる波紋のようでもあることがわかったのだ。
その後、同様の実験によって、この奇妙な光子の性質は、電子・中性子・原子にもあることが確認されている。
つまり二重スリット実験は、量子物理学の核心である「確率に基づく理論」の礎となったのである。

時間で隔てた二重タイムスリット実験
今回、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、それを現代風にアレンジしている。 二重スリット実験の場合、板に並んで開けられた1対のスリットは、いわば”空間”で隔てられている。
それを”時間”で隔てられた1対の「タイムスリット」に変えてみるのだ。もしこれで干渉が起きるのなら、光は「過去と自分自身」と干渉していることになる。
そのために利用されたのが、スマホの画面に使われている「酸化インジウムスズ」だ。この物質は、自然界ではあり得ない性能を発揮するために「メタマテリアル」と呼ばれている。
具体的には、フェムト秒(1000兆分の1秒)単位という一瞬にも満たない超短時間で、反射率を変化させることができるのだ。
今回の実験では、レーザーを酸化インジウムスズに照射して、その反射を電光石火でオン・オフさせた。
オンのとき、それはちょうど鏡のようで、光が波のように曲がったり広がったりする様子(回析)を観察することができる。
この光を反射する一瞬の状態が、時間で隔てられたいわばタイムスリットとして機能するのだ。
そしてこの二重タイムスリット実験では、「光の周波数が変わり、ある色は強調され、また別のある色は打ち消される」という特徴的なパターンが確認されている。
これは光の波が干渉しあって、強まったり弱まったりする従来の二重スリット実験と同じような結果だ。
研究チームによると、今回の二重タイムスリット実験は、光パルスの時間構造を解明するまったく新しい方法として応用できる可能性があるという。
また意外なことに、タイムスリットが想像以上に速く開くことも判明している。つまり酸化インジウムスズは、これまで考えられていより10~100倍速くその性質を変化させられるということだ。
このような超高速で光に反応するメタマテリアルは、新しい技術の開発につながるだけでなく、量子物理学やブラックホールのような巨大な現象の謎の解明にも役立つと期待されるそうだ。
この研究は『Nature Physics』(2023年4月3日付)に掲載された。
References:New Spin on Famous Physics Experiment Shows Light Interfering With Its Own Past / Physicists Created 'Slits in Time' and Discovered 'Unexpected Physics' in Experiment / written by hiroching / edited by / parumo
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貼り付け終わり、
それを”時間”で隔てられた1対の「タイムスリット」に変えてみるのだ。もしこれで干渉が起きるのなら、光は「過去と自分自身」と干渉していることになる。
そのために利用されたのが、スマホの画面に使われている「酸化インジウムスズ」だ。この物質は、自然界ではあり得ない性能を発揮するために「メタマテリアル」と呼ばれている。
具体的には、フェムト秒(1000兆分の1秒)単位という一瞬にも満たない超短時間で、反射率を変化させることができるのだ。

photo by iStock
今回の実験では、レーザーを酸化インジウムスズに照射して、その反射を電光石火でオン・オフさせた。
オンのとき、それはちょうど鏡のようで、光が波のように曲がったり広がったりする様子(回析)を観察することができる。
この光を反射する一瞬の状態が、時間で隔てられたいわばタイムスリットとして機能するのだ。
そしてこの二重タイムスリット実験では、「光の周波数が変わり、ある色は強調され、また別のある色は打ち消される」という特徴的なパターンが確認されている。
これは光の波が干渉しあって、強まったり弱まったりする従来の二重スリット実験と同じような結果だ。

photo by Pixabay
新技術開発や物理学の発展に期待
研究チームによると、今回の二重タイムスリット実験は、光パルスの時間構造を解明するまったく新しい方法として応用できる可能性があるという。また意外なことに、タイムスリットが想像以上に速く開くことも判明している。つまり酸化インジウムスズは、これまで考えられていより10~100倍速くその性質を変化させられるということだ。
このような超高速で光に反応するメタマテリアルは、新しい技術の開発につながるだけでなく、量子物理学やブラックホールのような巨大な現象の謎の解明にも役立つと期待されるそうだ。
この研究は『Nature Physics』(2023年4月3日付)に掲載された。
References:New Spin on Famous Physics Experiment Shows Light Interfering With Its Own Past / Physicists Created 'Slits in Time' and Discovered 'Unexpected Physics' in Experiment / written by hiroching / edited by / parumo
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