カラパイア:世界で最も有毒なキノコがアメリカで大増殖、カリフォルニア州を制圧 2023年02月23日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52320444.html

「世界で最も有毒なキノコ」としてギネスブックにも掲載されている「タマゴテングタケ」が、米カリフォルニア州で大量増殖し猛威を振るっている。
ヨーロッパが原産だと考えられているタマゴテングタケだが、このキノコは一体どうやって海の向こうの土地を征服することができたのか?
新たな研究によると、タマゴテングタケは猛毒であるだけでなく、「無性生殖」で自分自身をコピーし、クローン軍団を作ることで新しい土地を制圧しているようなのだ。
ヨーロッパに多く自生する「タマゴテングタケ(学名 Amanita phalloides)」は、一見地味でおとなしそうだが、絶対食べてはいけないヤバいヤツだ。
その強力な毒から、ドクツルタケやシロタマゴテングタケとともに「猛毒キノコ御三家」に数えられ、「最も有毒なキノコ」としてギネスに載ったり、古くはローマ教皇クレメンス7世の命を奪ったりと、危険なエピソードに事欠かない。
日本では北海道で発見されることがあるが、本州以南の地域では見つかることは今のところ稀だそうだ。
タマゴテングタケのタチの悪いところは、その毒素が遅効性で、じわじわと、しかし確実に命をトりにくるところだ。
その毒素成分の1つ「α-アマニチン」を口にしても、最初は何の変化もない。だが体内では腸から肝臓に侵入し、そこで新しいタンパク質を作るための酵素をダメにして、少しずつ人体を蝕み続ける。
すると肝臓や腎臓の細胞が死に始め、24時間もする頃にはコレラのような吐き気や下痢に苦しむことになる。臓器の機能は急激に低下し、最後は危険なキノコをうかつに食べた愚か者の命を奪う。
今のところ解毒剤は存在しないので、対症療法でどうにか命をつなぎ留めるよりない。
そんなタマゴテングタケは英名を「デス・キャップ(死のカサ)」といい、19世紀末頃にヨーロッパからアメリカ大陸へ持ち込まれたと考えられている。
本来このキノコは、ヨーロッパナラの木の根に寄生して生きる「外生菌」だ。
そこから養分をもらう代わりに、水や栄養を探す手伝いをしたり、近くの木が発する化学信号をキャッチするなど、共生関係を築いている。
だからおそらくはタマゴテングタケの胞子が付着した木がアメリカに輸入されたことで、北米大陸に渡ったのだろう。
1938年には、カリフォルニア州にあったとある有名リゾートホテルの観葉植物の根から生えているところが目撃された。
それからマツやブナといった木々にどんどんと広まり、原産地であるヨーロッパよりもカリフォルニアの方がよく見られるようになってしまった。
だがいくら猛毒キノコとはいえ、見知らぬ土地でそう簡単に勢力を広めることができるものなのだろうか?
これまでタマゴテングタケがカリフォルニアを制圧した方法はわかっていなかったが、新たなる研究によると、どうやらそれはクローン軍団を編成した結果であるらしい。
DNA配列の分析から、ヨーロッパのタマゴテングタケが「有性生殖」で増えることなら確認されていた。
ところが、ウィスコンシン大学マディソン校をはじめとする研究チームが、カリフォルニアのタマゴテングタケの遺伝子を調べてみたところ、「無性生殖」すなわち自分自身のコピーを作って増えていたことが明らかになったのだ。
カリフォルニアのキノコはどれもまったく同じ遺伝子を持っており、異性のパートナーがいなくても17~30年は増殖できるようなのだ。
このことから研究チームは、タマゴテングタケは新しい環境にやってくると無性生殖に切り替え、クローン軍団で制圧してから元の有性生殖に戻るのではとの仮説を立てている。
しかしこの新発見からは、新たな疑問も浮かび上がってくる。
というのもニュージャージー州とニューヨーク州に生えてたタマゴテングタケには、無性生殖で増えた形跡がなかったのだ。
もしかしたら、クローン軍団を作るには、時期や環境といった何らかの条件があるのかもしれない。
またこうしたコピー能力が、タマゴテングタケならではの特殊能力なのか、侵入種キノコに一般的なものなのかも気になるところだ。
その謎はキノコの専門家たちがいずれ解明してくれることだろう。差し当たり私たちは、安全な食用キノコを美味しくいただきながら、続報を待つことにしよう。
この研究の未査読版は、現在『bioXiv』(2023年1月31日投稿)で閲覧できる。
追記:(2023/02/23)本文を一部訂正して再送します。
References:World's deadliest mushroom conquered California with a clone army, study reveals | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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貼り付け終わり
https://karapaia.com/archives/52320444.html

「世界で最も有毒なキノコ」としてギネスブックにも掲載されている「タマゴテングタケ」が、米カリフォルニア州で大量増殖し猛威を振るっている。
ヨーロッパが原産だと考えられているタマゴテングタケだが、このキノコは一体どうやって海の向こうの土地を征服することができたのか?
新たな研究によると、タマゴテングタケは猛毒であるだけでなく、「無性生殖」で自分自身をコピーし、クローン軍団を作ることで新しい土地を制圧しているようなのだ。
世界最凶の猛毒キノコ「タマゴテングダケ」
ヨーロッパに多く自生する「タマゴテングタケ(学名 Amanita phalloides)」は、一見地味でおとなしそうだが、絶対食べてはいけないヤバいヤツだ。その強力な毒から、ドクツルタケやシロタマゴテングタケとともに「猛毒キノコ御三家」に数えられ、「最も有毒なキノコ」としてギネスに載ったり、古くはローマ教皇クレメンス7世の命を奪ったりと、危険なエピソードに事欠かない。
日本では北海道で発見されることがあるが、本州以南の地域では見つかることは今のところ稀だそうだ。

photo by iStock
タマゴテングタケのタチの悪いところは、その毒素が遅効性で、じわじわと、しかし確実に命をトりにくるところだ。
その毒素成分の1つ「α-アマニチン」を口にしても、最初は何の変化もない。だが体内では腸から肝臓に侵入し、そこで新しいタンパク質を作るための酵素をダメにして、少しずつ人体を蝕み続ける。
すると肝臓や腎臓の細胞が死に始め、24時間もする頃にはコレラのような吐き気や下痢に苦しむことになる。臓器の機能は急激に低下し、最後は危険なキノコをうかつに食べた愚か者の命を奪う。
今のところ解毒剤は存在しないので、対症療法でどうにか命をつなぎ留めるよりない。

photo by iStock
タマゴテングダケはどうやってカリフォルニアを制圧したのか?
そんなタマゴテングタケは英名を「デス・キャップ(死のカサ)」といい、19世紀末頃にヨーロッパからアメリカ大陸へ持ち込まれたと考えられている。本来このキノコは、ヨーロッパナラの木の根に寄生して生きる「外生菌」だ。
そこから養分をもらう代わりに、水や栄養を探す手伝いをしたり、近くの木が発する化学信号をキャッチするなど、共生関係を築いている。
だからおそらくはタマゴテングタケの胞子が付着した木がアメリカに輸入されたことで、北米大陸に渡ったのだろう。
1938年には、カリフォルニア州にあったとある有名リゾートホテルの観葉植物の根から生えているところが目撃された。
それからマツやブナといった木々にどんどんと広まり、原産地であるヨーロッパよりもカリフォルニアの方がよく見られるようになってしまった。
だがいくら猛毒キノコとはいえ、見知らぬ土地でそう簡単に勢力を広めることができるものなのだろうか?

photo by iStock
無性生殖で自己増殖しクローン軍団を編成
これまでタマゴテングタケがカリフォルニアを制圧した方法はわかっていなかったが、新たなる研究によると、どうやらそれはクローン軍団を編成した結果であるらしい。DNA配列の分析から、ヨーロッパのタマゴテングタケが「有性生殖」で増えることなら確認されていた。
ところが、ウィスコンシン大学マディソン校をはじめとする研究チームが、カリフォルニアのタマゴテングタケの遺伝子を調べてみたところ、「無性生殖」すなわち自分自身のコピーを作って増えていたことが明らかになったのだ。
カリフォルニアのキノコはどれもまったく同じ遺伝子を持っており、異性のパートナーがいなくても17~30年は増殖できるようなのだ。
このことから研究チームは、タマゴテングタケは新しい環境にやってくると無性生殖に切り替え、クローン軍団で制圧してから元の有性生殖に戻るのではとの仮説を立てている。
しかしこの新発見からは、新たな疑問も浮かび上がってくる。
というのもニュージャージー州とニューヨーク州に生えてたタマゴテングタケには、無性生殖で増えた形跡がなかったのだ。
もしかしたら、クローン軍団を作るには、時期や環境といった何らかの条件があるのかもしれない。
またこうしたコピー能力が、タマゴテングタケならではの特殊能力なのか、侵入種キノコに一般的なものなのかも気になるところだ。
その謎はキノコの専門家たちがいずれ解明してくれることだろう。差し当たり私たちは、安全な食用キノコを美味しくいただきながら、続報を待つことにしよう。
この研究の未査読版は、現在『bioXiv』(2023年1月31日投稿)で閲覧できる。
追記:(2023/02/23)本文を一部訂正して再送します。
References:World's deadliest mushroom conquered California with a clone army, study reveals | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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