マネーボイス:韓国を没落させる「敵か味方か」の二分法的思考。妥協は論外、国民の4割が反対派とは食事も結婚もせず=勝又壽良氏2023年1月31日より転載します。
 
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韓国社会をウォッチして気づくことは、敵味方の「二分法」で物事を見ていることだ。具体的に言えば、右派と左派の対立である。この背景が複雑であり、解決案のないことが、韓国には大きな難題になっている。究極的には「朝鮮文化」の問題に突き当たる。(『 勝又壽良の経済時評 』勝又壽良)

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プロフィール:勝又壽良氏(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

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「敵か味方か」で物事を見る韓国社会

韓国社会をウォッチして気づくことは、敵味方の「二分法」で物事を見ていることだ。具体的に言えば、右派と左派の対立である。

現在の韓国政治は、右派と左派が水と油の関係であり、絶対に相手の存在を認めようとしない点で特異な関係にある。左派系メディアは飽きもせずに、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と夫人について非難攻撃を続けている。公的メディアが、人身攻撃に似た記事を報じて恥ずかしくないのか、と首を傾げるほどだ。

こういう記事を好む読者がいるから報じるのであろうが、「二分法」は韓国社会の発展を大きく阻害していることに気づくべきだろう。

韓国では、「二分法」について「陣営の論理」という言葉を使って批判している。文在寅(ムンジェイン)氏が大統領に就任後、この「陣営の論理」ですべて割り切られ実践された。文政権は、自らの支持層の利益を実現することに眼目が置かれたのである。

代表的なものは、最低賃金の大幅引き上げ(労組向け)と、脱原発による太陽光発電推進(市民団体向け)である。韓国は、地形的に太陽光発電適地が少なく、山を切り崩して太陽光発電を行なって自然災害を多発させた。結局、脱原発を中止するほかなかった。

前記2つの政策失敗が、雇用構造破壊と韓国電力に多額の赤字をもたらし資金調達に苦しむなど、後遺症を残しただけだった。

「二分法」が示唆する危険性

「二分法」が、いかに社会一般を混乱させるかという研究がある。これは、韓国を直接の研究対象にしたものでないが、そのまま当てはまる点で極めて有益である。最後に取り上げることにしたい。

先ず、韓国が「二分法」や「陣営の論理」という凝り固まった物の考え方に執着してきたのは、韓国が朝鮮半島という地勢的な影響を無視することはできない。半島は、下記の2つの分類からはみ出ている点をまず記憶に止めて頂きたい。

一般的に「大陸型」と「海洋型」という2つの考え方が指摘されている。一口に言えば、「大陸型」は閉鎖的と指摘される。「海洋型」は開放的とされる。

大陸型の典型は欧州である。海洋型は、米国、英国、日本がその典型例とされる。日本が現在、安全保障で米英と共同歩調を取っているのは、文化的背景に通じ合う部分があることも影響している。

韓国は、半島ゆえに「大陸型」とも異なり、大陸型の閉鎖性がより凝縮していることだ。もっとはっきり言えば常に、世界の変化をダイレクトに肌で感じない「時間の遅れ」を伴っている。

これは、韓国を非難するために言っていることではない。100年以上も過去の日韓併合を、あたかも昨日まで続いていたかのように論じて日本を批判する。この精神構造の裏には、「閉鎖性の凝縮」がテコになっているはずだ。

同時に、朝鮮民族は日本民族よりいかに優れていたかという「誇大型特権意識」が働いている。これが、「二分法」での大きな特色だ。

韓国国内では、この誇大型特権意識がぶつかり合っている。右派と左派が、妥協なき争いを続けている裏には、対立する相手を敵視するまことに悲劇的な事態を生んでいる。相手を敵視する結果、妥協は生まれない。政治は妥協の産物とされる。反対派の意見を入れれば、妥協は当然のプロセスになるのだ。

Next: 妥協せず「多数決」で一蹴する韓国政治。反対派とは食事も結婚もせず

妥協せず「多数決」で一蹴する韓国政治

韓国政治には、ほとんど妥協がなく「多数決」で一蹴している。「多数決」だけが民主主義という信念である。

妥協のない多数決は、数の横暴になる。文政権は、この乱発によって左派政権の永続性を狙っていた。右派(保守派)政権に左派政権の恥部を捜査させないとして、検察捜査の骨抜きまで行なったのだ。驚くべきことを行なった政権である。これが、韓国政治の偽らざる実情である。

韓国世論には、こうした「多数決」で押し切る政治を容認する政治風土がある。

右派は右派政権を、左派は左派政権を絶対的に支持するというものだ。中間派が、時の情勢で右派か左派かを選択する構造であり、これが政権交代の行方を決めている。両派は、ほぼ互角の支持率である。

反対派とは食事・結婚タブー

論より証拠である。『朝鮮日報』(1月20日付)が、韓国社会の政治意識を世論調査したところ、「二分法」そのものの実態が見事に浮き彫りとなった。

それによると、韓国国民の10人中4人が、政治的傾向の異なる人とは食事・酒席を共にできないと感じていることが判明した。政治的傾向が違うと本人や子どもの結婚にとって不都合、という回答も43%に達したのだ。

欧米では、食事・酒席において政治や宗教の話がタブーとされている。「市民意識」が徹底しているので、プライバシーに関わることを話題にしないのだ。

韓国では、食事・酒席で自分の政治信条を明らかにしているのであろう。意見が対立した場合、甲論乙駁で収拾が付かなくなり暴力沙汰にもなりかねない。これでは、気まずい思いをさせられるから、気心の知れない相手とは酒席を共にしないという選択になるのだろう。

今回の世論調査では、「政治的立場が違う人は国家的利益に無関心だ」という回答が、「国民の力」(与党)「共に民主党」(最大野党)支持者いずれも67%に達したことに注目しなければなるまい。互いに相手を「国の役に立たない人間」だと非難しているのである。これは明らかに共同体の危機と言えるだろう。相手を絶滅させるために、「あしき、醜い存在」として非難する。ここに、政治の二極化が生まれる。

左派系メディアが、連日のように尹大統領と夫人に対して、人身攻撃まがいの報道を続けているのも、前記の「あしき、醜い存在」という決め付けの象徴的な事例であろう。この左派系メディアは普段、大所高所論を滔々と論じているから不思議である。「政争問題」になるとボルテージが上がるのだ。

政治的傾向が違うと、本人や子どもの結婚が不都合、という回答が43%に達したのも驚きである。結婚問題まで政治信条が入ってくるのだ。先進国では、夫婦の支持政党が別という例がよくあること。むしろ、その方が自然であろう。思想は、個人の自由である。どの政党へ投票しようと、夫婦間で問題になることではない。韓国は、政治が感情の世界に支配されている結果であろう。

政策によって、政党への賛否が異なるはずである。それを無視して、右派は右派政党、左派が左派政党をそれぞれ支持しなければならないとは、硬直的と言うほかない。

韓国で、政治的対立が激化し妥協しないのは、先に指摘した通り政治が「感情論」の域まで達している結果だ。こうなると、滅多なことでは妥協できまい。まさに、「韓国の悲劇」である。妥協できないままに、互いに相手政党を非難して時間を空費するのだ。

Next: 簡単には見つからない解決法。滅びを告げるXデーはいつか?

滅びを告げるXデーはいつか

政治的な妥協ができずに対立し続ければ、韓国は滅びるほかない。

その1つの要因が、年金制度の崩壊である。現状のままでは、2050年までに年金財政が破綻するという危機的状況にある。文政権は、この問題について無関心を装っていた。年金財政破綻回避策といえば、年金掛け金の引き上げと年金給付時期の繰り下げしかない。

いずれも、国民には不人気な政策である。文氏は、そういう「火中の栗を拾う」冒険をしなかった。すべて次期政権へ先送りして、難問を避けたのである。

文大統領(当時)は、2018年11月、保健福祉部長官から国民年金改革案の報告を受けたが、「国民目線に合わない」と突き返した。改革案によれば、保険料率は9%から12~13%に引き上げる。年金所得代替率(現役時代の所得に対する年金比率)を35.40%(税引き後)から45~50%に引上げる内容であった。文氏の反対で、国民年金改革は水泡に帰した。国民負担になる案件を忌避したのだ。責任ある政治家の姿勢ではない。

尹政権は現在、これに取り組んでいる。具体案は出ていないが、ともかく改革して国民の老後生活を守らなければならない。だが、韓国経済の先行きは「合計特殊出生率」の急低下(21年は0.81)によって、危機的状況に追込まれている。このままでいくと、先細り経済が不可避である。

韓国国民年金財政推計委員会の予測では最近、超悲観的なものになった。現在、2,500万人の生産年齢人口(15~64歳)は、30年後には1,700万人台、50年後には1,200万人台にまで減少する。高齢化により経済の活力が失われ、経済成長率は2030年代に1%台、40年以降は0%台にまで低下し、60年以降はマイナスに転換するだけでなく、それがさらに60年以上も続くというのである。

こうして、マイナス成長が60年も続けば、「漢江の奇跡」は「漢江の没落」になってしまうと危機感が充満している。

予測を材料に、大喜びの報道が続いた。短期的予測では、過去の成長率趨勢線で見ているが、為替相場の動向で大きく変わるものだ。

糠喜びになる公算が大きいが、そういう目先の問題で一喜一憂している場合ではない。合計特殊出生率が韓国は0.81、日本は1.30(2020年)である。日韓では、これだけの差があるのだ。

韓国は、日本より先に「没落」する運命である。

簡単には見つからない解決法

冒頭に取り上げた「二分法」について取り上げたい。 早稲田大学教授の小塩真司氏らが行なった研究論文「二分法的思考が社会的適応に及ぼす影響の研究」から引用させてもらった。

これによると、二分法的思考とは「白黒をつける」「善と悪」と単純化するもので、次のような結論になる。

1. 誇大型特権意識とむすびつく
2. 外在化問題と結びつきやすい。外在化とは、攻撃的・非行的な行動に出る
3. 二分法的思考と攻撃性は、高い相関関係にある

「二分法的思考」によって、韓国社会の特色を100%説明できることに注目していただききたい。韓国は儒教社会であり特に、「韓国朱子学」という独特の流派をつくった。自分は徳を積んだので、絶対的に正しいという認識である。これによって、他人への優越感に浸るのだ。「二分法的思考」の「白黒」や「善悪」は、まさに韓国朱子学そのものであろう。

<韓国社会の特色その1. 誇大型特権意識とむすびつく>

自己が絶対的に正しいという認識は、自分は何をやっても許されるという「誇大型特権意識とむすびつく」のは自然であろう。労働組合幹部が、組合費を私的に流用しても罪悪感がないのだ。労組幹部が、北朝鮮スパイ事件にからみ現金を受け取っても、「南北統一」という逃げ道を用意している。

<韓国社会の特色その2. 外在化問題と結びつきやすい>

さらに、「外在化=攻撃的・非行的」という行動に出る。相手を批判して止まないのだ。日韓問題もその範疇である。道徳的に低い日本を懲らしめるという行動になるのだ。「少女像」を世界中に建てているのはこの表れである。韓国の自殺率が、OECD(経済協力開発機構)でワーストワンであるのは、自己が絶対的に正しいという認識を行動に移したものだろう。

Next: 韓国経済の立て直しは前途多難。二分法的思考が深く根付いている

<韓国社会の特色その3. 二分法的思考と攻撃性は、高い相関関係にある>

結論として、「二分法的思考と攻撃性は、高い相関関係にある」としている。韓国国内でも毎日のように見られる現象である。国内的には、右派と左派が日常的に非難合戦を続けているからだ。国外的には、定期便のように届く日本非難である。慰安婦問題や徴用工問題では、日本が悪逆非道の輩になっている。

このように立体的に韓国を眺めると、問題解決の糸口が簡単には見つからないことに気づく。

差し迫った問題は、韓国経済の立て直しである。合計特殊出生率が、1を大きく割込んでいる現実は、危険信号そのものである。日本は、韓国ほど悪化していないが、早急な立て直しが必要であることは言うまでもない。

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