カラパイア:冬になると風邪やインフルエンザが流行るのはなぜなのか?鼻の中の免疫力と関連性2022年12月11日より転載します。
 
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https://karapaia.com/archives/52318423.html
 
冬に風邪が流行る理由が解明

 めっきり寒くなって本格的に冬が到来した。そう、風邪やインフルエンザが流行しやすい季節がやってきたのだ。もちろん新型コロナの第8波も懸念されている。

 だが、よく考えてみると不思議ではないだろうか? ウイルスは季節を問わず、1年中いるのに、なぜ冬になると感染が増えるのだろう。

 ウイルスは低温で乾燥した状態を好むとか、寒いので室内で密な状態でいるからとか、様々な理由があげられていたが、新たな研究によると、冷たい空気そのものが、鼻の中の免疫力を低下させてしまうからだという。

 この研究結果は『The Journal of Allergy and Clinical Immunology』(2022年12月6日付)に掲載された。


鼻の中が戦いの舞台に

 鼻は体内への主要な入り口だ。だから、そこには門番がいる。ウイルスや細菌がここから侵入すると、鼻の手前の部分がそれにいち早く気づく。

 すると鼻の内側の細胞は直ちに、「細胞外小胞(extracellular vesicle)」という自分自身の簡易コピーを無数に作り始める。

 細胞外小胞は細胞そのもののように分裂することはできない。むしろ細胞のミニバージョンのようなもので、”おとり”として機能する。

 だから侵入したウイルスや細菌は細胞ではなく、細胞外小胞にくっついてしまう。

 まんまと侵入者をとらえた細胞外小胞は鼻の粘液(つまりは鼻水だ)に排出される。

 そこへ、さらに無数の細胞外小胞が群がってくる。今回の研究では、攻撃を受けているとき、鼻は細胞外小胞の生産が160%増加することもわかっている。

 ハーバード大学医学大学院のベンジャミン・ブレイア氏によれば、それは巣を蹴られて怒ったスズメバチが敵に群がるようなものであるそうだ。
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photo by iStock

 細胞外小胞はおとりとして、兵士として、外敵を撃退するために2つの武装をしている。

 1つは、たくさんの「受容体」を持っていることだ。元の細胞の最大で20倍の受容体がある。それだけウイルスが付着しやすく、これがおとりとしての能力を高めている。

 もう1つは、「マイクロRNA」というウイルスの殺し屋が備わっていることだ。これは普通の細胞にも備わっているが、細胞外小胞のマイクロRNAは13倍もいる。

 細胞外小胞は、こうした武装によって、鼻に侵入してきた病原菌を撃退し、細胞に感染することを防いでいる。

 ところが冬になると話が違ってくる。
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細胞外小胞は寒さに弱い

 ブレイア氏らは冬に感染症が増える理由を探るため、被験者に15分間4.4度の寒さに耐えてもらい、鼻の温度を計測してみた。

 その時、鼻の中の温度は12.7度下がる。そして、人体から採取した組織でこの状況を試してみたところ、寒さが小さな兵隊を弱体化させてしまうことがわかったのだ。

 細胞外小胞は42%近く減少。細胞外小胞の武器である受容体とマイクロRNAも、それぞれ70%と50%も減ってしまった。

 その結果、全体としては呼吸器系感染症を撃退する免疫力が半減してしまう。
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photo by Pixabay


マスクで鼻を暖かく保つ

 こうした事実を踏まえると、マスクのもう1つの効果が見えてくる。

 「マスクはウイルスの吸入を防ぐだけでなく、鼻にセーターを着させるようなものです」とブレイア氏は説明する。

 鼻の中を暖かく保てば保つほど、免疫がうまく働きやすくなる。その点、マスクは鼻の防寒着としてうってつけだ。

 ブレイア氏は、将来的には今回の知見をもとにした鼻腔外用薬が開発されるのではと予測する。

 たとえば、ウイルスが入ってきたと鼻を騙すことができれば、事前に小さな兵隊を配備して感染を防ぐことができるだろう。

 「鼻の粘膜をスズメバチが飛び回り、あなたを守ってくれるのです」とのことだ。

References:Scientists May Have Finally Discovered Why People Get Sick in the Winter / written by hiroching / edited by / parumo

追記:(2022/12/11)本文を一部訂正して再送します。




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