■科学者の話は信頼できるのか?それでも我々が科学を信じるべき理由 | タマちゃんの暇つぶし

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カラパイア:科学者の話は信頼できるのか?それでも我々が科学を信じるべき理由2022年09月22日より転載します。
 
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https://karapaia.com/archives/52316219.html
 
科学を信じるべき理由

 現代社会がここまで発展したのは、その背後に科学の力があったことは間違いない。だが、我々全員がそう思っているわけではない。

 科学者の多くは、人間の経済活動によって気候変動が起きていると説明する。だがネットを調べれば、それは嘘であるという説がまことしやかに囁かれている。

 あるいは新型コロナのワクチンはどうだろう。ニュースでその分野の専門家がワクチン接種を勧める一方、これに否定的な見解を唱える人はいくらでもいる。

 はたして、あなたは科学者が言っていることを信じていいのだろうか?

 オーストラリア、ラ・トローブ大学の科学哲学者ジョン・ライト氏は、それでもあなたは科学を信じた方がいいと勧めている。
 

科学とは何か?


 科学とは何か?仮説(理論)を打ち立てては検証し、どんどん良いものにしていって、真実に近づける試みである。

 長年の研究を積み重ねてきた科学者と言えども絶対に正しいとは限らない。懐疑論者なら、科学者だって人間なのだから、間違うこともあると指摘するだろう。

 事実、科学の歴史を振り返れば、科学的に正しいとされていたことが、後に間違いであると判明した事例はいくつもある。

 ならば今、科学的に正しいとされていても、本当は間違っている可能性があるということだ。

 古い時代には、水銀で梅毒が治るとか、頭蓋骨の形でその人の性格がわかるとか、科学者が真面目に考えていた時代だってあったくらいだ。
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19世紀、頭蓋骨の凹凸で人の性格を判断できるという科学(骨相学)があった photo by iStock

 それでも徹底して「理論と検証、事実」に依拠している科学者なのだから、やはり信頼できるという意見もあるだろう。

 それはそうかもだが、これでは何も解決しない。議論を交わす両者は、お互いがお互いの事実に基づいて、それぞれの意見を主張しているからだ。


科学は疑われることで進歩する


 それでも科学を信じるべきだというのなら、いったいどんな理由があるだろう?

 哲学者のジョン・ライト氏は、とある偉大な哲学者に言及して、科学を信じるべきなのはそれが「科学的手法に則っているから」だと述べている。
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photo by iStock

 20世紀でもっとも影響力のあった科学哲学者「推測と反駁(はんばく)」によって進歩すると主張した。

 科学者はわからない疑問があったら、懸命に頭を捻らせて、まずはそれに答えてみる。この答えが、ここでの「推測」だ。

 あくまで推測なので間違っているかもしれない。この答えにはさまざまな批判や反証が寄せられることだろう。これが「反駁(はんばく)」だ。

 だが、これを踏まえた上で導かれた、また別の答えは、前のよりももっと真実に近いものになっているはずだ。そして、新たな答えにも、また別の反論が寄せられる。

 こうして科学者の理論は繰り返し検証が重ねられ、磨かれていく。

 ときにこの歩みは遅々として進まない。

 アインシュタインが重力波の存在を予言したのは100年も前のことだが、それが証明されたのは2015年になってようやくのことだ。

 こうした理論に反論・反証することで前進する科学的手法のことを「反証主義」という。もしある理論が、長い間ずっと批判や反証に耐えうるものになれば、それでようやく「確証」されたことになる。

 ライト氏によれば、これが科学を信用すべき理由であるという。

 つまり科学者は仮説があれば、それを一生懸命否定しようとする生き物なのだ。にもかかわらず、否定できないのならば、それは事実に近いと考えてもいいだろう。
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photo by iStock


科学的コンセンサスが得られているものは信憑性が高い


 つまり、ある説の正しさについて、その分野の科学者たちの間にある程度の合意(コンセンサス)がある場合、事実に近づいているということだ。

 科学的コンセンサスは、通常次のようにして形成されていく。
1. まず何らかのアイデア(仮説)をひらめた科学者は、それについて科学者同士で議論を交わし、問題点を洗い出していく

2. それでも行けそうだと思うのなら、アイデアを研究論文にまとめて査読つきの学術誌に提出する

3. 論文はその分野の専門家に査読されて、発表する価値があると判断されれば、無事出版されて世に公表される
 これを読んだまた別の科学者は、そのアイデアについて、いろいろ検証してみることだろう。

 こうした検証を十分重ねてもなお問題が見つからなければ、アイデアが正しいという「コンセンサス」が形成されたことになる。
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photo by Pixabay

 ライト氏は、このプロセスを経たアイデアの格好の例が、地球温暖化の科学であると指摘する。

 大気中の二酸化炭素が増えると地球の気温が上がるという仮説は、1896年には登場している。20世紀初頭になると、化石燃料を燃やせば二酸化炭素が排出され、温暖化が進むという仮説が提唱された。だがこの時点で、ほとんどの科学者はまだ確信できないでいた

 だが20世紀後半から21世紀初頭にかけて、さまざまな検証が重ねられてきた。2021年のメタ研究によるなら、今では関連分野の99%の科学者がその正しさを受け入れているという。

 単なる仮説だったものが、100年にわたる検証を経て、ほぼ普遍的な科学的コンセンサスが形成された。それが気候変動、地球温暖化の科学なのだ。
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photo by iStock


科学と上手に付き合うために


 ライト氏は、科学者の話すべてを無批判に受け入れろとは言っていない。

 と言うのも、科学コミュニティ全体で共有されるコンセンサスと、たった1人(あるいはごく少数)の科学者による主張とではまるで意味が違うからだ。

 また現実的な理由や経済的な理由などの諸事情により、理論を徹底的に検証できないような状況もあるだろう。

 長年にわたって反証を跳ね除けてきた理論であっても、将来的に新しい証拠が見つかって、間違いが判明する可能性だってないわけではない。

 それでも科学者の最善の努力にもかかわらず、間違いが証明されない理論ならば、やはり科学者の言うことを信頼してもいい十分な理由があるというのが、ライト氏の考え方だ。

References:Why should we trust science? Because it doesn't trust itself / written by hiroching / edited by / parumo

追記:(2022/09/22)本文を一部訂正して再送します。



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