マネーボイス:ドル円143円台に突入。次なる壁は147円、中長期では160円台の可能性も浮上。相場の歴史サイクルが語る円安トレンド=菅下清廣氏2022年9月7日より転載します。
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ドル円は140円を超え、143円台の円安となりました。ド歴史サイクルを振り返ると次の壁は147円。中長期は160円~170円も予想されます。しかし、想定外の黒田声明などあれば、一気に円高転換になるでしょう。今の波乱の相場で儲けるのは至難の技です。
(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)
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※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2022年9月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:菅下清廣氏(すぎした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。
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ドル円相場の歴史サイクル
ドル円はついに1ドル140円台超えてきました
年初から大円安時代到来を予想してはいました。
スガシタボイス会員の皆さんには、125円の壁を突破して、円安トレンドが加速。次の目標値は135円、その先には1998年8月の147円という目標が見えてくるというメッセージを送っています。
ただ、円ドル相場の歴史のサイクルを見ると、1971年8月15日のニクソン・ショックの後、スミソニアン体制でドルの価値は1ドル360円から308円に切り下げられた。
この体制は続かず1973年から主要国は変動相場制へと変更する。1973年2月14日から変動相場制に移行。
1982年の円の安値269円が変動相場制移行後の円ドル相場の黎明期、混沌とした時代の円の底値と見れば、そこから一貫して円高時代が到来。
2011年3月17日に1ドル75円台で大円高時代がピークアウト。
この円高相場が今反転して大円安時代が始まっている。
中長期トレンドでは160~170円
前述の変動相場制移行後の円の安値269円から、円高ピークアウトの75円までの3分の1戻しがピッタリ140円なのです。
なのでこの140円が当面の壁になります。
もしこの140円の壁を突破すれば、1998年の147円近辺を短期サイクルでは目指すことになりますが、中・長期トレンドでは半値戻しの160~170円近辺をめざすというのが相場の波動です。
しかし140円を超えてさらなる円安が進行すれば、さすがに、日銀もなんらかの対策を打ち出してくる可能性があります。
今後の日銀の政策決定会合の動き、黒田日銀総裁の声明などに要注意です。
大きく損をしないを心がける
さて、2月14日にロシアがウクライナに侵攻して以来、世界のマーケットは大揺れが続いています。
それに加えて、欧米ではインフレ率が急上昇。
FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめとして、欧米の中央銀行は金融引き締め、利上げに向かっています。
その中で、今のところ日銀がただひとり大規模金融緩和を続けているので円安が進行しているわけですが、この円安メリットで日本経済がデフレを脱却して、企業業績が改善されるかどうか、まずは、各主要企業の業績動向に注目。
過去の2020年のコロナショックでは、私は、狙い目の株を買うチャンスと解説してきましたが、今回もウクライナショック、FRBショックは、インフレ関連株や昨年11月以来、売り込まれているグロース、成長株などの買いチャンスが到来しているのではないかと市場を注視しています。
年初にウォール街の当り屋、ダブルライン・キャピタルの創業者で大富豪のジェフリー・ガンドラックがFRBの利上げ、金融引き締めで2022年の米国株式市場は嵐の中の小船のように揺れるだろうと予測していましたが、まさにそのような展開となっています。
なので、今年は株式投資で大きく儲けるのは至難のワザです。
むしろ大きく損しないことを心がけるべきです。
そして次の上昇相場に備える時です。
黒田声明があれば年末までに円高もありうる
また当面円安トレンドが続きそうですが、年初から急ピッチで円安が進んでいますので、日銀の黒田総裁の発言次第で、年末までに円急騰(円高)もありうる。
しかし、もし円急騰の場面があれば、絶好の円売りドル買いチャンスとなる。
なぜなら世界の中央銀行の利上げ、金融引き締めで金利の上昇、高いインフレ率が続きそうですから、日銀が円安をけん制するような動きをしても、一時的な円高となって、中・長期的には日米金利格差は変らず、円安トレンドが続くものと予測しています。
私は、1ドル110円の時にドル預金(よきん)をして今も保有しています。
短期的に125~130円近辺で買っていたドルは、先週末139円台で半分円転換しました。
今後もドル安円高局面は一貫してドル買いに出るつもりです。
年末に向けてのビックイベントは相場の転換点
また日本のグロース成長株、新興株、ニューIPO銘柄などで、この下落相場で下げ渋っている銘柄や逆行高しているモノには打診(だしん)買いを入れています。
9月20日、21日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げとなれば、そこが米国金利の当面のピークとなる可能性もあります。
9月27日には安倍元総理の国葬もあります。
政治や経済のビックイベントがある時にはその前後が相場の転換点になることが多いので、9月の株価や円ドル相場の動きが転換点の始まり、予兆となるかもしれません。
また、11月には米国の中間選挙もあります。
年後半は日米の株式相場がいっそう波乱の展開となりそうです。
チャンスでもあり、ピンチでもあります。
チャンスは円安が追風となって、日本経済が長いデフレのトンネルから脱出、ピンチは世界と日本がいよいよバブルに突入。
1980年代のバブルを振り返る
そこで1980年代のバブル時代がどうだったか?
週末に橘玲(たちばなあきら)氏の「80‘sエイティーズ ある80年代の物語」幻冬舎文庫を通読した。
橘玲氏と言えば「マネーロンダリング」、「タックスヘイヴン」を読んだが、かなり面白かった。
橘玲氏は証券、銀行など金融分野の経験がないにも関わらず、みごとに金融の世界を描いている。
とくに「マネーロンダリング」は読者の皆さんにオススメの一冊です。
この「80‘sエイティーズ」は橘氏の青春回想記のような内容ですが、当時の社会風潮、世相を知ることができる。
本文で橘氏が「80年代、あの頃こそ、東京がいちばん輝いてみえた時代だった」と述べている。
エズラ・ヴォ─ゲルの「ジャパンアズナンバーワン」が発売されたのは1979年。
1980年代は、まさに日本の黄金期。
その輝いていた時代の終着点は、1989年末のバブル経済のピークだった。
今まさに日本経済はデフレからインフレへ、そして再びバブル経済に向かってゆくシナリオが有力だ。
2022年の東京は輝いているか?
夕暮れの東京ではないか?
長いデフレ不況で、充満している、今の日本社会の閉塞感を打ち破ることができるのだろうか?
あるいはこのまま、小松左京の小説の題名のように、「日本沈没」に向かってゆくのだろうか?
橘氏に2020年代の日本の物語を書いてもらいたい。
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