■あまり知られていない、ちょっとダークなおとぎ話 | タマちゃんの暇つぶし

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カラパイア:あまり知られていない、ちょっとダークなおとぎ話 2022年07月25日より転載します。
 
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https://karapaia.com/archives/52313937.html
 
ダークなおとぎ話

 子供の頃お気に入りだったおとぎ話を覚えているだろうか?『シンデレラ』や『白雪姫』、『ジャックと豆の木』、日本だと『桃太郎』などはとてもポピュラーだ。なんかが思い浮かぶだろう。

 だが世界にはたくさんのおとぎ話や民話が存在し、子供が読むには不気味な展開のものも多く存在する。ここではあまり知られていないちょっとダークなおとぎ話をいくつか見ていこう。
 

1. もじゃもじゃ頭(ノルウェーの民話)


 ノルウェーの民話作家、ペテル・クリスティン・アスビョルンセンの作品だ。

 子のない王と王妃は、どうしても子どもが欲しくて、ひとりの少女を養女とした。だがその少女は大きくなるにつれ、貧しい物乞いの女の子と遊ぶようになった。

 王室にはふさわしくないとして、王夫妻は養女にその物乞いと遊ぶことを禁じた。ところが、物乞いの女の子の母親は、実子ができる方法を知っているとして、王妃にアドバイスした。

 手桶で体を洗いそのお湯をベッドに下に捨てる。眠っている間にふたつの花が咲くので、この上なく美しいほうを食べ、もうひとつの黒くて醜いほうの花はそのまま枯れるにまかせるようにと言われた。

 王妃は言われたとおりにしたが、食い意地が張っていたので、両方共食べてしまった。

 9ヶ月後、王妃は美しい娘を産んだ。だが、そのすぐ後にもうひとり娘が生まれてきた。

 その娘は髪はぼさぼさ、やかましくがさつで、言うことを聞かず、どこへ行くにもヤギに乗って、木のスプーンを持っていた。ふたりの姉妹はまるで対照的だったが、とても仲がよかった。

 醜い娘は"もじゃもじゃ頭"として知られるようになり、汚いその頭にボロ布の頭巾をかぶり、ボロをまとっていた。

 ある夜、邪悪な魔女たちが城にやって来たため、醜い娘は若輩ながらも撃退した。ところが、そのさ中、魔女たちは美しい姉に罠にかけ、姉の頭を仔牛の頭に変えてしまった。

 妹は、魔女たちを追いかけ、姉の頭を取り返すことに成功した。城に戻る途中、姉と妹はやもめの王と王子が治める王国を通過した。

 王はすぐに美しい姉にぞっこんになり、結婚したいと望んだが、姉は妹が王子と結婚しない限り、ダメだと拒んだ。

 ついに、王子は妹との結婚を承諾し、結婚式の日取りが決まった。結婚式の日、美しい姉は最高級のシルクと宝石を身にまとった。

 だが、もじゃもじゃ頭の妹は、いつものように古いボロ布をまとい、ヤギに乗って式に出ると言い張った。

 式に向かう途中、妹には王子にとって外見は問題ではないことがわかった。ヤギは美しい駿馬になり、木のスプーンは輝く杖になり、古びた頭巾は黄金の王冠になった。

 妹は姉よりも美しい娘になった。王子は、もじゃもじゃ頭の妹が、外見の美しさではなく、本当に彼女自身を愛してくれる誰かを待っていたのだと気がついた。
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2. 忠臣ヨハネス(グリム童話)


 王はある美しい王女の肖像画を見るなり、彼女を花嫁にしたいと思うようになった。忠実な家臣ヨハネスに手伝わせて、その王女を拉致して望みを遂げようと決めた。

 王とヨハネスは海を渡って旅をし、黄金の王国に向かって計画を実行しようとした。王女は、当然のことながら怖がったが、誘拐犯が一国の王だと知って、不本意ながら従い、彼との結婚を承諾した。

 しかし、国へ戻る途中、ヨハネスは、3羽のワタリガラスの予言を聞いた。陸に上がったとたん、王にわざわいが起こり、栗毛の馬、黄金のシャツ、新妻の死を警告されたのだ。

 ヨハネスは恐怖にかられ、その対策に耳を傾けた。王を悲運から救うには、馬を撃ち殺し、シャツを燃やし、王女の血を3滴とるしか方法がないという。

 だが、これには但し書きがあった。このことは誰にも言ってはならない。さもないとヨハネス自身が石になってしまうという。

 陸にあがると、王は栗毛の馬にまたがったが、ヨハネスはなにも言わずにこの馬の頭を撃ち抜いた。

 当惑した王が城に到着すると、王が黄金のシャツを身に着ける前に、ヨハネスは燃やしてしまった。

 婚礼の間、新妻の王女は突然倒れて死んでしまったが、ヨハネスはその胸から急いで3滴の血を取り、王女の命を救った。

 だが、王は臣下の無礼な態度と、花嫁の体に触れたことに激怒した。

 ヨハネスは、自分の一連の行動はワタリガラスの警告のせいだと事情を話したが、話しているそばから石になっていった。王は忠実な家臣の死を大いに嘆き悲しんだ。

 数年後、王と王妃の間にふたりの子どもができた。宮殿に建てられているヨハネスの像が、王の子どもたちの血を犠牲にすれば、自分は生き返ることができると王に告げた。

 この数年、罪の意識にさいなまれていた王は、これを承諾して、子供たちの首をはねた。

 言った通りヨハネスは生き返り、王に感謝した。そして、子どもたちの首をその体につけ直すと、たちまち子どもたちは生き返り、宮殿は喜びにあふれたという。
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3. 影法師(アンデルセンの童話)


 アンデルセンは間違いなく、ダークなおとぎ話の名手だが、これはその中でも、もっとも不穏な作品のひとつだろう。

 寒い国の出身のある学者が太陽に憧れ、常夏の地へやってきた。だが、まもなく、あまりにも暑すぎて、人々は日中はずっと家の中にこもっていることがわかった。

 夜間は涼しくなり、人々はバルコニーに出たり、外へ出かけて交流する。学者は高層のアパートが立ち並ぶ狭い通りに住んでいて、住民が密集しているため、隣人の顔はすぐにわかった。

 だが、すぐ向かいのアパートに住んでいる住民には会ったことがなかった。

 バルコニーには鉢植えがいっぱいあったので、誰かが住んでいることは確かだった。ある夜、ライトを背に学者がバルコニーで涼んでいると、向かいの部屋に自分の影が映った。

 「あのアパートには、自分の影が住んでいるだけだ」と学者は考えた。

 しかし、翌日の夜、やはり学者がバルコニーでリラックスしていると、影が見えないことに気づいた。こんなことがあるだろうか? 影を持たない人間などいるのだろうか?

 昼の間に外に出ても、自分の影を見ることはできなかった。何年もむせ返るような暑さの中で暮らし、学者は寒い国に戻った。

 ある夜、訪問者があった。その男は、いかにも上流階級の紳士で、高価な服に身を包み、金の鎖をつけていた。学者はこの男が誰だかまったくわからなかった。

「あなたは自分の古い影がわからないのですか?」その訪問者は言った。

 その影は、どういうわけか主人から自由になり、冒険に満ちた特権的な人生を送ってきたが、寒い国に帰ることにしたのだというのだ。

 しかし、影の羽振りが良くなるほど、その主人は落ちぶれた。影法師が富み栄えるほど、学者は以前の自分の影になっていった。

 影は、一緒に旅をしてあらゆる病を治すという特別な温泉へ行こうと主人を説得した。

 この特殊な温泉には、さまざまな人々が集まってきていて、その中に目の悪い王女がいた。王女はたちまち、謎めいた影帽子に惹かれ、ふたりはすぐに結婚の約束をした。

 元の主人のほうがまるで影のようにふるまい、それでも以前の自分の影のそばで、王室生活を楽しんだ。

 だが、影帽子は王族になると、かつての主人に要求した。影と呼ばれるようになり、自分の足元に横たわって、かつては人間であったことを否定することだった。

 学者にとって、これはあんまりだったが、影帽子は当局に通報し、主人に自分は狂人だと言わせて
しまった。

 「あの哀れな男は、自分が人間だと思っているのです。頭がどうかしているのです」主人は投獄され、死ぬまでそこで過ごすはめになったという。
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4. ノミ(イタリアのおとぎ話)


 イタリアの詩人、ジャンバティスタ・バジーレの作品だ。これはただのダークなおとぎ話というよりも、相当奇妙な話だ。

 ある王が、娘にはもっともふさわしい結婚相手をと望んでいた。そしてノミを捕まえ、自分の血を与えて巨大にした。ノミがヒツジくらいの大きさになると、それを殺し、毛皮をとって、未来の婿探しの準備をした。

「これが、なんの動物の毛皮かわかった者には、王女との結婚を許そう」

 もちろん、誰もまさかこの毛皮がノミのものだとは考えもつかなかった。あまりにも巨大すぎたのだ。予想どおり、何人かの求婚者が現れたが、誰も正しく答えられた者はいなかった。

 ところが、意地の悪い、臭くて畸形の老いた人食い鬼が現れ、それはノミの毛皮だと言い当てた。王は驚いたが、今更、宣言を取り消すわけにもいかず、王女は鬼と共に送り出され、人骨でできた汚い家にたどり着いた。

 結婚を祝うため、鬼は特別なディナーを用意した。王女が大釜の中をのぞくと、人肉を仕込んだシチューが煮えたぎっていた。王女はあまりの嫌悪と恐ろしさに、人肉を食べるのを拒んだ。

 鬼は、王女を気の毒に思い、野生のイノシシを捕まえに行った。だが、人肉の食事にも慣れなくてはならないと王女に言った。

 王女はひとり泣き暮らしたが、知略に長けた老婆が偶然にその泣き声を聞きつけた。

 王女の悲痛な話を聞き、王女を助けるため、息子たちを呼び出した。老婆の息子たちは、人食い鬼をやっつけて、王女を自由にし、父王の待つ城へ戻してやった。
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5. ふしぎな樺の木(イギリスの民話)

 イギリスの小説家、アンドルー・ラングの作品だ。

 羊飼いの夫婦が娘と共に森の中で暮らしていた。ある日、飼っていた黒いヒツジが一頭、逃げてしまったことに気がついた。

 母親が探しにいったが、森の奥深くに住む魔女に出くわしてしまった。

 魔女は母親に魔法をかけて、黒いヒツジに変えてしまい、自分はその母親に化けて、家に戻った。魔女は夫に、黒いヒツジを殺してしまえば、二度と逃げ出さないと言い含めた。

 だが、娘は森の中で奇妙な口論があったことに気づいていて、羊に走り寄った。「ああ、愛するお母さん、このままじゃ、彼らに殺されてしまう」

 すると、黒い羊が答えた。

「それなら、私が殺されたら、おまえは私の肉も煮汁も食べずに、骨を集めて、野のはずれに埋めておくれ」

 その夜、夫はヒツジを殺し、魔女はそれでスープを作った。ふたりはこれを喜んで食べたが、娘は母親の言いつけどおり、食べずに骨を集め、野のはずれに丁寧に葬った。

 しばらくすると、娘が骨を埋めたその場所に美しい樺の木が育った。

 年月がたつと、魔女と夫の間に女の赤ん坊ができた。この娘は醜くかったが、甘やかされて育った。だが、上の娘は奴隷のように働かされた。

 ある日、王が3日間の祭りを催し、すべての国民を招待すると宣言した。父親は、下の娘に宮殿に行く準備をさせたが、魔女は、上の娘にはできっこないような仕事を次々と与えた。

 そんな仕事はできないと悟った娘は、樺の木のところに走り、さめざめと泣いた。

 母親はその話を聞いて、木から一本の枝を折り、それを杖にして呪文をかけた。すると娘は課せられた仕事をたちまちできるようになった。

 次に娘が樺の木を訪ねると、見事なドレスを身に着けた美しい乙女に変身していた。金銀に輝くたてがみをもつ魔法の馬も現れた。

 その馬に乗って、娘が宮殿へかけつけると、王子は彼女を見るなり、たちまち恋に落ちた。

 ところが、娘は残った仕事を片付けに家に急いで帰らなくてはならず、そのときにいくつかの持ち物を宮殿に忘れてしまった。

 王子は次のような宣言を出した。

「この指輪をはめることができる指をもつ乙女、この黄金の髪飾りを被ることのできる乙女、この靴がぴったり合う足をもつ乙女は、わたしの花嫁になる」

 魔女は魔法を使って、自分の娘の指、頭、足をそれらに合うようなサイズにしてしまった。王子に選択の余地はなく、魔女の娘と結婚しなければならなくなった。

 その頃、上の娘は宮殿の厨房で下働きをしていたが、王子がひとりになったときに、ささやいた。

「ああ、親愛なる王子さま、私の銀と金を奪わないでください」

 それを聞いて王子は美しい娘に気づき、ふたりは魔女の娘を川に投げ込んで、その体を橋代わりにして、魔女の魔の手から逃れた。
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6. 赤い靴(アンデルセン童話)


 物乞いをしていた少女カーレンは、幸いなことに金持ちに引き取られ、まるで本当の娘のように甘やかされて育った。

 その結果、カーレンはわがままで自己中心的、見栄っ張りな女性になってしまった。

 育ての母は、カーレンに高級シルクと柔らかい革でできた赤い靴を買ってやった。カーレンはこの靴をいたく気に入り、日曜の教会での礼拝にも履いていった。

 だが、教会では神を敬い、黒い靴しか履いてはいけなかったため、怒られた。

 だが、カーレンはお構いなしで、次の週にも教会に赤い靴を履いていった。この日は、長い赤髭を生やした妙な老人が近づいてきた。

「踊るのにふさわしい美しい靴だね。いくら踊っても、決して脱げないようにしてあげよう」そう言うと、老人は赤い靴を片方づつ軽く叩いて、姿を消した。

 礼拝が終わると、カーレンは教会の外で、踊り出した。まるで、靴に意思があるかのようだった。このときは、なんとか靴をコントロールできた。

 育ての親が死んだときも、カーレンは葬儀に出られなかった。ダンスのクラスに出席していたのだが、今度は自分の意志では踊るのを止めることができなかったのだ。

 カーレンは疲れ果て、必死で踊るのをやめようとしたが、ダメだった。天使が現れ、死ぬまで踊ることになるよう、呪いをかけられているのだと言った。

 これは、カーレンの見栄っ張りな性格の罰だと言う。

 カーレンは、どうしても踊るのをやめることができない。着ている服は汚れてボロボロ、顔も手も洗うこともできない。それでも赤い靴は勝手に踊り続ける。ついに、カレンは両足を切り落としてくれと頼んだ。

 カーレンの両足は切り落とされたが、赤い靴を履いた足だけは相変わらず踊り続けていた。カーレンは木の義足が与えられたので歩けるようになり、もう踊らなくて済んだ。

 カーレンは深く後悔し、教会に来る人々にこれまでの行いを悔い改めた自分を見てもらおうとした。だが、完全に切断されたはずの赤い靴を履いた足が、カーレンが教会に入るのを阻んだ。

 カーレンは次の日曜日ももう一度、挑戦したが、いつも赤い靴に邪魔された。悲しみと後悔の念にくれたカーレンは、おn家にこもって必死に神に祈り、慈悲を乞うた。

 再び天使が現れ、カーレンを許した。自分の部屋が教会に変わり、そこにはかつて彼女を叱責した人たちがいっぱいいた。カーレンはあまりの幸せにその場で死に、その魂は天に受け入れられた。
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 おとぎ話や民話は、長い年月を経て伝えられている間、少しずつ内容が変わったり、別の国の言葉に翻訳する際に変わってくるものもある。

 上記の6つのおとぎ話は、海外で伝えられていた内容に基づいたものなのだが、日本に既に伝わっている物と、解釈や表現、ディテールが異なっている場合もあることを、あらかじめご了承願いたい。

References:6 Dark Fairy Tales You Never Heard About   - Learning Mind / written by konohazuku / edited by / parumo



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