カラパイア:フェイクニュースにも種類がある。誤報と偽情報と捏造の違い 2021年04月29日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52301541.html
そうした情報はフェイクニュースと呼ばれることが多いが、一口にフェイクニュースといってもいくつか種類があるようだ。
主にそれは「誤報」、「偽情報」、「捏造(でっち上げ)」があるという。誤報は意図的なものではなく不確かな情報が流れてしまうものだが、偽情報な何らかの意図が働いている。デマは事実ではない情報を、いかにも事実であるかのように仕立て上げられている。
情報操作に利用されるのは、偽情報と捏造である。
まず「誤報(misinformation)」と呼ばれるものがある。これは誰かを操作しようなどという意図はなく、図らずも流れてしまった不正確な情報だ。たとえば、ある有名人が本当は生きているのに死んだといった噂がこれにあたる。
偽情報
それと対照的に、「偽情報(disimformation)」は、何らかの意図をもって流される不正な情報だ。国家機関によって流されることもあり、たとえば2003年のイラク戦争では、ブッシュ政権が情報を操作していたという疑惑がある。
捏造・でっち上げ
「デマ(hoax)」は、偽情報と似ているが、事実による裏付けがないのに真実だと思い込ませるためにつくられたものだ。証拠もないのにある有名人の死にまつわる話を書き立てた記事は、これにあたる。
紀元前31年、ローマの政治家オクタウィアヌスは政敵アントニウスを失墜させるために、ある作戦を実行する。アントニウスのことを、エジプトの女(すなわちクレオパトラ)にだまされてのぼせ上がった遊び人などとあげつらったのだ。
そして、これはうまくいった。やがてオクタウィアヌスは初代ローマ皇帝にまで上りつめている。
米サンアントニオ大学の研究者は、フェイクニュースがどのようにして社会を混乱させるのか、人種差別への抗議の事例を取り上げて説明している。
ことの発端は、2015年に米ミズーリ州ファーガソンで起きたマイケル・ブラウン射殺事件だ。18歳の黒人青年が白人警官によって射殺されたことで、人種間の対立が激化。ファーガソンから160キロ離れたミズーリ大学でも、大学の対応に不満を抱いた黒人学生による抗議活動が起きた。
この出来事は、世間から大きな注目を集めたが、その中にロシアの関係者もいた。
まもなくロシア人ハッカーによって作られた「#PrayforMizzou(ミズーリ大学のために祈ろう)」というハッシュタグ付きで、白人至上主義団体KKKが警察と結託して黒人学生を狙っていると警告するツイートが流れるようになった。
またフェイスブックには、ミズーリ大学の図書館前で燃えさかる白い十字架の写真が掲載された。
さらに、顔があざだらけになった黒人の子供の写真入りで、警察とKKKによって「弟がボコボコにされた! 気をつけろ!」というツイートまで投稿された(なお、この投稿主は、過去にもシリア難民について噂を流したことがあるロシア人であることが判明している)。
ネット上にはさまざまなフェイクが混在している。燃える十字架やあざだらけの子供の写真は捏造だ。写真自体は本物だが、その文脈に嘘がある。子供の写真はじつはオハイオ州の騒動で撮影されたものだ。
KKKの噂は、ロシア人ハッカーが意図的に流した偽情報だが、それは誤報という形で拡散された。学生団体の会長を務めていた若い黒人男性がまんまと騙されて、フェイスブックにそれを掲載してしまったのだ。
抗議から2年後、同大学の新入生は35%減少、学生全体では14%減少した。このために大学は予算を12%削減せざるを得なくなり、大勢の職員が解雇された。今でも大学は抗議以前の状態には戻っていないという。
References:Misinformation, disinformation and hoaxes: What’s the difference?/ written by hiroching / edited by parumo
貼り付け終わり、
https://karapaia.com/archives/52301541.html

photo by Pixabay
今日では誰でも情報を手軽に発信できるようになった。それにはいい面もあるが、真偽確かならぬ怪しげな情報が横行するという困った面もある。そうした情報はフェイクニュースと呼ばれることが多いが、一口にフェイクニュースといってもいくつか種類があるようだ。
主にそれは「誤報」、「偽情報」、「捏造(でっち上げ)」があるという。誤報は意図的なものではなく不確かな情報が流れてしまうものだが、偽情報な何らかの意図が働いている。デマは事実ではない情報を、いかにも事実であるかのように仕立て上げられている。
情報操作に利用されるのは、偽情報と捏造である。
フェイクニュースの3つの種類
誤報まず「誤報(misinformation)」と呼ばれるものがある。これは誰かを操作しようなどという意図はなく、図らずも流れてしまった不正確な情報だ。たとえば、ある有名人が本当は生きているのに死んだといった噂がこれにあたる。
偽情報
それと対照的に、「偽情報(disimformation)」は、何らかの意図をもって流される不正な情報だ。国家機関によって流されることもあり、たとえば2003年のイラク戦争では、ブッシュ政権が情報を操作していたという疑惑がある。
捏造・でっち上げ
「デマ(hoax)」は、偽情報と似ているが、事実による裏付けがないのに真実だと思い込ませるためにつくられたものだ。証拠もないのにある有名人の死にまつわる話を書き立てた記事は、これにあたる。

photo by Pixabay
ローマ時代からあった情報操作
一般人までがこうした不正な情報に注目するようになったのは最近のことだが、情報操作が利用された事例なら古代ローマにまでさかのぼることができる。紀元前31年、ローマの政治家オクタウィアヌスは政敵アントニウスを失墜させるために、ある作戦を実行する。アントニウスのことを、エジプトの女(すなわちクレオパトラ)にだまされてのぼせ上がった遊び人などとあげつらったのだ。
そして、これはうまくいった。やがてオクタウィアヌスは初代ローマ皇帝にまで上りつめている。

フェイクニュースが社会に与える影響
フェイクニュースの危険性はあちこちで警鐘が鳴らされているが、自分は大丈夫と高をくくっている人もいるかもしれない。だがそれは現実に大きな混乱をもたらす。米サンアントニオ大学の研究者は、フェイクニュースがどのようにして社会を混乱させるのか、人種差別への抗議の事例を取り上げて説明している。
ことの発端は、2015年に米ミズーリ州ファーガソンで起きたマイケル・ブラウン射殺事件だ。18歳の黒人青年が白人警官によって射殺されたことで、人種間の対立が激化。ファーガソンから160キロ離れたミズーリ大学でも、大学の対応に不満を抱いた黒人学生による抗議活動が起きた。
この出来事は、世間から大きな注目を集めたが、その中にロシアの関係者もいた。
まもなくロシア人ハッカーによって作られた「#PrayforMizzou(ミズーリ大学のために祈ろう)」というハッシュタグ付きで、白人至上主義団体KKKが警察と結託して黒人学生を狙っていると警告するツイートが流れるようになった。
またフェイスブックには、ミズーリ大学の図書館前で燃えさかる白い十字架の写真が掲載された。
さらに、顔があざだらけになった黒人の子供の写真入りで、警察とKKKによって「弟がボコボコにされた! 気をつけろ!」というツイートまで投稿された(なお、この投稿主は、過去にもシリア難民について噂を流したことがあるロシア人であることが判明している)。
ネット上にはさまざまなフェイクが混在している。燃える十字架やあざだらけの子供の写真は捏造だ。写真自体は本物だが、その文脈に嘘がある。子供の写真はじつはオハイオ州の騒動で撮影されたものだ。
KKKの噂は、ロシア人ハッカーが意図的に流した偽情報だが、それは誤報という形で拡散された。学生団体の会長を務めていた若い黒人男性がまんまと騙されて、フェイスブックにそれを掲載してしまったのだ。

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偽情報が危険な理由
ミズーリ大学で起きた抗議の余波のすべてが、誤報と偽情報と捏造の直接的な結果というわけではない。しかしそれ以降、学生の数が大幅に減少した要因ではある。抗議から2年後、同大学の新入生は35%減少、学生全体では14%減少した。このために大学は予算を12%削減せざるを得なくなり、大勢の職員が解雇された。今でも大学は抗議以前の状態には戻っていないという。
References:Misinformation, disinformation and hoaxes: What’s the difference?/ written by hiroching / edited by parumo
貼り付け終わり、