https://tocana.jp/2020/01/post_136665_entry.html
画像は「Daily Mail」より
宇宙空間はあまりに広大なため、巨大隕石の衝突や超新星爆発の影響、ブラックホールとの遭遇は滅多に起こるものではない。ただ、もしその時が来たら、我々は甘んじて絶滅を受け入れることしかできないのだろうか?
この度、米・イリノイ大学の天文学者マシュー・カプラン氏が、科学誌「Acta Astronautica」に発表した論文が話題になっている。なんと太陽系を丸ごと移動する2つの方法を考案したというのだ。ドイツの科学系YouTubeチャンネル「Kurzgesagt – In a Nutshell」を参考に、その概要を紹介しよう。
■パラボラミラー
画像は「YouTube」より
1つは太陽から発する大量の光子を利用する方法だ。光子は極めて微小であるが、これが推進力となるという。たとえば、宇宙空間で手に持った懐中電灯を灯すと、光が放射される方向とは逆に体が少しずつ動いていくそうだ。これを太陽でやってしまおうというのが、最初のプランである。
半球を覆わんばかりの超巨大ミラーで、太陽から発する光子を反射し、それを推進力にする。このミラーは推進力を最も得やすいパラボラアンテナ型で、太陽の重力に過度に引っ張られないように、その厚さは1マイクロメートルでなければならないそうだ。これは赤血球と同じか、それよりも薄い。
実現には果てしない年月が掛かりそうだが、現実的な問題を差し置いても、この方法には2つの理論的な問題があるとカプラン氏は指摘している。
画像は「YouTube」より
まず移動方向が問題となる。ミラーによって跳ね返された光子の射線に地球が入り込んでしまうと、地球が過剰に熱せられてしまうし、太陽光の届かない裏側に回ると過剰に冷やされてしまうのだ。これを避けるために、ミラーは太陽の2つの極どちらかにしか置くことができない。
しかし、それにも増して致命的な問題が移動速度だ。パラボラミラーにより確かに太陽が移動し、その重力に引っ張られて太陽系全体がそっくりそのまま移動できるのだが、これが異常にとろいのだ。100光年進むのに2億3千万年もかかるという。差し迫った危機にはまったく対処できない代物だ。
■カプランスラスター
パラボラミラーが抱える2つの欠点を補うのが、カプラン氏が考案したカプランスラスターである。これは核融合炉を使った原子力エンジンであり、太陽が放射するヘリウムを核融合炉で1億℃もある酸素の放射性同位体に変換し、それを噴射するという。
ただ、このままではスラスター自体が太陽に衝突してしまうため、同時に太陽に向かって粒子加速器から水素を放射することでバランスを取らなければならない。
また、推進力を得るために必要な膨大なエネルギーを得るため、太陽をダイソン球で覆う必要もあるそうだ。ダイソン球とは恒星の発する熱や光などのエネルギーを無駄なく活用するために、殻のように恒星を覆う巨大な球体のことである。
いろいろと大掛かりだが、この方法ならば100万年で50光年移動することができるという。パラボラミラーに比べれば桁違いに速い。
いずれにしろ、ダイソン球を構築し、太陽のエネルギーを全て利用することができるタイプⅡ文明まで地球文明が発展することが前提になっている。現在の地球文明が、惑星の全てのエネルギーを利用できるタイプⅠ文明にすら届いていないことを考えると、先は果てしなく長そうだ……。
画像は「Daily Mail」より
しかし、世界的な物理学者でフューチャリストのミチオ・カク教授は、数千年で人類はタイプⅡ文明に到達すると予想している。すると、西暦4000年頃には太陽を動かしていてもおかしくない。それまで我々の幸運が尽きないことを祈ろう。
参考:「YouTube」、「Science Alert」、「Daily Mail」、ほか
貼り付け終わり、
*パラボラミラーは使えますよ(^^♪
・集ストでの電磁波攻撃防御にw