【エロゲ】11月のアルカディア【レビュー】
この二つのエロゲで共通していた項目がある。
それが「最終的に死んだ妹が生き返る」だ。
え? ハッピーエンドじゃん。それの何がいけないの?
そう思うかもしれないが、
これら二作品の主人公は悪事を働いて幸せを手に入れようとしている。
物語の鉄則として、
悪いことをしてきた人間が普通に幸せになるのはテーマとしておかしいのだ。
それでは悪こそ正義がテーマになってしまう。
それこそ犯罪者をテーマにした作品なら、犯罪したほうが得、みんなもやろうぜ、になる。
ドラえもんでのびたは最後にひどい目に合うし、カイジはいつも破産する。
これらの作品はちゃんと作者が王道をわかっているからだ。
- 物語のテーマとは最終的に作者が伝えたい「結論」
テーマとはオチとも言える。
なのでシナリオを熟知している人は序盤でもオチをある程度予想出来る。
鬼哭街で言うと、導入は
「死んだ妹の魂を集めて、本当に元の妹が生き返るんだろうか?」
というのが本題だった。
だが本編では本当に生き返ってしまった(オチで)
あるいは、
結局妹は完全には生き返らなかったが、
人形に残る妹の面影を捨てられない主人公が復讐の果てに人形と街を去る。
無難にこれで良かっただろうという個人的感想が出る。
狂ったような三角関係じゃなく、人形との愛をテーマにすれば納得もできた。
それだと沙耶の唄になるので、路線を変えたが上手くまとめられなかったんだろう。
- 11月のアルカディアに関しては
妹が生きていた頃に時間遡行するために
敵、味方含めて時間を戻したい理由を作ると言う滅茶苦茶なシナリオだった。
しかも全員今の記憶が無くなってもいいと来た。そんな人間いるわけがない。
こうして書くと、やはり11月のアルカディアはテーマ自体もクソだろう。
今ある現在を大切にしよう、ではなく煌びやかだった過去に戻りたい。
という欲望にまみれた夢のようなテーマだ。
こちらの記事で、11月のアルカディアのシナリオライターはセリフに願望が滲み出ていると書いたが、
目的にまでそれが現れてしまっている状態だ。
ここでシュタインズゲートなどはどうなのか、と反論が来るかもしれないが
あれは現在で起こったことを修正する話で、過去に戻るのは手段であって目的ではない。
かたや主人公が悪人でもなければ、最後にハッピーエンドが約束されるのは当たり前だろう。
シナリオは必ずしもハッピーエンドにすればいいというわけではなく、
解釈のしようによっては「ただのご都合主義」として冷めた反応をされるだけだ。
王道=ハッピーエンドではない。
悪事を働く主人公の末路として必要なのは、総じて「ケジメ」なのだ。