みんな大好きループモノ。
今作は時間遡行+病気の女の子、という題材を扱っている。
- ループを戻せる時計
何回でも戻せてリスク無し
未来は変えられない
- ループモノとして見ないほうがいい
本当に運命が変わらないのでカタルシスはほとんどない
- タイトル詐欺
※主人公が時計をヒロインに譲渡して運命を変えるという展開はないできない私が、くり返す。の「私」は普通に主人公の事を指しているそして言うほど繰り返さない
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●面白さ⇒続きが気になる構成力
●満足度⇒シナリオに納得できたかどうか
●点数
50~(つまらない)
60~(ふつう)
75~(面白い)
80~(すごく面白い)
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未喜 75点(面白さ〇 満足度◎)
まだ学生ながらに家庭の事情から達観したものの見方をするヒロイン。
と言っても容姿や言動はちんちくりんなところが可愛い。
恋を知らない女の子が、主人公と接するうちに恋をして、それを自覚していく話だ。
王道中の王道。
ニヤニヤできるし、可愛いし、すれ違いはあるけどそれがまたいい。
気になる点としては親友がガンで死んだのにもかかわらず
キャラクターが一切それについて悩むわけでも記憶から掘り起こすでもない。
まるで死んだことが無かったことになっているかのような描写の無さ。
他ヒロインが出てこないのはまだしもメイン各にあたるヒロインの存在を消去するのはいかがなものか。
ENDは唐突。これで終わりなのか、というぐらいループ要素はおまけで、
結ばれたらエンディングという普通の恋愛モノとしての楽しみ方となった。
藍里 64点(面白さ△ 満足度△)
展開としてはヒロインが怪我をしてバドミントンが出来なくなるのだが、
そこの掘り下げがこれでもかってぐらい省略されていて酷い。
怪我の描写が手首に包帯巻いている、ぐらいにしかないが、
なぜか選手生命が終わるほどの怪我になっている。
普通優勝しまくってる選手がそんなことになったら監督などの責任問題になりかねない。
そもそも練習過多で一生バドミントン出来なくなる手首の怪我ってどんな怪我だよ、とツッコまざるを得なかった。
そしてここからわずか5ヶ月で左利きに変えて
ライバル(天才)と勝負に挑むという荒唐無稽な展開が始まる。
スポコンモノやるならもう少し部分的な掘り下げは必要だったことも強く感じる。
左利きに変える際、
日常的に箸や鉛筆も左利きに変える描写があったりするなどの裏側の努力も無し。
プロのコーチに見てもらうわけでもなく、素人の主人公が勉強した程度。
最後は結局バドミントン辞めて、コーチになる。
滅茶苦茶バドが好きだという描写があって何故そこで諦められるのかまったく共感できなかった。
ゆめ 67点 (面白さ〇 満足度〇)
レズが主人公を殺そうとしてくる未来を変えるストーリー。
話の内容としてはとてつもなく薄いし、ご都合主義だ。
最後は3人仲良く終わる。
このエンディングが出来るなら、なぜ藍里√でもやらなかったのか。
詩乃 60点(面白さ〇 満足度△)
主人公のエゴに対する皮肉で〆たのは良かった部分だ。
まさしく毒リンゴみたいなヒロインだった。
このゲームの本質はここに全て凝縮されていると言ってもいい。
主人公の特別とは、「時間を巻き戻せる」こと
ヒロインの特別とは、「死に対する時間の短さ」
どれだけ今までの自分が傲慢だったかを思い知る√だ。
人助けってのは結局自分に余裕がある人間のすることだという戒め。
それを自覚しながらやるかどうかで。
ただ、それだけだった。
本当に主人公の自己満足を俯瞰的に眺める√だった。
Re:Callでなにかどんでん返しが起こるのかと期待したが、それも無し。
これから俺は前向きに生きていくぜEND。
最後まで「結果でなく過程が大事だ」というその一点でテーマを貫き通した感じだ。
総合評価 65点 (イラスト◎ 音楽△) ★★★☆☆
かなり厳しめな評価になる。
なぜそう前置きするかと言うと、
Amazonレビューでは高評価のものをこのブログでは低い評価にしたからだ。
面白くなかったわけではないが、納得の出来ない部分が多かった。
低評価の理由に、
「病気」というリアルと「時間戻せる」というファンタジーの掛け合わせが悪いことを言いたい。
5年ぶん時間を巻き戻した後、
「主人公が時間を戻しながら何年もかけて医者になる」という決意をするが、
なんとそれを実行する前に心折れて普通の道を歩むことになる。
運命を変える気が無いとしか思えない。
結局主人公が時間を大きく巻き戻した5年の間、なにもしていない。
ただ、巻き戻しただけ。
心折れに戻っただけ。
全力を尽くしてダメだったエンディングなら感情移入もできるが、
出来ることもやらないでただ規定の路線をなぞってもう一度ヒロインとの日々をやり直す。
とタイトル画面に表示されたときの期待感と来たら無かったのに、
このエロゲはその期待感を見事に裏切ってくれた。
他√の内容が薄っぺらいというレビューがあったが、
大言壮語でループした割に何も起きなかった詩乃√のほうがよっぽど薄いとこのブログでは判断する。
ループモノの欠点、
いわゆる「同じシーンの繰り返し」が一番長いのが詩乃√ともいえるからだ。
病気を扱った最近の作品では【エロゲ】金色ラブリッチェ【レビュー】がある。
ここでも書いたが、こういう題材は「ドラマ」向きである。
人の死でお涙頂戴してウケを狙いたいならテレビのほうが断然いいだろう。
基本的に現実逃避を求めてプレイするエロゲとは相性が悪い気がしてならない。
数多くのループモノを見てきたが、
わざわざ「ベターエンド」にする作品を見たことがない。
ループモノ=苦労の末に約束されたハッピーエンドというイメージは普遍的なものだと感じる。
公式のコンセプト的に「時間を戻しても運命は変えられない」なのだとしても。
もう少し序盤で「この作品は運命を変える話ではない」という仄めかしが必要だった。
そこがファンタジー色ゼロの金色ラブリッチェとの違いであると思う。
リアル、つまりドラマなんかではご都合主義やファンタジーが起こらないよね、とわかるが、
ことエロゲで、しかも時間を巻き戻せるなんて設定があれば「病気という運命に対してどうにかする」と言う期待が生まれる。
そして主人公の言動がまさにそうさせた。
序盤からずっと主人公は「未来を変える」と言い続けてきたのだから。
だが、最終的にはそれを公式のコンセプトで押し通して裏切った。
そこが低評価ポイントの要と言えるだろう。
一応同じような意見を書いていたブログもあったのでこちらも参考になるだろう。
http://hikari-sekai.hatenablog.com/entry/2016/11/26/174655