連れ合いと話をしていて、ふと遥か昔の小学生の頃を思い出した。
男三人兄弟で、その頃は親父にいつも銭湯へ連れて行ってもらっていた。
行きつけの銭湯には湯舟が二つあって、大きくて深い方はお湯の温度が高く、必ず熱い湯が好きなお爺さんが入っているので、もう一つの浅くて温度の低い湯舟の方に入った。
そして、体と頭をを洗って風呂からあがるときには、親父から「十分身体を温めるため、湯舟に体を沈めて数字を100数えてから出るように」と言われていた。
そこで、「ぼんさんがへをこいた」を10回言って100を数えた事にして湯舟から出ようとすると、「きちんと100数えろと」いつも叱られた。
しかたなく、鼻先に大粒の汗をかきながら、改めて100数えなおすことになった。
「ぼんさんがへをこいた」とは「坊さんが屁をこいた」の事です。
洗い場からあがると、体をタオルで拭いて体重を計った。
丸い大きな針がついた、荷物の重量を計るような頑丈な体重計で、当時はまだKg表示でなく貫・匁表示だった。
高い天井の明り取りの窓ガラスには、灯りに寄せられる虫を狙うヤモリが2,3匹張り付いている姿が見えた。
何かの事情で、母に連れられて銭湯に行く時がたまに有ったが、その時は女湯に入った。
4年生頃までは女湯に入った記憶がある。
当時はシャンプーなんてまだ無いから、洗髪も石鹼を使っていたね。
最近は物忘れが多いけど、昔の事って情景をとても鮮明に覚えてるんだよね。
親父が亡くなって24年になるが、懐かしく思い出しました。