決まり文句というか、各国には面白い言い回しがあるものです。

あるサウジアラビア人の生徒に教えてもらったのですが、誰かと喧嘩になり、
「お引き取りください」「出て行ってちょうだい」
と言うとき、

「ラクダの出口はわかるわよね?」

と言うそうです。

ラクダって大きいので(VIVANを見て、馬より大きいんだぁ、と思いませんでしたか?)
出入りするにはそれなりの大きなドアが必要でしょう。

これは、
「あんたが出て行く戸口は見えてるよね」(出て行ってよ)
という意味だそうです。

私の 今は亡き義母は、子供がすねて下唇を突き出すと、
「誰か、ヤカンを持ってきてあげて」
と言うんだ、と言っていました。
ヤカンが掛けられるぐらい、口を尖らせているっていうことだそうです。
これをウチの娘に言うと、すんごく怒っていました。
ぐずっている子供に、
「ああ、眠いんだね」
と言うと、
「ねーむーくーなーいー!」
と余計怒るのと同じで、面白かったです。






私にもあります。
私のヘッドフォンやイヤフォンは、なぜかわかりませんが英語で話しかけてきます。
ちゃんと設定すれば良いのですが、やりません。
女性の声で、
Power on!
Power off!
Connected!
Disconnected!
Battery low!
と言ってきます。

で、私は夫が毎朝出勤する時に、いくつかの決まり文句がありますが、
上記のことも、毎朝夫に言っています。
我が家の朝は、お互いに決まり文句の応酬で、こんな感じです。


前にも書きましたが、夫が
グッモーニン
と言いながら布団から這い出してきたらまず、
イエス、プリーズ
と返事をします。
必ず Do you want coffee?
と訊いてくるので、先に返事をしているわけです。

そのあとは各々、黙々と朝の用事を済ませていきます。

私は一応毎朝(か前の晩に)、
ドゥ・ユー・ウォント・アン・オベントウ?
と訊きます。
たまに仕事ランチだったり、半休で帰ってきて、お弁当が無駄になるからです。
a Obento じゃなくて、an Obento
というのが、芸が細かいでしょうか。

作り終わると、夫の通り道にある独立型の冷凍庫のてっぺんにお弁当箱を載せ、
ドント・フォーゲット・ユア・オベントウ
と言っておきます。
夫は、言われれば忘れませんが、私がこれを言い忘れると、
寂しくお弁当が家に置き忘れられていることがあるからです。
持って行くのを忘れて出て行っても、すぐ気がつけば、
バス停に向かう夫のあとを走って、または自転車で追いかけることもありますが、
だいたい間に合わないタイミングで気づくので、諦めて、自分が食べます。

夫は朝の決まりきった行動を、なぜか言葉で伝えてきます。

夫:おはようございます。
私:おはようございます。はい、お願いします。(コーヒーを)

夫:私はコーヒーを作り、今からシャワーを浴びてきます。
私:はいどうぞ。

夫:私はあなたにコーヒーを注ぎます。I'll pour you coffee.
カップがありますか? Do you have a cup?
私:ありますよ。はいどうぞ。Yes, I have. Here you are.
夫:おべんとうを包んでくれますか? Would you pack up my Obento?
私:あ、はいはい。

私:あなたのお弁当は冷凍庫の上にありますよ。
Your Obento is on the corner of the freezer.
お弁当を忘れませんように。Don't forget your Obento.
夫:おお、ありがとう。忘れるところでした。I nearly forgot.

夫:さて、出かけます。Well, I'm leaving.
私:はいはい、靴紐結んでからもう一回声かけてください。
Give a shout when you finish doing your shoe races.

靴紐って、シュー・レースと言います。
外人によくありますが、夫もスリップ・オン・シューズは意外と好きではなくて、
いちいち靴紐を解き、きちんと結びます。
それに時間がかかるので、玄関で立ち尽くしてい待っているのが面倒なため、
靴紐を結んでから声をかけよ、と言うわけです。
ところが私はそう言っておきながら、せっかちなものですから、
布巾などを片手に玄関に出て行って、やっぱりそこに立って、
夫が靴紐を結び直すのをじっと見ています。

夫:じゃ、イテキマウス。(これは日本語)
私:はい、新聞とってくれますか。Would you get me my newspaper?
夫:はいはい・・どうぞ。Sure, here you are.
私:ありがとう。

夫はここで必ずバックパックを開けて、
ケースに入った大きなヘッドフォンを出して装着しますので、声をかけます。

バッテリー・ロウ 電源がありません
ミュージック・オール・イレイスト 音楽全て削除
パワーオフ 電源が切れます
ディスコネクテッド 接続を切断します

夫は日本語で
「うるさいです。行ってきます」
と言いますので、

私は最後に、

Walk carefully. 歩行に気をつけて

と声をかけ、お弁当を背中にしょった夫は出勤していきます。

かつて、NZへ帰省している間、私たちが出かけるときは義父母は必ず戸口まで来て、
Drive Carefully 👴👵
と言ってくれまして、私も名古屋時代は車出勤の夫にそう言っていました。

今は徒歩通勤なのですが、道中の安全を祈願して、やはり
ウォーク・ケアフリー
と言わないではいられません。