
楽しみしていた「心配無用ノ介天下御免」が
いよいよこの7月16日に始まりました。
始まるとまずこれ。

時代劇が大好きです。
主人公は、身分を隠した正義の味方です。
お庭番や、風車を投げるのが上手な旅鴉など、
主人公を取り巻く人々も多彩です。
偉大なるワンパターンもお約束で、
悪人に待ってもらってヒーローが 自己紹介や活動の説明もします。
薄幸な孝行娘。
病気のおとっつぁんには、高麗人参の煮出したやつを飲ませたい。
悪い代官や役人、
悪徳商人(越後屋、越前屋、備前屋など)はあくまで悪く、
その人たちに、みんなは酷い目に遭わされます。
(漁民やマタギは出てきません)
起承転結がはっきりしていて、終了5分前ですっきり「勧善懲悪」。
この、安心できる構造が、長く「時代劇」が栄えた理由でしょうか。
時代劇のファンではない人が見ると、少し驚くかもしれませんが、
年配で、時代劇が元々好きなみなさんは、
「これこれ!よく当時の空気を再現している!」
と感心したのではないでしょうか。
今日は第二話「大江戸米騒動」を皆さんともう一度見てみましょうか。
お話は、米問屋・俵屋が売り惜しみをするために米価が高騰し、
江戸の住人が、米を自由に食べられなくなっているところから始まります。
それを知った無用ノ介は、お庭番おゆうと善次に調査を命じました。
おゆうが、「米問屋の方をちょっと探ってみましょう」と言い、
お庭番たちは「御意!」とばかりにすぐ去ってしまうのですが、
無用ノ介はそれに気づかず、斜めに構えてたっぷり思索。
そして何か言おうとすると、二人がすでにいないのでちょっとキョロキョロ。
でも気を取り直して、すかして、
「頼んだぞ」
と。
もうこの辺で面白い。
第一話はオーソドックスな作りでしたが、第二話がこの先、またすごい。
米問屋では、ドラ息子豊太郎と、胸に一物秘めたようなお店(たな)の者たちが、
米を買いに来た人に高値を吹きかけています。
それを見て、外でほくそ笑むまた別の二人も、眉の薄い悪党づらです。
店の二階の部屋で静養中の先代は、息子のよからぬ商売を叱ります。
それを、障子を15cmぐらいも開けて、お店の者でもないおゆうが、
廊下から見ています。
場面変わって店の外。
番頭で、ここまでで一番悪そうな人が、さっきの悪党と立ち話。
「今晩 店の裏口を開けておく」
「お頭、今晩いよいよですね?」
「ああ、抜かるな」
悪巧みは、2階から素早く降りていたおゆうに、全て聞かれています。
おゆうはすぐに「心配の旦那」に知らせます。
さてその夜中です。
解錠された裏口から侵入する悪い人たちに続いて、
忍者衣装に着替えたおゆうと善次が、心配の旦那と共に2階へ。
賊はすぐに老父と、忠実な女中さんに抜き身を突きつける。
駆けつけて驚いた息子豊太郎は、
番頭の伊之助までもが悪い人と知ってダブル驚き。
正体を表した伊之助は言います。
「今から貴様ら親子を殺し、それを、
米の高騰に怒った賊にやられたことにする。
そもそも米の値上げを提案したのも 今日のこの日のため。
心配しなくても、この店はちゃんと継いでやる」
わかりやすい説明でした。
さあ困った。
襖いちま隔てた隣の部屋には、無用ノ介一同。
心配の旦那のモノローグです。
(悪党とはいえ、きゃつらはまだ人を あやめてはおらぬ。
こたびの仕置き、頭目以外は峰打ちといたすか)
おゆうもモノローグ。
(いつもの無用ノ介さまなら、今回の仕置きは峰打ち・・・・)
善次もモノローグ。
(若、準備は整いました)
その心の声が聞こえたか、無用ノ介、
(ああ! いかん、ゆるりとしている場合ではない。
では、参る。
五、四、三、・・へくしっ!)
くしゃみをしてしまった途端、襖が左右にさっと開きます。
無用ノ介は後ろ姿のまま登場するお約束ですが、
つい、振り返って座敷を覗いてしまいました。
どどん!
太鼓が鳴って、襖がぴしゃっと閉まります。
抜き身を下げた悪党どもも、それを呆然と見ています。
と、首を伸ばして窺っている目の前で、
ちゃんと閉めなくて大きく開いていた襖が、すー、と閉まりました。
誰でい!?
悪党が叫ぶと、チョン! と 拍子木。
ガラッと襖が(今度はちゃんと)開くと、後ろ姿の浪人者。
アルトサックスの物憂いBGM。
「これからが、地にうごめく悪を、切って捨てよとつかわ・・
ーーーなんだてめえ!
神か仏か閻魔か鬼・・
ーーーどおぅらぁくらぁ!
心配無用・・・
ーーーだぁおらぁあああ〜
悪党どもが無用ノ介の言葉に被せて叫ぶので、よく聞きとれません。
しかたない、無用ノ介、抜きかけた刀を一度戻し、気を取り直し、
心配無用ノ介たぁ・・・
(溜めて)
俺様のことよ!
すらりと抜き放ちました。
てめえ〜!
たちまち起こる剣の響き。
おめえたちの相手はこの俺だ!
無用ノ介はまず、一人を峰打ちしました。
階段を駆け下り続く斬り合い、無用ノ介はまた刀を持ち替えます。
チャリン!
そして、また、チャリン!
どっちの刃を相手に向けているか、ちょっとわからなくなったようで、
「ああ?」と刀を見直します。
ひゅん!
チャリ!
チャリ!
チャリ!
戦いつつ狭い屋内を駆け回りつつ、何度も
チャリ!
ひゅん!
チャリ!
チャリ!
頭目に迫る無用ノ介に、おゆうが叫びました、
「今、刃になってます!」
(あそっか! やば!)
チャリっと持ち直し、てめえ! となおも歯向かう頭目に、無用ノ介、
「百姓たちが汗水流して作ってくれた米
米はこの国に暮らす者全ての命の源ぞ
それを!
私腹を肥やさんがために危ううした貴様。
心配無用ノ介 、決して許さん!」
チャリ!
ところが頭目もしっかり言い返します。
「うるせえ!
本当に百姓を苦しめているのが、誰だかわかって言いやがるのか!」
どどん!(太鼓) ちょっと賛成した私!
それを聞いて、
ん?
無用ノ介、ちょいと俯き、目を泳がせます。
その隙をついて頭目がまたしても切り掛かる、
咄嗟に刃を向け直すが、思い直し、
無用ノ介は刀の向きを変え、峰打ちで頭目を打ち、昏倒させます。
刀を鞘に納め、
「以後・・・」(お庭番二人が駆けつけて背後につき)、
「心配、ご無用!」
3人、決めポーズ・・・・チョチョン!
場面変わって後日です。
だめ息子は父親にひどく叱られて詫びを入れ、
今後は店の丁稚小僧として鍛え直されることになりました。
無用ノ介、いつもの居酒屋へ。
白飯のにぎりめし2こに 沢庵2切のセットが、みんなの人気です。
「はい、気持ちを込めて、にぎりめし・・」と、親父。
チェーンの居酒屋でバイトしていた経験があるのでしょうか。
看板娘お梅は、便乗商法で 昆布の煮しめも うまくお客に売ります。
それを格子の外から見守り、無用ノ介、静かに笑って頷きます。
俵屋では、体を使って働く息子豊太郎、見守る無用ノ介のバックに
哀愁のある横笛の音色。
ナレーション;
「しかし、無用ノ介の心には、拭えぬ曇りがあった。
本当に百姓を苦しめているのは誰なのか。
その問いに戸惑った己れの剣。
目を背けてはいけない。
だが今は、自分のできることをやるほかない・・・
思い直し、また歩みを始める無用ノ介であった・・・」
〜〜つづく〜〜
エンドロールが始まってすぐにテレビを消したのは、
今週もまた、お座敷て見ていたお寺の住職夫妻。
奥様:10年来の謎が今日やっと解けたわ。
「無用ノ介の登場の時、誰が襖を開けてるか問題」。
考えたらお庭番の二人しかおらんわなぁ。
住職:メンバー3人やしなぁ。毎回開けとってんなぁ。
奥様:たいていやないな。
・・ほんで、峰打ちするかどうかも、
無用ノ介なりの基準があると言うこともわかったな。
住職:隣の部屋で、今にも悪党に人が斬られようとしている切羽詰まった状況で、ものすごお悠長に考えてたなぁ。
奥様:ゆうこちゃん言うててんけど、襖の開け閉めは誰がしてんのとか、
口上の時に悪党が待ってくれてんのは親切すぎるとか、
番組宛にツッコミがまあ、いっぱい来るんやて。
そこでそれにお答えしようと、今回は思い切ったらしいわ。
お二人の今日の結論は、
ファンタジーはファンタジーとして割り切ったらええねん
でした。
あと残り4回、楽しみですね!
















