数年前、自宅の郵便受けに入っていた「NHKから国民を守る党」
(現在は「みんなでつくる党」)のチラシに一瞬煽られて、
普段全然NHKも見ないことから、受信料を不払いにすることを考えたことがあります。
その後、私に素晴らしいドラマを勧めてくれる人が現れて、
今ではNHKの朝ドラ、朝ドラ受けの「朝イチ」、夜ドラ、そのほかもいろいろ、
NHKプラスも駆使してNHKをたくさん見ているので、
今はもう、喜んで受信料を払っています。
今一番沼なのは、「VRおじさんの初恋」「寅に翼」「光る君へ」でしょうか。
最近、字の練習に目覚めて、青空文庫を見ながらいろいろ書く練習をしていて、
「源氏物語」なども、日本ノート(株)の「方眼珪12mm」に書いたりしています。
(上の写真。でも下手だ・・)
ある日、超上級の生徒に、次のテキストはどうしましょうかと訊いてみたら、
「源氏物語」が読みたいです。
と言います。
私はそのとき、深く考えることをせず、
(現代語訳はいろいろあるのだから、私でも教えられるかもしれない)
と、思ってしまいました。
こういうときには落ち着いて、
「ちょっと(あなたもそうだけど私も)無理かもしれません」
と、言うべきだったかもしれませんが、
このときは自分が「光る君へ」にはまっているためか、
できるように思ってしまったのです。
で、最初に、彼に覚悟を促す意味もあり、原文に挑戦してみました。
こんなものを入力しながら、ステップ・バイ・ステップで、二十分ほど。
青字とふりがなは私によるものですが、急に始めたもので、
いろいろ間違っていて、あとで冷や汗もので書き直しました。
このときは原作の雰囲気に触れてもらうために、やってはみたものの、
「どうですか? 面白かったでしょう?」
「全然わかりませんでした!」
「ですよねー。じゃあ、来週からは、現代の言葉に直したものを読みますか?」
「それでお願いします」
ということになりました。
そこでネット検索をしてみて、林望さんの「謹訳源氏物語」を選びました。
林望さん訳のいいところは、紹介文にもありますが、
言葉の説明を訳文に練り込んであって、読みやすいことです。
昔よくあったのは、
「女御※1 更衣※2 あまた さぶらいたまひひける中に」とあると、
※1 女御 平安時代の後宮の女官の一つ。皇后・中宮に次ぐ天皇の夫人の地位
※2 更衣 同上、女御に次ぐ天皇の夫人の地位
とつける、みたいなやり方で、いいのですけれど、
今思い出すと、ちょっとしんどいです。
物語を読む悦びの一つは、お話の面白さに首根っこを掴まれて、
宙を飛ぶようなスピードで、夢中に読むようなところがありませんか。
あんまり一字一句勉強のように読むと、そこらへんがちょっと邪魔される・・。
林先生は、注釈をつける代わりに、
「宮中には、女御とか更衣とかいう位の妃がたも多かった中に」
というように訳していて、これで十分だと思うのです。
うまいな〜と思うところが、その後も続出しています。
現代の私たちに馴染みのない、知らない言葉があるのは当たり前ですが、
訳文であっても、源氏物語を読みたいと思った人は、
余力があれば自分で言葉は調べると思うのです。
だから大丈夫では。
さて、原文は日本人にも難しく、
現代語訳も、古い言葉や昔の敬語も入ってきますので、
リンボウ先生の現代語訳の下に、私のあまりいけてない訳をつけてみました。
どのぐらい続けられるかわかりませんが、ぜひ頑張ってほしいです。
私も、冒頭だけではなくて、源氏物語をもう少し読むことができたら嬉しいです。
ところで橋本治の「桃尻語訳枕草子」というのがありました。
原文:
春は曙
やうやう白くなりゆく 山ぎは少し明かりて
紫立ちたる雲の少したなびきたる
👇
桃尻語訳:
春って曙よ!
だんだん白くなってく山の上の方の空が少し明るくなって、
紫っぽい雲が細くたなびいてんのね!
というように訳していらっしゃいます。
若い頃、面白くて夢中になって読みました。
「枕草子」は、学校でやっただけなのであまり覚えていませんが、
「他の人を呼んだのに、呼びましたかって、
間違って出てこられた時は気まずい。
何かあげようと思って呼んだときなんかは、更に気まずいわ」
みたいなのがありました。
実家の本棚から桃尻語訳を探して持ってきて、
この辺を橋本治さんがどう書かれているか、
もう一度読んでみたいです。
「桃尻語訳」は、冒頭を読んだだけで、
大河ドラマで清少納言の役をやっている
ファーストサマーウイカさんの顔がすぐに頭に浮かびます。
源氏物語は錚々たる文学者の皆さんが訳していらっしゃいますけど、
私は林望訳を見ながら(原文はとても読めないので)、
そのまた訳・・をやってみたい気持ちになっています。
どこで挫折するかな。
【ガラパゴス島謹訳源氏物語】
どの帝の御代だったでしょう。
宮中の後宮にさまざまなご身分のお妃方、
女御とか更衣とかお呼びしましたが、
多くのお方がいらして、帝の寵を争っておられました。
そんな中、格別驚くほどの 高家の出はない、
桐壺の更衣というお方がいらしたのですけれど、
他のお妃がたが色を失うほどに
帝の愛を一身に受けておられたのでした。
・・・なかなか楽しいです。
意訳すぎますが、「まひろ」が語るように書けたらいいなぁ。