トキが出勤すると、いつもより早く起きていたヘブンさん。
と、思ったら、早く起きていたのではなくて、寝なかった、なぜならば。
ズット カク デス
トトリノ フトン、ズトズトズト・・ズト
カク ネムル デキナイ カキタイ
せっかく祈祷をしてもらったのに、金縛りから自由になったかどうかも?
ワカラナイ (寝てないだけに🤣)
アシタ タノシミ!
今日寝たら明日の朝の金縛りはどのようになるか、楽しみなのですね。
トキが家事を始めようとすると、ネガイマス、 が出ました。
一夜明けてもまだ聞きたい。
日本語は難しいが、意味を全て知りたいということでした。
トキも喜んで、
「昨日も言った通り、何遍でも、何十遍でも、話しますけん」
と言えば、ヘブンも
That’ll be extremely helpful. (もう本当に助かる!)
「デハ、チュウガッコウ、ヤスム」
「え〜😱 のーのーのー!」
「ジョダン フハハ・・・
デモ ソノ キモチ アル
スグ カエリマス」
なんだよもう!
チミナ・・じゃなくて「ちなみに」と訂正されてヘブンさんから質問。
それは、鳥取の布団が誰から聞いた話だったかということ。
ここで初めて、ヘブンさんは少女のようにしか見えない シジミサンが、
短期間でも既婚者であったことを知るのです。
これは衝撃。
Sorry, just ah….caught me a bit of surprise.
(すまなかったです、そのまあ、ちょっと驚いて)
普通より少しだけ、0コンマ2秒だけ長く、
シジミさんに投げられたヘブンさんの視線。
結婚歴があったと聞いて見せる、微妙〜な表情。
もちろんトキも、言語化はできなくても、何かは感じたはず。
「それでは、布団の話ではなく、別の怪談を。
まだまだ、まだまだ、山ほどありますけん」
切り替えが上手いトキです。
学校の、英語の授業の書き取りです。
うきうきではなく、しみじみと何かが心に湧いているようなヘブン先生。
What a refreshing morning it is. なんという爽やかな朝だろう。
Everything looks different. 全てが違って見える。
I was reminded of the day when I first came to this county.
初めてこの国に来た日のことを思い出す。
(何があったんだ・・・・)by 錦織。
OK, Masaki, thank you, and thank you for yesterday.
よし、正木、ありがとう。そして、昨日のこともありがとう
Not at all. とんでもありません。
You may go back to your seat, perfect transcription.
席に戻りたまえ。完璧な書き取りだったよ。
はい、次、小谷! と言いながらチョークなんか宙に放り上げて。
明らかに浮かれています。
あと。
小谷。
いたんだ・・・
後刻、錦織は正木トリオを呼び寄せて、寺でのヘブンさんの様子を訊きます。
やはり、ただの通訳、お世話係としての役割以上に、ヘブン先生が気になるのです。
可愛いったらありゃしません。
先生が怪談を聞いて泣いていたと聞き、
その場にいた小谷、錦織弟(名前は丈)も、
「西洋人がなんで?」
正木によると、先生は怪談をいたく気に入られ、もっと訊きたいので、
怪談に詳しい人を探すつもりのようだとのこと。
それを聞いても、いまいちピンとこない錦織の表情です。
「ふうん・・・なるほどな」
みなさん・・・・
今宵の怪談はめちゃ怖かったですよね。
皆さんのリクエストに応えて、再録します。
🕯️人の命が、蝋燭よりも容易く消えていく時代のお話でございいます🕯️
(私、違棚の市松人形とコケシが、
この前から気になってしかたないのですが・・)
「雲国の持田の浦という村の百姓の夫婦はひどく貧しく、
自分たちが食べるだけで精一杯。
子供が生まれるたびに、ごめんよ、ごめんよと、
全て、家の裏を流れる川に捨てていました。
しかし、月日は流れ、ようやく暮らしに少しのゆとりが出てきた頃、
初めて 生まれてきた子を育ててみることにしました。
ある月夜の晩のことです。
〽︎ねん ねんねんや
ねんねこした子は かわい子よ〽︎
父親は赤子を背負って、今夜はええ月だと独りごちておりました。
すると、まだしゃべるはずのない背中の子が、
口を開いてこう言ったのです。
『お父っつぁん、お父っつぁんが最後に私をお捨てになったときも、
こげに月の綺麗な晩でしたね』
蝋燭を吹き消す、乾いた音。
うへ〜、怖いよ!😱
それに続く沈黙。
わからなかったでしょうとトキに問われ・・
ムズカシ デモ ハンブン モット ワカラナイ
デモ ワカルキモチ アル
チチ、ワタシ ステタ
ハハ ノコト ステタ
ユルス ナイ
「そうとは知らず・・・」
「No no no!
コステテ カイダン スバラシ アリガト」
ここで語り手の役から踏み出し、トキは自分の感想を述べます。
「何遍捨てられてもこの子、同じ親の元、生まれた
この子の 親思う気持ち 強い
それを知った この親 この子 大切に育てる 思います
相手の気持ち 知ることで なんていうか・・う〜ん
ええことに、ええことに、 ・・・なったらええなあって思います」
小さく頷き続けるヘブンさん。
目には光るものがあり、一粒だけぽろりと落ちました。
「私オナジコトスルナイ
ワタシ、イイコト、
ワタシ、エエコト ・・・ エエコト シマス
シジミサンノ カンガエ コトバ スバラシ
カイダン、アリガト」
深々と頭を下げます。
「こちらこそ」 トキも頭を下げます。
「デハ・・・」
はい、ご一緒に。
もういっぺん
モウイッペン
「ですよね?」
「ハヤク、ハヤク・・・・オトキシショウ」
昇格したぁ〜🤣
もちろんその頃、松野家では、いくら遅い遅い言うてもしかたないのに、
司之介さん:遅いのう〜 遅いのう〜 おっそいのう〜
勘右衛門さん:お前がいちいち遅い遅い言うと余計遅くなる!
おフミさん:全く、怪談のこととなったらあの子はねぇ・・・
一番わかってらっしゃるマミー。
あ、勘右衛門さんも今、「おっそいのう〜」と。
あかりの灯ったままのヘブンさんの家の窓を見やるトキ。
おだやかな表情です。
その室内で、悪い目を原稿用紙に、めちゃ近づけて原稿を書くヘブンさん。
後ろを振り返って何かを探すような片方の目は、
何もない空間に、何を見ようとしていたのでしょうか
いつも何かが展開する、明日の金曜日を待てませんね。
・・
怪談への感想:
背中の子供は「お父っつぁんが最後に私を殺したとき」と言います。
何人も殺したけど、この子のただ一人の子なのです。
トキの言うように、一人の子が、繰り返し生まれてきたのでしょう。
しかし、楽しみが少なく、避妊もできなかった昔は悲惨です。
ご参考に
夏目漱石の「夢十夜」のなかに、少し似ている話があります。
青空文庫より引っ張ってきますね。第三夜です。
夢十夜・夏目漱石 夏目漱石は明治のエリート。
英語教師で、英国への官費留学もしており、異邦人としての苦しみをたっぷり味わって、メンタルも病みました。
「倫敦塔」などの西洋情緒あふれるものから、「夢十夜」のような、日本人の血液に沈澱するような要素まで、幅ひろいストーリーテリングは流石です。
青空文庫でたくさん読めますので、ご興味があれば。