8月14日の新聞で、豊橋総合動植物公園のアジアゾウ 「マーラ」 が死んだことを知りました。
 
13日の午前11時頃、通常通り、園内のプールでリハビリをしている最中のことだったそうです。
死因は腸捻転。
 
5歳11か月でした。
 
 
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「マーラ」 突然お別れ
中日新聞朝刊 2017/8/14
 

のんほいパークの公式サイトに掲載されているマーラに関する情報です。
 
訃報
右差し 「アジアゾウのマーラが天国へ旅立ちました」
マーラの最期の様子が書かれています。
 
マーラに関する情報全般
マーラの生い立ち、骨折と治療、リハビリの日々。マーラの動画やメッセージコーナーもあります。
元気な頃のマーラ、どうか見てあげてください(涙)。
 
マーラの日常をつづったブログ
右差し 「頑張れマーラ! 『マーラ』 のリハビリブログ」
マーラと職員のみなさんの頑張る姿がつづられています。職員のみなさんは、24時間、マーラに付きっきりだったそうです。
 
 
5年と11か月というあまりにも短い生涯を駆け抜けていったマーラ。
私たち人は、彼女に幸せな "象生" を送らせてあげることができたでしょうか?
 
 
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豊橋のアジアゾウ舎
 
 
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ここで暮らすアジアゾウたちの説明
 
豊橋では3頭のアジアゾウが暮らしていました。
インド生まれの 「ダーナ」 (オス)。その結婚相手として上野からやってきた 「アーシャー」 (メス)。そして、その間に生まれた 「マーラ」 (メス) です。
 
マーラは2011年9月17日に生まれました。
しかし、残念ながらアーシャーが育児放棄したことにより人工哺育に移行。
 
そして、2013年1月末に、両前足を骨折し寝たきり状態に。それ以降今日まで、回復に向けて日々リハビリを続けていることが書かれています。
 
 
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お父さんの 「ダーナ」
 
 
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いろいろなアジアゾウを見てきましたが、彼はとてもスマートでハンサム。
 
 
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そんな彼には、(ヒトの) 女性ファンが多いそうです。
 
 
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お母さんの 「アーシャー」
 
 
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マーラの出産は34歳での超高齢出産。アーシャーにとっては初産で、
それまで育児の経験もありませんでした。
 
 
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獣舎に設けられたマーラの情報コーナー
 
 
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モニターにはマーラのリハビリの様子が流れていました。
私が動物園に興味を持ち通いだしたのが2013年8月でしたので、マーラが生まれた頃のことは非常に残念ですが知りません。
 
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マーラの奮闘ぶりを報じた中日新聞の記事
 
 
体の大きなゾウにとって自分で立てないということは生命の危険に直結します。
中には安楽死という選択肢もありましたが、豊橋は治療回復という厳しい道をあえて選びました。
 
以来、マーラと職員さんたちの戦いの日々が始まります。
リハビリの様子は、時には新聞でも報道され、全国から励ましの声が寄せられました。
 
しかし、残念ながら最後まで奇跡は起こることなく、マーラは戦いの幕を閉じました。
 

おそらくマーラの死を一番悲しんでいるのは、これまでマーラと共に一日一日を重ねてきた飼育員さん方ではないでしょうか。子ゾウと言えども体の大きなゾウのこと。立つことのできないマーラのリハビリを毎日続けるのもさぞかし大変だったでしょう。
 
そんな飼育員さんたちの期待に応えるかのように、マーラは懸命に生きようとしました。
その姿を一番近くで見てきた飼育員さんたち。
 
あまりにも突然に訪れたマーラの死は、みなさんに深い悲しみをもたらしたことは想像に難くありません。
 

この出来事は動物園だから起きたことです。

自然の世界なら母親に見捨てられた子ゾウは生きていくことができないはず。ましてや足を骨折すればそれは即、死を意味します。
本来、野生の世界で、天が定めた命を全うすべき動物たちが、人の手により命を長らえることがいいことなのか悪いことなのか。私にはわかりません。
 
しかし、障害にもかかわらず健気に生きてきたマーラは、動物と言えども、人々に生きる勇気と元気を与え続けてくれたことは間違いありません。
 
 
 
東山では、2013年1月にアジアゾウ 「さくら」 が生まれました。
前東山園長の橋川さんが、東山の公式ブログにマーラのことを書かれています。ちょうどさくらと同じ年格好の子ゾウでしたのでマーラのことが気になっていたのだと思います。
 
東山公式ブログ 2014/3/29
 
 
東山のさくらのようにお母さんと一緒にすくすく成長していく子もあれば、片やマーラのようにうまくいかない子もいる。
 
運命とは、時にこの上なく非情です。
それは、人も動物も同じです。
 
 
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東山の 「さくら」 と お母さんの 「アヌラ」
 
 
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2頭はいつも一緒
 
 
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寄り添う母と子
 
このような姿を見ていると、私たちヒトも、動物と同じ自然原理の中で生きている生き物であるということを強く感じることがあります。
 
 
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親は子に無条件の愛情を注ぎ、
 
 
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子は親に守られ、すくすくと成長していきます。
 
 
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私たちヒトも、所詮は同じ原理に生きる自然の一部に過ぎない。
 
 
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そう考えれば、私たちはヒトは、自然に対してもっと謙虚になれるのではないかと思います。
 
 
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さくらは飼育員さんとも、とても仲良し。
ちょっと焼けますね。
 
 
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「さくら」 と お父さんの 「コサラ」
 
 
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さくらがコサラを鼻で触ります。
 
 
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コサラがさくらを触り返します。

社会性の強いゾウは、お互いに鼻で触りあうことによってコミュニケーションを図ります。
この親子は、一体どんな話をしているのでしょうね。
 
 
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2頭にお母さんの 「アヌラ」 も参加
 
 
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3頭は家族です。
 
 
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東山も新アジアゾウ舎 「ゾージアム」 ができて、立派なプールが設けられました。
 
 
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ゾウは水浴びが大好き

暑い日はプールに入って、水の中で豪快に遊ぶ姿を見ることができます。
 
 
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ゾウたちが楽しそうに水浴びをする姿は、人々に "生きているゾウ" の強い印象を残します。
 
 
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水浴びをした後はお決まりの砂浴び
 
 
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砂浴びが上手にできなかったさくらも、今ではお母さんのように、ちゃんとできるようになりました。
        2014/07/22
 
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マーラは、こんなふうに暮らすことはできませんでした。
さくらには、マーラの分まで、元気で楽しくゾウらしく、幸せに生きて欲しいと願います。
 
 
これまで驚異の生命力を示し、私たちに生きる元気を与えてくれたマーラ、
そして、困難を乗り越えマーラを育てようと決断をしてくれたのんほいパークの職員のみなさんに感謝します。
 
「マーラ」 という名前は、ヒンディー語で 「花の冠」 という意味だそうです。
この世では、十分に花を咲かせることはできなかったけれど、今度、生まれてくる時は元気なゾウに生まれて、動物園ではなく自然の世界できれいな花を咲かせてください。
 
さようなら、マーラ。
お疲れ様でした。
たくさんの力をありがとう。
 
                                                         合掌