ナチス共通番号の悪夢…

フランス哲学者いわく

「なぜ日本はマイナンバーと

保険証を一体化?」。

「個人の自由と権利の侵害」

フランスは大反対の歴史。

 

6月18日、政府は対面で携帯電話を

契約する際に必要な本人確認の方法

として、マイナンバーカードなどに

搭載されているICチップの読み取りを

事業者に義務付けることを決定した。

それに対してSNSユーザーから批判が

噴出している。

 

現行の健康保険証は2024年12月2日

廃止、以降はマイナンバーカードが

「マイナ保険証」として利用される

ことになる。

マイナンバーカードによる政府の

国民管理は進む一方だ。

 

フランス哲学者の福田肇氏は

「G7の中でもマイナンバーカードの

ような国民ID番号(身分証明書)と、

健康保険証を一体化させている国は

日本だけ」と指摘する。

 

権力、とりわけ「生の権力」は、

「住民・人口」という「かたまり」を

対象とする。

しかし、集合そのものではなく、

集合を構成する個別的な要素が冠する

〝タグ〟すなわち「個体識別番号」は

日本のマイナンバーやフランスの

社会保障番号である。

 

ナチスドイツに対抗するために

生まれた「フランスのマイナンバー」

である社会保障番号…社会保険カード

に記載される

現在のフランスの社会保障番号

(numéro de sécurité sociale)は、

フランスで生まれたフランス人に

ついては、出生届の提出先である

市役所が、出生届を受理する際に

15ケタの社会保障番号をあたえる。

 

15ケタの数字それぞれに割り当て

られている情報は次のとおりである。

最初の1ケタは性別(男性が1 女性が2)

次の4桁は生年月日、次の2桁は県番号

次の3ケタは地方自治体番号、次の

3ケタは同一地方自治体内における

同年同月生まれの人の届出順番、

最後の2ケタは行政上の確認キー番号

である。

この番号は一生変わらない。

 

社会保障番号は、ICチップを埋め

込んだ社会保険カード(carte vitale)

に記載されている。

16歳未満のフランス人は、保護者の

カードに付属するが、16歳以降の

すべてのフランス人にこのカードは

付与される(外国人長期滞在者も

申告によって所有できる。交付までに

時間はかかったが、私も取得した)。

フランス人は、病院、薬局、臨床検査

センター、レントゲンセンターなど、

あらゆる医療機関を訪れるときには

これを携行することになっていて、

医療費の払い戻し分は1週間以内に

被保険者の口座に振り込まれる。

 

フランスでは、国民IDカードと

社会保険番号は紐付けされていない

フランス人は、社会保険カードとは

べつに、国民IDカード(10年ごとに

更新)をもっている。

社会保険カードに顔写真は添付され

ないが国民IDカードには添付される。

後者に15ケタの社会保障番号は記載

されておらず、したがって紐付けも

されていない。

さらに、それとはべつに、納税番号

なるものもフランスには存在する。

納税の領域においては、納税番号と

社会保障番号とを紐付けすることが

認可されていて、税務署は個人の

社会保障番号をフランス国立統計経済

研究所で照会する権利をもつ

つまり、フランスでは社会保障番号と

納税番号は紐付けされているが、

国民IDカードとは紐付けされてない、

ということだ。

 

フランスも社会保障番号と個人番号を

接続しようとしたが、「個人の自由と

権利の侵害」として大反対にあい中断

実は、フランスでも、社会保障番号に

個人情報を接続してデータベース化し、

コンピュータで、一元管理する試みが

提案されたことがあった。

ポンピドー大統領時代の1973年だ。

この試みは、計画の頭文字をとって

SAFARIプロジェクトと呼ばれた。

だが、この計画が1974年3月21日に

「ル・モンド」紙で取り上げられると、

個人の自由と権利の侵害を警戒した

市民たちの大反対に会い中断された。

 

サファリ計画の一連の大騒動の結果、

政府は法案策定委員会を設置して、

個人情報取り扱いについて議論を重ね

1978年に「情報処理と自由に関する

法律」(個人情報保護法)が制定される

に至るのである。

 

G7の中でも、マイナンバーカードと

保険証を一体化しようとしている国は、

日本だけ

他方、日本では、健康保険証の廃止を

定めるマイナンバー法等の一部改正法に

ついて、施行期日を令和6年(2024年)

12月2日とする施行期日政令が公布された。

 

現行の健康保険証の発行については、

令和6年(2024年)12月2日より終了、

マイナンバーカードでの保険証利用を

基本とする仕組みに移行する。

(厚生労働省HPより)

 

実は、マイナンバーカードのような

国民ID番号(身分証明書)と健康保険証を

一体化させている国は、先進7カ国(G7)

では日本だけである。

 

なぜG7の他の国はそうしないのか…

ナチスによる共通番号の悪夢が蘇る

もちろん国民ID番号と健康保険証を

統合することのメリットは認める。

しかし、逆にG7の他の国がしようと

思えばでき、さらに効率化・合理化を

飛躍的に可能にする紐付けを、なぜ

しないか、を考えるべきだろう。

これについて、国際社会経済研究所の

主幹研究員、小泉雄介氏は、第二次

世界大戦中のナチス・ドイツによる

蛮行に対する反省であるとする。

「ナチスは『共通番号』によって

ユダヤ人らをあぶり出し、それが

殺につながりました。住民の選別、

国民の統制に使われたんですね」

個人を識別する情報を正確に収集し

管理する特権性としての権力。

過去の歴史から得られた教訓が、

国民の間で、その横暴に対する深い

懸念と個人情報一元化に対する慎重な

姿勢となって現れている。

 

こういう記事もある。

マイナンバーカードの個人情報が、

2017年12月31日に中国のネット上で

501万件流出しているのが発覚と、

現代ビジネスが報じている。

原因は、マイナカード情報の整理を、

日本政府が中国の企業に依頼して

いたためだ。

背筋も凍るほどの大問題だ。

ところがそれに対して、なんの説明も

反省も対策もない。

再発の可能性は極めて高い。

いや、再発ではなく、もしかしたら

中国に情報を流すのが目的なのかも

しれない。

いつか中国が日本人の個人を識別する

情報を正確に収集し管理する。

危険度が高すぎる。

 

医療機関受診歴、薬剤の処方歴に加え、

賞罰、学歴、資格、またゲノム情報

まで、すべてがマイナンバーカード

ひとつで照会することができる未来も

遠くないかもしれない。

 

日本人は、こういうディストピアの

到来の可能性に対して余りにも楽天的

である。

 

いまや、ヒトは、生まれると同時に、

いや、胎児となった時点から〝情報化〟

の世界に登記されている。

個人情報をつかさどる権力は、

「迷い出た1匹の羊」を、かけがえの

なさゆえにではなく、ただ登記すべき

情報として、どこまでも追いかけて

いくだろう。

 

 

 

 

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