高橋 克英

 

今や世界中から富裕層がこぞって

訪れる冬の高級リゾート地となった

北海道ニセコ。

どうやってニセコはインバウンドを

ものにしたのか。

海外の富裕層を取り込む外国資本の

戦略、日本の観光に足りないものとは

何なのか。

 

パウダースノーで世界的に有名な

北海道のニセコリゾート。

オーストラリア人やフランス人に

華僑を中心に、今年も世界中から

多くのスキーヤー、スノーボーダ―が

同地を訪れ、温泉とともに満喫した。

 

いまやニセコは「世界のニセコ」として、

その名を世界のスキーヤーや富裕層に

知られる存在となっている。

 

その変貌には目を見張るばかりだ。

夜の10時でも人通りが絶えないほど

賑わっている。

東山エリアの中核ホテルである

「ヒルトンニセコビレッジ」の館内

表記は、日本語よりも英語が先にあり、

ホテル従業員も基本、外国人。

当然「公用語」は英語である。

館内の寿司屋では板前が、私のように、

どこから見ても日本人にしか見えない

相手に対してでも、まずは英語で

話かけてくる。

宿泊客や利用客の大半が外国人だから、

見かけは日本人でも、ひょっとしたら

外国人かもしれないと考えて接する。

 

ショップの看板や広告も英語オンリー、

日本語が一切ない店も珍しくない。

ショップの客も従業員も外国人。

欧風デザインのホテルや近代的な

コンドミニアムが並んでいる、その

ほとんどが外国資本による外国人相手

のものだ。

 

冬のニセコは、日本でもっとも

外国人率が高い街であり、もはや

ここは日本であって日本ではない。

京都や金沢など、近年日本の多くの

観光地には外国人観光客が訪れている。

だが、それらとニセコには決定的な

違いがある。

それは、ビジネスの対象を外国人、

それも富裕層に特化していることだ。

その戦略は大成功を収めている。

 

ショップやレストランだが、いまでは

客はもちろん、従業員までも外国人が

目立つようになり日本人の姿が減って

いる。

私が毎年訪れているレストランでも、

かつては地元の日本人女性2人が

接客のアルバイトをしていたが、

今は、職を求めて中国本土から

やってきた20代女性の2名にとって

代わられていた。

「99.9%お客さんは外国人。

香港やマレーシアからのグループの

予約で満席です。

彼らが満足する接客は、日本人では

難しいですね」と英語でアルバイトに

指示を出しながら日本人の料理長は

話していた。

 

ニセコ地区では、外国資本による別荘、

コンドミニアムの開発も進んでおり、

外国人スキーヤーや観光客だけでなく、

外国人居住者も年々増加している。

こうした外国人のために働く外国人

従業員の増加もまた、続いている。

地元の学校には外国人の子供が増え、

新たにインターナショナルスクールも

作られているという。

 

ショップの看板や広告は英語表記だけ

のものも多い。

ショップの客も従業員も外国人。

冬のニセコは、日本で最も外国人率が

高い街で、もはやここは日本であって

日本ではない。

スキー場のリフトに乗る地点までの

ひらふ坂の両側には、欧風デザインの

ホテルや近代的なコンドミニアムが

並んでおり、多くが外国資本による

外国人相手のものだ。

 

ひらふ坂を上っていくと、スキー場の

ゲレンデが目の前にそびえ立つ。

同スキー場は、主に5つあるニセコの

スキー場の中でも総面積135haと最大

規模となり、最長滑走距離5300m、

最大斜度40度、標高差940m、リフト

数12、コース数24を誇る。

 

ニセコグラン・スキー場前の一等地は、

高級コンドミニアムの「スカイニセコ」、

建て替え計画もあるとされる東急不動産

グループによる「ホテルニセコアルペン」

がある。

香港系不動産開発会社「ヒラフキャピタル

合同会社」による高級ホテルは2021年

開業予定だ。

スキーを履いたままホテル前からゲレンデ

に出られる「スキーイン・スキーアウト」

が可能な好立地にある。

 

別の高級コンドミニアムの「木ニセコ」は、

温泉、レストラン、客室96室の一棟建てだ。

ほぼすべてが中国人所有であるが、一部が

再販されて、羊蹄山を望むジャグジー付き

のペントハウスが6億円、一般的な部屋も

1億円を超える価格で売買されている。

 

この「木ニセコ」と「スカイニセコ」

の間にある超一等地には、かつて

東急不動産グループが所有していた

「ニセコ高原ホテル」があったが、

外資系ファンドに売却され、長らく

更地となっていた。

 

現在、韓国の財閥であるハンファ

グループによる高級コンドミニアム

の建設計画が始動しており温泉調査

のための掘削機が立てられている。

北海道新聞(2020年5月30日)に

よると、高級コンドミニアムは地上

7階地下2階で100室規模となり、

スキーイン・スキーアウトが可能と

なる予定だ。

韓国大手企業がニセコで大型開発を

計画するのは初めてになるという。

高級コンドミニアムだけではない。

ニセコエリア初の大規模商業施設

「アルクザカストリート」も建設

予定だ。

香港の不動産開発会社メトロポリー・

ホールディングス・リミテッドの、

コンドミニアムとホテル、モールを

備えた複合施設となり、2024年の

全計画完成を目指している。

事業費は約230億円。

ニセコグラン・ヒラフスキー場の

南約100mに位置し、敷地面積は

約3haもある。

200台以上収納の地下駐車場を設け、

緩やかな勾配のある約200mの

歩行者専用道路の両側に中層棟を

計12棟建築し、コンドミニアム

168部屋、ホテル126室を設置、

下層階には、レストラン、カフェ、

ベーカリーだけでなく、アパレル、

雑貨、銀行や薬局など60店舗以上の

誘致を想定しているという。

 

ニセコビレッジ周辺では、中国系

不動産開発会社「ヴァージニア」が

2023年冬の開業を目指し、100室超

高級コンドミニアム1棟と貸別荘5棟

を備える大型リゾート開発を計画して

いる。

 

開発予定地は、約4・2ha、ホテルは

地上11階地下2階で、貸別荘5棟は

いずれも3階建てとなる見込みだ。

総投資は100億円を超えとみられる。

現時点で施設のブランドは未定だが、

香港系の高級ホテル運営会社と交渉を

進めているという。

 

 

 

 

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