脳科学者 医学博士 認知科学者 中野 信子 他
人間はなぜ不安を感じるのか。
実は人間は遺伝子の有無によって不安を
感じやすいのかどうなのかが決まる。
日本人は不安遺伝子保有率が高い。
「幸せホルモン」と呼ばれる、セロトニン。
遺伝子にはセロトニンの分泌量の少ない
「S型」と、分泌量の多い「L型」の2種類が
あり、その組み合わせによって、
「SS型」「SL型」「LL型」に分かれます。
SS型遺伝子を持っていると不安を感じやすい、
LL型の遺伝子を持っている人は楽観的な人、
SL型はその中間ということになります。
調査によれば、日本人の遺伝子はSS型が
65%を占めています。
SL型は32%、LL型は3.2%にすぎません。
不安遺伝子保有率は、日本人80.25%、
中国人75.2%、台湾人70.57%、
スペイン人46.75%、アメリカ人44.53%、
南アフリカ人27.79%となっています。
つまり、アジア人、特に日本人は不安を
感じやすい民族なのです。
なぜ日本人は心配性のSS型が多いのか。
災害の多さが関係している説があります。
地震、津波、台風、火山など、日本は
「災害大国」として知られています。
「なんとかなる」などと楽観的にかまえて
いたら、いざというときに対応することが
できません。
災害から自分や家族の身を守るために、
日本人は不安遺伝子を育ててきたのです。
共同体を守るため慎重な人間が多いほうが
都合がいいです。
江戸時代に造られた「五人組」は強固な
共同体の代表格です。
気象的な条件と共同体意識の中から慎重な
考え方をするS型遺伝子の優位が日本では
徐々に出来上がってきたのだろと言います。
50:50の割合から世代交代の度にS型が
1%優位に日本人の中で遺伝していったら
98%の割合にまでなるのは何年かかるか
計算した人がいるそうです。
答えは、400年。
私たち日本人の心配性で、律儀で、もめ事を
好まない性格は江戸時代、徳川家康が作った
かもしれません。
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日本人は、
・不安だからこそ、勤勉に働いて来た。
・とにかく不安だから堅実で、個人の貯金の
量も、低い所得にもかかわらず、平均的に
海外よりも多い。
(国民の個人貯金総計が2千兆円を超えている
国は少ないです)
私は、この日本人の不安遺伝子の量の多さが、
「悟り」「目覚め」「覚醒」へと世界最初に
到達させる原因に成ると予想します。
多くの聖人にしても、釈尊にしても、悟りを
目指す始まりは「不安感」から始まっています。
ただ、日本人の場合は特に不安遺伝子が多い
ために、自殺も比例して多いのが実際です。
日本人こそは不安感をコントロールする意識を
持ちながら、不安感を良い方向に活かす努力が
大切に感じます。