わたしの髪は昔から毛量が多く、1本1本が太い上に
針金( 一応柔らかい針金 )のように硬い。
長い髪が風に柔らかくなびいて、そっと手で押さえる。
というシーンは夢の又、夢だった。
おかげで好きな男性が髪に触れそうになると思わず
ファイティングポーズのようなかっこうでよけていた
時期もあった。
少しでも柔らかく見せようと髪も明るく染めていたけど、
触ると硬いままだしねー。
親からは 「 歳をとれば柔らかくなる 」 と理不尽なことを
言われていた。
歳を取ってからならどんな髪質でもいいんだよ。
今、柔らかくないと意味がないんだから。
で、柔らかくなると言われていた歳に充分なったが
毛量も髪質もさほど変わらない。
どこの美容院へ行ってもまず 「 髪が多いですねー 」
ここ2,3年来行っている1000円カットの店でも、
1500円カットの美容院でも同じことを言われた。
多分、今は 「 髪が多い 」 は誉め言葉なのだろう。
みんな髪が細く少なくなって悩んでいるんだから。
でも、わたしにとっては物心ついて以来言われ続けた
言葉で、ある意味トラウマなので、思わず反射的に
「すみません 」 と言ってしまう。 ( 多くて硬くてすみません )
若いころはそれでも硬いなりに天使の輪が出来て、
つやつやしていたが、近ごろは艶もなくバサついて
真っ直ぐだった髪にうねりも出てきた。
喜ばしいことと言えば白髪がほとんどないことだったが、
ここにきてコロナストレスのせいか、白髪が増えた。
針金というよりも棕櫚ぼうきに近くなった。
柔らかくならない上に素直でなくなるなんて。