私の四人の親しい友人四人目は、ランチバイキングに

一緒に行った藤本さんで、彼女も仕事で知り合った女性だ。


正木さんも藤本さんも、友情は年月では無いと

証明してくれた人達だ。


それまで私はある程度の年月を付き合わなければ、

人間の信用は確信出来ないと思っていたし、

実際白地君もクラも親とも顔見知りの間柄で、

家庭環境も分かっているので、心の底から安心して

付き合える友達だったからだ。



藤本さんは物静かで控え目で、初めて仕事で話した時から

何ていい人なんだろうと思った。


ミセス豪快の正木さんが騒々しくて、厚かましいと

言う意味では決して無い。

 

悪意が感じられない人で、どちらかと言えば他人に

利用されやすい人だ。

彼女と話していて、それ騙されていたんじゃないの?

と言った事が2,3度あったが、彼女は利用されて、

それが分かったとしても、絶対に悪く思わない人なのだ。

彼女にしてみれば、親しくなった私に世間話をするように、

他意無く友人との話をしたのだろう。

第三者の私が、藤本さんのその時の友人の言動に

疑問を感じて指摘しても、相手の立場を思いやり、

懐かしい思い出話で終わってしまう。


1月6日にブログにアップした友人Fさんとは

藤本さんの事だ。

彼女のご主人ともお会いしたが、藤本さんと

似た感じの穏やかで優しそうな男性だった。


ご主人は昔、藤本さんの勤務していた会社と

取引のあった中小企業の会社社長で、冗談も

言い合える気安い間柄で携帯番号も交換していた。

藤本さんの出張先がたまたま社長の会社がある

土地だったので、懐かしくて携帯に連絡したのが

始まりだったそうだ。


仕事終わりに会った社長は見る影も無く落ちぶれた

様子で、人相も変わるほど痩せていて、聞けば

事業に失敗して離婚もして今は一人でアルバイトで

生計を立てているとの事。


何故そんな姿ででも社長は藤本さんに会おうと

思ったのか、私にはわかる気がする。

藤本さんは相手がどんな人でも、変わらぬ態度で

受け入れて接する人なのだ。


藤本さんは「私どうしてそんな事言ったのかなあ。

その時ね、つい、うちにおいでよって言ったのよ。

このままほっておいたら自殺するかもしれないと

思ったんだそうだ。



暮らした事の無い遠く離れた田舎町にご主人は

やって来た。


一緒に暮らし始めて、未だ学齢の二人の子供の

養育費を払いたいご主人の為に仕事を探しているうち、

知り合いとして同じ職場に就職する事になった。


ご主人の子供が結婚するまでは籍を入れないと、

話し合って決めたのもこの頃だった。

出来る限りの事はしてあげてよと藤本さんはご主人に

言ったそうだが、れは彼女の別れた前のご主人が

子供が成人した後も、頼まなくても子供達の為に

惜しまず援助をしてくれたからだと言う。


子供達の結婚式の時も、父親として出席してくれたのが

嬉しくて、今のご主人の子供達の結婚式の時にも

是非そうしてあげて欲しいと願っている。


藤本さんの夢はシェアハウスを作り、友達皆で

助け合いながら暮らして行く事。


今は違う職種に就いているが、介護ヘルパーの資格があり、

自分にとって介護の仕事は大好きだし、天職だと言っている

藤本さんだから、ピッタリの夢だ。



勘の鋭い正木さんは一度だけすれ違うように仕事先で会った

藤本さんの事を「シスターの姿とダブって見える」と言った。