昨日は午前中から1回目の手術。喉と胸に穴を開け、点滴用のチューブを直接心臓間近の上大静脈へ固定する術式だ。喉から右胸にかけての部分麻酔で、外科医師と会話をしながらの手術。医師によると、いつも年寄りばかり施術なので、あなたは筋肉が硬くてやりずらいとの話し。いまそんな事言われてもねえ。

喉と胸からチューブが心臓へ向かって入って行くのが感じられる。心臓近くに入り過ぎて、突然の不整脈。オシロスコープのピープ音が真っ白な手術室に響く。手術時間は約40 分。以後、点滴や抗がん剤は直接ここへ注入されることになる。喉から右胸にかけて引きつっているような違和感があり気持ち悪い。既に麻酔が切れかかっているのか、胸が疼く。断って置くが、これは恋ではない。

手術後約1時間、癌センター腫瘍科の医師から現状説明と治療方針の説明かあるからと談話室へ呼び出される。癌治療の専門医の登場だ。ハキハキと的確にわかりやすく説明が続く。聞いている途中で何度も頭の中が真っ白になってしまい、同じことを何度も何度も聞き返してしまう。

胃癌は現在進行中のステージ4(軽い方から0→4)。腹腔内に癌細胞が拡散されているため、開腹手術をすると多臓器転移を起こす可能性が高いので、胃癌病変部の切除は今のところ行えない。まずは抗がん剤投与により、腹腔内の癌細胞を無くす事が先決であると言うこと。ただし、抗がん剤の効果が出るかどうかはやってみなければわからない。当然、抗がん剤が効かないと言うケースもあり得る、との話。

ふん、ステージ4だって。はっきり言って、もう既に自分がどう思うかの選択は無いと言ってもいい。運が良ければ、5年後を目処に抗がん剤治療も終え、胃癌病変部を切除して社会復帰を目指しましょう…だってさ。自分の決意としては、こんな自分と入籍してくれた彼女に、せめて借金を残さないうちに決着をつけるしかない、と言うこと。もちろん、ただ黙って敗北するつもりはないけれど。


今日で入籍8日目、入院生活7日目。いまだ食事は流動食のみで入院初日から体重は6.5kg減。医師に拠れば、本格的な体重減少はこれからだそうだ。体力は確実に時間を追うごとに削られていく。これからはまさに気力の勝負だ。

生粋の無神論者だけどつい考えてしまう。神よ、もし本当に存在するのならほんの少しの幸運を僕に与えてはくれないか、と。