ヒマラヤ遠征2日目①『打ち合わせ』 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

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    宿泊しているホテルはフジホテル。日本人利用客の多い65周年記念登山でも栃木県が利用したホテルだ。お湯の出るシャワーに、美味しい朝食、フリーWiFi、申し分ない。

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    朝食を済ませた後はエージェント達との打ち合わせ。

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    リードシェルパとして現れたのはチェダさんでした!栃木県がいつもお世話になっている物凄く強いシェルパです。私も65周年の時にお世話になりました。彼はエベレストに8回も登っています。頼りになる味方現る。百人力です!

    と、こんな風に興奮しているのは、事前のメールでのやり取りが上手くいっておらず、シェルパが誰か確認できていなかったため。できたらチェダさんをとお願いしていたのだで、依頼が通った格好です。
    チェダさんとの再会を喜びあいました。そしてチェダさん、自信有り気にスマホ取り出して写真を示す。

チ  ロブジェイーストには最近2回登っている

た  リアリー?それはメインピーク?

チ  イエス

た  ワーオ

チ  これがお客様を登頂させた時の写真だぜ

た  ジャンクションピーク(以後、JPと省略)じゃなくて?

チ  イエス、メインピーク

・・・うーむ

    打ち合わせは長引いた。前述の事前のメールのやりとりが上手くいってないのもあるが、それ以前に本当にメインピークに行くのかという問題が発生したのだ。
    私達が想定していたギアは多過ぎるとチェダさんが言う。コレコレこのくらいで大丈夫だと。・・・いくら私が鈍らクライマーとはいえ、こんな少ないギアでは登れないと分かる。

た  チェダさん、さっきの写真を見せてくれる? これは本当にメインピークなの?私は違うと思うんだけど。

チ  いや、これがメインピークだ。JPではない。

た  私もこれがJPでないことは分かる。これは二峰または三峰(以後、二峰と名称固定)と私達が呼んでるピークだと思う。メインピークはこの先にあるはずだ。

チ  いや、このピークの後ろにはデンジャランスなクレバスがあいていて、とても行けない。ここが行き止まりだ。

た  そのクレバスが私達がさっきから大ギャップと言っている懸垂下降の必要な箇所ではないか。

チ  この先は危険でもう何年もどんな登山隊も進んでいない。

た  いいですか、私達はこのクレバスを越えに来た。越えた登山隊がほとんどいないことは知っている。それでも、私達はこのメインピークを目指す。懸垂下降してクレバスに下り、メインピークに向けてクライミングする覚悟だ。

チ  デンジャラス

た   確かに。現場で危険と判断したら我々も諦める。ただし、危険でなく困難であるだけなら困難の量が多くとも私達は行く。必ず。

チ  オーケー

た  それをふまえてもう一度ギアの確認からやり直しましょう。

    ロブジェイーストのメインピーク問題はややこしい。2000年前後は、JPがロブジェイーストのニセピークとして機能していた。多くの登山者はJPまで行って、ロブジェイーストを登ったと胸を張る。
    しかし、JPはJPでしかなく、本峰はそこからまだ先にある。
    最近は、多くの登山隊がJPを越えてメインピークを登っているとネットや現地通の情報で発信している。ネットにも記録が落ちている。しかし、そこで写っている写真は二峰なのだ。メインピークを登ったと胸を張っている多くの記録は、メインピークではない。
    現在のロブジェイーストにはニセピークが2つあるわけだ。だから、私達は多くのロブジェイースト登頂者にこう言わなければならない。ロブジェイーストのJPでも二峰でもなく本峰に登りに行くと。そこはクライミングをしなければ行けない頂きだと。

   私達が知る限りでは、本峰にたどり着いた記録は4つだけ。近藤和美さんから頂いた山行記録、外国の登山隊がロブジェウエストと信じてロブジェイーストの本峰に登っているユーチューブ動画、他に、英語の記録と日本語の簡単な写真を見た気がする。それだけだ。
    記録がないだけでそれなりの数の登山隊が過去に登っているのだろうことは間違いないと思う。ただし、ベテランチェダさんが3〜5年は本峰を登ったとの話は聞いていないという。我々が目指すピークはそういう頂きなのだ。胸が高鳴る。
   チェダさん達としっかり打ち合わせられたのは、国内での事前準備の賜物。今日のことを受けると、海外登山はフライト前がすべてと言えるかもしれない。勘違いを解くことができて本当に良かった。

その他諸々変更が入った。
・目指すピークが困難になったので追加料金発生
・ハイキャンプは予定より200下げて5500m
・ハイキャンプでもコックの料理が出る

   チェダさんは明日から同行。セカンドシェルパはベースキャンプから合流。ガイドはルクラからキナンさん。

    これでもかと言うほど綿密につめた。気が付けば2時間30分過ぎていた。今回はベテラン不在の山行で不安も多少あったが、これなら大丈夫だ。自分の山行であると感じられる。国内登山との違いは高所順応だけ。それこそが最大の難敵なわけだが。(つづく)