栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー、5年連続マチガ沢(3) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

 (昨日のつづき)今年は、4年前以来となる2日間とも雪渓上に入ることができた海外登山技術交流会になりました。設定されているシーズンが6月で、場所が谷川岳となれば、雨天が想定されるのは当然で、週末の2日間入山できるのは奇跡に近い。ありがたいことです。

 昨年の2日目は、駐車場でクレバス脱出訓練のシステム確認等をやりましたが、今年は、栃木K2登山隊2013に参加した栃木のトップクライマー片柳さんにFIX構築のノウハウを伝授してもらう時間としました。

 

 

 さて、片柳さんからは本当に素晴らしい知識を伝授して頂きました。リード(A)、セカンド(B)の役割分担や手順を覚えたいので、下記に自分用としてメモしておきます。皆さんは読まなくても大丈夫です。

 

■■ここから■■

 

 ①スタートの起点となるスノーバーを打ち、②バーには程よい長さの捨て縄をオーバーハンドで付けておく。③フィックスはAの腰の環付にエイトノットで付け、スノーバーを1本以上装備。④ABにビレイしてもらいながら登攀し、50m一杯のばしたら、腰の高さまでフィックスが持ち上がる程度のたるみを維持しつつ、バーの近くにオーバーハンドノット1つ結んである捨て縄が付いたスノーバーを打って、オーバーハンドのところでセルフ。⑤腰の環付からエイトで付いていたフィックスを外し、そのエイトに2本目のバーの捨て縄を通してオーバーハンドで輪にする。

 

 

 ここまでで1本目(この日は50m)のFIXが張られたことになる。

 さらに50m伸ばすには、

 

 ⑥ABをビレイで上げる。⑦Bはザックに2本目のフィックスをほぐし入れて背負い、スノーバーを1本以上装備。ザックの中のフィックスの片方の末端はあらかじめエイトノットでBの腰の環付につけておく。⑧Bが1ピッチ終了点に来たらセルフを作ってBはザックを下ろして落ちないようスノーバーに固定する。⑨AのビレイでBがつるべで登攀開始。⑩50m伸ばしたら同じ要領でたるみをつけて、スノーバーを打ち、バー近くのオーバーハンドにセルフ。⑪自分の腰からエイトノットを外して、捨て縄を通してオーバーハンドで連結して輪にする。⑫ABのビレイを解除した後、2本目のフィックスの末端(ザックに結わえてあった)を1本目のエイトノットの輪にエイットノットで連結する。

 

 これで2本目のフィクスも張れたことになる。(この日は合計100m

 

 あとはフィックス頼りにアッセンダ―でサード以下に登ってもらうだけ。サード等の支点の掛け替えは環付利用。フィクスをもっと伸ばすならサード以下に背負ってきてもらうのが望ましい。

 

 フィックス利用の下山時は前向きで。基本やることはATC等の確保器兼下降器での懸垂下降と同じ。こけても握った手を離さなければ落ちない。最悪スノーバーで止まる。

 

 全体の要点としては、リードが常に楽な状態で登れるようにすることと、カラビナ等無駄なギアが発生しない軽いシステムを構築でなければならない点。ネパールヒマラヤではスノーバーが熱を持ち、バーのまわりから雪が融けて支点の弱体化をまねくので、1日で回収するようなルートでない場合には雪に埋めてしまうこと(捨て縄だけ雪から出しておけばよい)。

 

■■ここまで■■

 

 と、自分のためのメモ書きでした。来年は自分でも教えられるように血肉にしなくては。今年は海外技術交流会(冬季)もあるからそこで復習だ。

 

 

 この日教えて頂いた片柳さんは、来年、東北のK2遠征隊に参加し、2013年に登頂を果たせなかったK2へのリベンジに向かいます。成功すれば栃木県で初のK2登頂者になるばかりでなく、世界最高齢のK2登頂者にもなられます。山の世界は本当に狭い。やる気さえあれば、誰でも様々なアプローチの仕方で世界に名を轟かせることができます。

 まあ、山は名を馳せるために登るわけじゃありませんから、そういう点ですら、山の楽しみ方の1つでしかないというのが山の奥深いところです。

 とはいえ、片柳さんは海外委員会の仲間ですから、成功したらそりゃあもう海外委員会としたら嬉しいかぎりです。考えただけでワクワクしますし、是非登頂していただきたいと考えております。氏と久々に話したら、ますます若々しく、自分もまだまだ老いられないなと、パワーをいくらでも補充できるのでした。

 閑話休題。今年の海外登山技術交流会は、2日間に渡り雪渓上で活動でき、とても充実した内容にできたと思います。毎年参加して頂いている方にこれからも飽きられないよう工夫しつつ、これからも、栃木県の海外登山技術の蓄積と伝達、そして情熱のお裾分けをしていけたらと考えています。

 今年度は冬にも海外登山技術交流会があります!(たぶん3月頭)本交流会に参加された方でも参加されたことのない方でも、栃木県山岳連盟加盟団体に所属している方やパーソナル会員の方なら、基本参加可能です。時期が到来しましたら、是非ご参加ください。海外委員会は、あなたのハートに灯っている火を大きくすること、お約束致します。(おわり)