栃木県山岳連盟は来年70周年を迎えます。わたしは海外委員会に所属しているので、記念行事としての海外遠征の山選びに加わっているのですが、何処に行くかはいまだ未定も、訓練は始めなくてはいけません。というわけで、海外遠征訓練として、西会津のマッターホルンこと蒲生岳に海外遠征を視野に入れている仲間と入ってきました。
憶えている人もいるかもしれませんが、わたしは厳冬期の蒲生岳は2回目です。前回はかなり苦しみましたが、今回は如何に。
●前回の蒲生岳の山行記録
http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11979320951.html
結論から書けば、今回は本当にスムーズに山頂まで登ることができた。828mと低山ながらも登りに6時間もかかった前回とは打って変わり、今回は3時間40分で山頂に着くことができた。やはり同じ山、同じ厳冬期とはいえ、条件次第でかくも違うということです。わたしは個人的にはすいすいと登ったのですが、参加された山仲間1名(マッターホルンやアイガー登頂経験あり)にはそれなりに厳しい山行だったようです。
やはり西会津のマッターホルンというだけのことはあります。斜度はきついですし、ラッセルしやすい雪質でしたが、体力と技術は当然それなりに求められているということなのだと感じました。
さて、個人的にはスムーズに登ってしまったので、書くことがあまりありません。書けることといえば、蒲生岳は素晴らしい山だということです。厳冬期の蒲生岳はルートを自分で見出さなければなりません。トレースなんて当然ありませんし、雪質の状態や、クラックやクレバスの場所によってルートを判断しなければなりません。それも結構な斜度で。
前回(赤ライン)は、登山開始から右手の尾根に取り付き、壁に突き当たってから、壁に向かって右のルンゼに入りました(2ピッチ)、今回(青ライン)は、登山開始から左手の尾根に取り付き、壁に突き当たってから、素直に壁に向かって左の尾根に出ることができました(1ピッチ)。どちらのルートでもザイルを出しましたが、求められている技術はかなり違いました。今回のルートのほうがはるかに楽ですが、下山には向かないという点はあげられます(急な尾根は懸垂50m×2で下りました)。
ただ前回のルンゼに入ったのが間違いかと言えば、そういうわけではなく、前回はこの左の尾根は雪がキノコになっていて、とても取り付くことはできなかったのです。つまりは現場判断。臨機応変な対応が求められているわけです。そういう判断をさせてくれる山はなかなかありません。鍛錬の場としては、とても優れていると思います。
●山行時間
登山口P出発9:25~頂上着13:05(3時間40分)~頂上発13:25~登山口P15:45(2時間20分)
まあそんなこんな、あとは写真でお楽しみください。
今回の天気もあまり良くないが、冬はたいていこんな感じ。風がないので蒲生岳日和と書いておくとしよう。
今回の山仲間は、H山岳部のI氏とS山岳会のS氏。
膝上のラッセル突き進んでいく。
尾根に取り付くと急斜面が待っている。ザイルは本当に厳しいところでしか出しません。
ザイルは1箇所出して、尾根は抜けた。里山だから下界が近い。散歩中の犬の鳴き声すら聞こえてくる。
前回取り付いた右手の尾根上に夫婦松というのがありました。目の前に現れた2羽のウサギは化身に違いありません。
危ないところはクリアして、
残すは山頂のみ
登頂です。前回6時間かかった道程が、今回は僅か3時間40分。
下山時に鼻毛通しを確認。次回来ることがあれば、雪が詰まった鼻毛通しを貫通させてみたいものだわ、とかなんとか。
下山は懸垂2回したので時間をくいましたが、それでもやはりあっという間でした。暗くなる前に下りてこられたので、なによりでした。今回も登らせて頂きまして、ありがとうございます。因みに、厳冬期の蒲生岳に入るにはそれ相応の技量が必要です。安易に真似しないようにお願い致します。(おわり)