栃木県立美術館で、企画展「高木修展 特異な空間へ」が開催されるということで、興味があったので初日に鑑賞してきました。
空間の演出というのは、芸術においてはどんなジャンルにでも必要不可欠な要素で、それはじつは生活からなにからすべてに当てはまるものでもあります。でも、空間に対する演出は絶対ってわけじゃない。これがミソ。空間演出に工夫を凝らさなくても、大抵は成立してしまいます。
例えば、露天風呂。屋外にでーんと風呂があれば、それで成立するし、泉質さえ良ければそれだけでお客さんも満足して帰るだろうが、そこで一工夫して空間を演出してみると、見違えるような世界観を紡がれたりすることもある。
そこに動の演出と時間の演出も加われば尚のこといいが、そこは案外むずかしい。
本展は、空間の切り取り方や、客体から見られる角度に対する意識、照明と空間のかかわりという意味において、見るべきものがあったように思う。初日は高木修さん本人の解説付きで鑑賞できましたが、本人の解説付きでもこういう作品はだいたい意味が分かりません。作り手の思いとは裏腹に、作品は一人歩きしていくものです。
運動にと連れ出されたこの手に弱いわたしの妻は、やはりチンプンカンプンだったようで、芸術ではなく頭が爆発する~と、おどけて見事に空間を演出しておりました。(おわり)