人気作たたみかけ(@大人図書館Vol.6) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録




図書館利用を思いついた約1年前から予約していた『村上海賊の娘』の順番が回ってきた。本屋大賞も受賞した人気作品だ。がしかし、思いのほか面白くなかった。わたしは和田竜先生の作品が好きだけど、どうもちょっとずれてる嫌いがある。「のぼうの城」も好きは好きだが、のぼうよりも「小太郎の左腕」だし、本書より「忍びの国」だ。なにがあわんのかというと、物語構成がどうにも漫画臭いというかアニメくさい。序盤からヒューマンプロットが臭いすぎていて、戦国時代ものとしてすんなり受け入れられない。描かれている世界観がいつも以上に戦国時代以外でも通用する話しになってしまっていたのも残念だったな。宗教絡んでいるのに綺麗過ぎる。(★★★・・)






次に読んだのは西加奈子著『サラバ!』。予約したのは直木賞受賞作品って理由だけなんだけど、ようやくの順番が回ってきた頃には、楽しみ感が半端なくなっていた1冊だ。なにせ、わたしが小説読まない間に、この西先生とても有名な作家さんなられたようで、右からも左からも西先生いいよと聞こえてくるから期待は膨らむばかり。そして、とうとう西作品を拝読し、ものの数行で好きになり、読み終わってもその気持ちは変わらない。期待値が高いところをはるかに上回ってきたのだから、なおのこと。上下2冊の長編だけれど、飽きさせずに面白く話しを展開し、芯もまったくぶれなかった。これは傑作でしかない。皆さまにお薦めしいたします。(★★★★★)






次に読んだのは先小説より、だいぶ間をあけてから読んだ湊かなえ著『山女日記』。間に数冊のエッセイが入っているけど、ここでは小説しか紹介する気がないので飛ばします。で、本書。うーん、つまらなかったなあ。短編集なんだけど、最後の山以外はどこの山でも通じる話しだし、なにより、何人も山デビューさせてきたけど、いくら山素人といったって(玄人なら尚更)、登山中の頭の中でこんな思考が展開しようとはとても思えない。山は非日常の世界であって、日常を持ち込みたくても持ち込めないほどの世界だとわたしは思うよ(疲労だったり、感動だったりでね)。タイトルにもあるように、これは山を選んだ女性の日常が描写されている日記でしかなく、そういう意味で山を選べば日常もポジティブに物事が進むという誘因剤には成り得ているのかも。著者の作風にあっているかは疑問だが。(★★・・・)