山行報告「八丁尾根~鋸岳~甲斐駒ヶ岳」 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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1. 前書き

73連休に八ッ峰Ⅵ峰フェースから上半部~本峰(23日)を計画していました。台風の接近を知りつつも行く覚悟で集合したけれど、その後の協議の結果中止と決定。代案として、南アルプスでまだ歩いていない八丁尾根と雪稜用に取ってあった鋸岳を繋げる「八丁尾根~鋸岳~甲斐駒ヶ岳」を計画して実行に移すことにしました。今回はその報告。下山は黒戸尾根もくしく尾白川渓谷道(廃道)を利用する健脚向けの周回コースになります。


2.記録(初日)

金曜の夜はいったん解散し、土曜の夕方に再度集合。尾白川渓谷駐車場に前入りして幕営し、宴会しつつ、翌日4時に行動開始。



わたしの持っている数年前の地図には矢立口登山道までは道がついていないので、駐車場から矢立石登山口までは道なき道をいくことを覚悟していたけれど、いざ向かうとちゃんと登山道が整備されていて何の問題もなく駐車場から矢立石登山口に到着することができました。とはいえ、ここはわりと急斜面。朝一からだとバテます。



ほどなく行くと日向山に到着(6:25)。



鳳凰三山のような砂浜的な様相でなかなか見事な山頂です。遠足やハイキングにオススメ致します。



そのまま尾根を歩いて鞍掛山への分岐である駒岩をこえ、大岩山頂を目指します。この尾根上からは、富士山や鳳凰三山、甲斐駒等の眺望が楽しむことができます。



大岩山到着。ここは特別なにがあるというわけではない山頂でした(10:00)。



ここから八丁尾根を鋸尾根方面へ向かいます。大岩山の南面の斜面は切り立っており、昔は数回の懸垂下降が必要な箇所でしたが、いまでは鎖やトラロープが張り巡らされているので、登攀装備なしでも進むことが可能です。地図上は破線すらついていませんが、一般登山者も自己責任で歩けると思います。



後半細くなる八丁尾根を烏帽子山に向けて進んでいると、雨が降ってきました。



烏帽子山山頂を越え(13:00)、八丁尾根と鋸尾根が交わる三ッ頭分岐へ到着(14:00)。ここで仲間達がかなりへばっているので協議に入る。お題は鋸岳アタックを計画通り明日にするか、このまま今日行うかである。というのも、ここの三ッ頭分岐の標識看板に、鋸岳まで1.4hと表示されていたからです。


えー嘘でしょう。2時間40分はかかるはずなのに、その程度でいいの?てな訳で協議が必要となったわけです。三ッ頭分岐から六合目石室(避難小屋)までは約1時間かかります。計画上はこの日は避難小屋で一泊し、翌日アタックとなっていましたが、これだと避難小屋の往復2時間分を損することになる。この日このままアタックすれば、この2時間分の労力を浮かすことができるのである。


仲間に問うと、1名から明日の早朝アタックならわたしは厳しいとの返答あり。今日このまま行くなら行きますとのこと。これで決まった。もともと鋸岳を取りに来たのだから、全員でアタックできる今日をもって道はない。三ッ頭分岐に必要のない荷物はデポし、鋸尾根を鋸岳に向けて進むことになった。


しかし、三ッ頭分岐から鋸岳を目指す鋸尾根は登り下りが激しいことといったらなかった。30分を待たずに、仲間1名から体力的限界の申告を受け、仲間1名は小屋に先に戻ることになった。もう1名の仲間からは行きますとの返事をもらう。



登り下りを繰り返し、中ノ川乗越のガレの急登を登り詰める。落石注意箇所だ。後続に別パーティが着いてきていたが、中ノ川乗越の登り返しを見て無理と判断して撤退したそうだ。



仲間1名も遅れがちとなるも、なんとか第2高点を取ることに成功(15:00)。鋸岳はピークが何個かあり、夏は2つ取ることが可能です。


仲間を第2高点で待っていると、着いた仲間から体力的にはまだ行けそうだが、これだけの登り下りを下山する気力がわかないので、ここで引き返したいとの申し出あり。自分はここで待機しているので、リーダーだけ行ってくださいと薦めてくれるも、3名のパーティーを3つに分裂させて良い訳もない。ピークはまた取りにくればいいだけのことである。第2高点にて仲間と撤退判断とした。



三ッ頭分岐へ引き返し、デポを回収して日が暮れる前に六合目石室に着けたので、この判断は正解。先に戻っていた仲間も心配していたようなので、無事に合流できてなによりでした(17:30)。


小屋は我々3名含めて6名で満員御礼。石室は人気みたいなので、利用を考えた場合は使えないことも想定してビバーグできる準備をしておいたほうがいいです。


本日の問題は、計画を狂わせた三ッ頭分岐の標識看板である。鋸岳まで1.4hは完全に間違っている。第2高点までで1時間30分かかった。鋸岳のピークを取るには2時間30分はいるだろう。標識看板が第2高点を指しているか、はまたま2.4hと書くところを1.4hと誤記してしまったかである。


ともあれ、仲間2名はかなり消耗したようなので、明朝の鋸岳アタックもやる気がないことを両名から確認をとった上で、それなら少し睡眠時間を増やそうかと易しい提案をして、早々と就寝することにした。(2日目につづく)