近況457.冬合宿にむけて準備山行 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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今年末年始の冬合宿は、昨年一昨年も挑戦した「涸沢西尾根~奧穂高岳」です。これは昨年奧穂登頂を果たせなかった時点で決まっていたことなので、その実行になります。


このルートは2年連続奧穂どころか涸沢にすら登頂してないのですが、特段ルートが難しいわけではないのです。年末年始という時季的問題と23日(予備日なし)という日程的問題が相まって取れていません。そこに2年連続の冬型の大荒れですから取れないのも当然で、昨年なんぞは蒲田富士にすら登頂できませんでした。


そんなこんな今年はリベンジになるわけですが、今回取れても取れなくてもこのルートには一区切りつけようと決めました。というのも、もうこのルートに拘っていても、勉強になるような要素が少なくなっていたからです。来年末年始は別のルートに駒を進めるという信念のもと、今回の冬合宿に挑みます。


そこで入る時期をいつもの年末の23日ではなく、正月11日~3日に移しました。もちろん理由は年末入った別隊のトレースを頂こうというよこしまな理由です。でも私たちは2年間せっせとノートレースをラッセルしてきたのですから、今回はおおめに見てください。


隊編成は荷をもっとも軽く上げられる4名編成。1名は雪稜新人さんですが、そのくらいの不確定要素を入れておかないと、いくら登頂狙いでも合宿としては成立しないで楽しみです。


今回はこういった形で挑むことになりましたが、取り敢えず、本日は冬合宿の準備山行として入ってきた那須アルパインルートを紹介するに留めます。


本那須アルパインルートは、わたしはこれで3回目。リーダーとして2回目です。冬合宿に参加する4名で登る予定でしたが、1名が直前で折り合いがつかず、雪稜新人さん1名含む3名で入ることになりました。




今年特筆するなら雪が多かったことですね。駐車場から取り付きまでは例年では考えられないラッセル、ラッセル、ラッセル。さらには早朝は風があまりにも強く、スノーシューを履いている際には、横殴りの突風に吹っ飛ばされました。常時非常に強い風が吹いているより、強い風の中にたまに突風が吹くほうが足もと救われますね。荒天の那須にわざわざ暴風経験しに登ったこともあったのですが、今回は風の怖さを再認識させられました。


ただ日も昇ってくると風もほどほどの強さにおさまり、青空も出ていたので温かく、過去の当ルート登攀時と比べても最高といってよいコンディションになったので、問題なく入ることができました。それでも雪稜新人さんは寒い寒いと言っていたので、冬季アルパインの寒さ慣れするには丁度よいルートなのだと思います。


当ルートの正式名称を伏せているのは山岳会からの希望です。当ルートは立入禁止にしよう、いやしないと言った議論が燻っているところなので、下手な人に入られて事故を起こされると問題だという理由から伏せられています。現地で何処に行くのか聞かれても、必ず誤魔化すようにしています。分かる人には分かるルートですが、皆さん絶対事故禁止のルートなので、甘い気持ちで入るのはやめて下さい。わたしが言うのもなんですが、お願いします。




さて、とは言ってもアルパイン初級という感じのルートで、ロープを出すのは1ピッチ×2箇所、懸垂1箇所です。強者ならソロでロープなしで抜けているくらいのルートです。ちゃんと練習している人なら難しいこともありません。


ただ、この準備山行の日は、核心部に若者3名が先に取り付いていて、1時間あまり待たされることになったのですが、どうにもそのリードさん、核心の1ピッチを自信をもって登れない様子。


本核心はガバばかりで簡単なのですが、やはり初見だとオブザベ能力が鍵になります。リードはどうにも自信がなさげで登れない。ここは支点を取ることができないので、落ちれば死ぬ確率も結構高い場所です。


最終的にはスリングを心もとない岩角にかけて勇気をもらい登りきってました。見ているこっちはヒヤヒヤものです。そしてセカンドが登りだしたのですが、これまたロープにヌンチャクをかけただけで登っています。これはほぼフリーの状態です。折角リードが登ったんだから、オートブロックを利用して登ればいいのに。。


今回はよその隊の登り下りを1時間近く見ることができて、良くも悪くも勉強になりました。




我々は今回は素直に登ることに成功し、下山も無事にこなせたので御の字です。




雪稜新人さんも雪山登山では初登頂ということで喜んでくれていましたし、外部的要素への対応といった面で考えさせられることもあって、なかなか良い準備山行になったと思います。


次回は冬合宿の山行報告!