山行報告【白馬岳主稜(春合宿・雪稜入門)】下山とまとめ | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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4. 山行記録(下山)




山頂の景色を存分に楽しみ、風の避けられる小屋脇に移動して大休止。今回は途中途中、カロリーや水分を摂取することができたので、まったく疲れていなかったが、それでも必要以上に食べて飲んでおいて間違いはない。




30分ぐらい休んで白馬岳大雪渓へ下山開始。




大雪渓に山スキーで入っている人も多かったが、もう楽しく滑れるような斜面ではない気がしました。




ありとあらゆるところがデブリ状態


結局、下山は10時過ぎ。ピークまで5時間。白馬尻のテントまでは7時間の行程になりました。この後、テントを閉まって下山し、温泉でのんびりしても、G.W.の昼飯時の大混雑に巻き込まれてしまう有様。うーん早く下りすぎた!とか言って笑いの絶えない山行となりました。めでたしめでたし


5. まとめ

今回の山行は上手く行きすぎました。根拠のない「大丈夫だろう」という山行は絶対しないと決め、リスクを回避回避していった結果が、良い方向に運んだ次第です。


しかし、今年のG.W.は例年以上に山の事故が多かった。遭難や滑落での死亡事故は20名に届く勢いではないか。うちの山岳会のメンバーが入っている山域の死亡事故のニュースもどんどん入ってくるものだから、下山後も本当に心配が続くことになりました。


また、今回はわたしたちが入った白馬岳でも死亡事故があったので、生きてるのかとの問い合わせが少なからずあって大変でした。自分たちのやっている山行レベルが危ないと思われると登りづらくなるので、それはそれで困ってしまう。


さて、今期の事故は、ベテランの滑落や遭難が多かった。富士山での事故はレベルが高く、わたしがどうこう言う次元にはないと思うが、今年はベテランの穂高での滑落や遭難が非常に多かったように思う。


しかも悪天と分かっていて入っての事故だ。山岳会は天気が悪かろうと入る、それは練習する意味でも致し方ないように思う。しかし、一線を超えてはならない。悪天時に山に入った際は、どこが引き上げ時が見定める必要があるわけだけど、冬季の場合、それを入ってみてから判断するのでは致命的に遅い。そこが大事だ。


今回の北アの天気の急変をみても分かるが、天気の下り坂は文字通り転がるが如し。現場で予兆を感じ取ったら手遅れということは多いと思う。だから入ってから判断するというのでは絶対遅いのだ。


やはり机上の天気図から判断し、致命的となる可能性があるのかないのかそこで見極めねばならないだろう。またはそれを踏まえて登山口で判断をくだすべきだ。


今回、わたしたちの隊は白馬岳主稜の登りをおおいに楽しんだ。しかし、あの主稜線でホワイトアウトでもしていたら、滑落のリスクはどれだけのものになったのだろうか。わたしたちが停滞を決めた日、多くの隊が稜線にあがっていったが、天気が急変するのが分かっている以上、それはホワイトアウトしても滑落しない者を出さない隊全体の力量や、突風でテントを吹き飛ばされない幕営技術、それら裏打ちされた技術を備えていればこそなのだと思いたい。


うちの隊にはそういった技術はまだないから停滞した。それだけのことなんだと思う。他所は他所とわりきることそこが、登山で死なない極意なんだと思う。本当はさ、今回の風の中、稜線で幕営してみたかったんだよ。でもね、稜線で雷の可能性を消すことができなかったから、停滞の判断となりました。


結論は雷は発生しなかったそうだから、停滞しなくても良かったのかもしれない。でも山はそういう結論ありきでなく、リスクをどれだけ回避するのかってところで考えなくてはいけないと思う。


今回はそういう意味で、見事に判断でき、上手い山行を成し遂げられたと思う。停滞し早出とすることで、渋滞に巻き込まれず、結果的に稜線で幕営した多くの隊より早く山頂に立つことができた(うちの隊より早く山頂に着いたのはたぶん1隊)。


どの隊にも抜かれなかったあし、天気と許された日程、うちの隊の技量とギア、いろんなものが噛み合って、最上の山行となったのだ。失敗じゃなく成功からだって学ぶことはある。なんで上手く行ったのか、もう一度おさらいをして、次回に備えよう。(おわり)