1. 行動予定
2日目(2/23)
5:00 行者小屋
6:30 赤岳主稜取付
11:00 赤岳山頂
12:30 行者小屋
15:00 赤岳山荘
21:00 宇都宮到着
2. 山行記録
起床時刻の4時に飛び起き確認したら、それは凍っていた。凍らないよう処置を施していても凍っていた。冬季用の登山靴はそうそう凍るものではないけれど、やはり少しでも水分を含んでしまうと、かくも簡単に凍るのだ。冬季に登山靴を濡らしてはいけない。
てなわけで、2日目も朝から登山靴を分解して乾かすところから始まった。徹底的に乾かしてカラッカラにしてやりましたぜ!
天気は快晴無風。これから行くルートが朝から視認できた。胸は高鳴る。さあ行こう。少し歩いて、後輩が肝心のロープを忘れたとのこと。取りに戻る時間発生。前日は別の後輩がビーコンを忘れて取りに行った。こういうキャリアの浅い隊はミスが連発する。現場でミスにどうこうはない。ただ起こらないよう準備して、でも起こる前提でいたほうがいい。わたしも含めてこの隊はキャリアは浅い。同レベルで編成すると、良いとこも悪いとこも等身大で、まさに自分にも必要だったりすることが多いから勉強になるわあ。
でも皆ワクワクと浮き足だっているのかもしれない。リーダーの自分だけは冷静でいなければなるまいて。
わたしたちが本日取り付く赤岳主稜は一般ルートではありません。アルパインルートつまりはクライミングギア装備が必須で、ロープを出して登るルートになります。赤岳を冬季に単純に取りたいと思うなら、文三郎尾根をいけば山頂に着けるのでそちらをご利用ください。
さて、赤岳主稜の取付ですが、その文三郎尾根に向けて歩き、森林限界を超えて右にルートが曲がるあたりから、左にどりゃーっとトラバースします。雪崩ポイントなのでロープが必要と判断したらロープを出さなければいけないポイントです。
わたしたちの隊は、トラバース前にロープをさばいて、取付に到着後すぐに登れる態勢にしてからトラバースし始めました。既に同ルートに取り付いている隊がいるようですが、取付には人がおらず、待たずに登れそうです。
慎重にトラバースをこなし、取り付きに到着。ロープをさばいて後は登るだけ。しかし!何故か後輩のロープが絡みに絡んで登れる状態になりません。そこに後続の隊がやってきたので焦ります。しかし待てど暮らせどロープの状態がよくならないので、先に行ってもらうことにしました。ロープがどーしょもない状態になってしまった理由は、トラバース前にロープを出した際のまとめ方がいけなかったようです(推測)。
んなこんなで、一隊先に行ってもらっただけで、30分前後待つはめとなります。先に行ってもらった隊もさほど上手い隊ではなかったようで、この先ドン詰まるかもしれないと思うと残念無念。がしかし、問題はロープとは別のところでも発生していた。
それはわたしの登山靴がキンキンに凍ってしまっており、その冷えのせいで、わたしの足指がもう逝っちゃいそうになっていたこと!
そうなんです。起床して散々乾かした登山靴ですが、やはり一度濡れてしまうと、人間では認識できない水分までは乾かしきれず、そいつが八ヶ岳のような-20℃の世界では簡単に凍結を招いてしまうようです。履いたときは問題なかったけれど、取付までの歩行30分程度で見事に凍り、わたしの足まで凍らせようと襲いかかっていたのです。
靴と足が不味い旨を隊員に報告。足先を持ち上げたり、シェイクしたり、温める避難的処置を講じるものの、その場かぎり感は否めず、このまま赤岳主稜に取り付くと足指逝ってまう可能性が高いなと判断。どうしよう。ここで赤岳主稜を諦めて引き返すのか?
わたしが隊員だったら隊長に無理ですと報告したかもしれないが、これはわたしが隊長の隊だ。わたしの自由判断だ。既に時刻は7時を過ぎ、天気は快晴無風。2ピッチ登れば日向に出る。さすればなんとか凌げるのではないか。現状の取付から諦めて下りるのと時間的大差がない。おまけに日陰ばっかやしね!これはどっちもどっち。靴が濡れたという時点で諦めておくのが正解だったようだ。うーむ、失敗無念。
後輩Wさんが最終確認してきた。「本当に大丈夫なんですね?」と。わたしにはこう答えるしかなかった「大丈夫な気がしないでもない」。ようするに煙に巻くしか道がなかったのだ。行っても行かなくても同じなら行くしかないでしょ。GOだGO!!(つづく)