蓋をあけてみれば、ノーサプライズの授賞式でした。ここまでノーサプライズなオスカーは記憶にありません。確か「王の帰還」の時だって、ここまで本命ばかりが受賞していかなかったのではないか。ともあれ、評価されるべきものが評価されたのだから、それでいいと思います。受賞者の皆さんおめでとうございます♪
最多受賞は監督賞を含む7部門で「ゼロ・グラビティ」でしたね。本作はわたしも素直に革命的な映像作品と捉えているので納得ですよ。編集が肝のような「キャプテン・フィリップス」に本賞だけは取らせたかったのだけど、無理なお願いだったようです。
そんな多勢にも屈せず作品賞の栄冠を死守した「それでも夜は明ける」はお見事でした。まあ下世話な話しで恐縮だが、現協会を数年前より仕切っているクルーニー兄やんとブラッド・ピットは、これで双方オスカー像を手にした格好ですなあ。なんというか、上手いこと行くものだわい。しかしだ、しかし、この2人は映画をファンよりも愛している2人だし、別に権力志向ってわけでもない、単純に映画と業界をよくしていこうと思っての活動の結果がこれだ。素直に素晴らしいと讃えたいね。
↑昨年のクルーニー兄やん
↑今年のブラッド・ピット
さて、今年の授賞式は過去10年で最高の視聴率をさらった授賞式になったようです。話しによると250万人も視聴者が増えたとか。これ偏に演者や業界人に敬意を払った授賞式だったからに他ありません。
今年のコンセプトはホームパーティーのような授賞式。司会者に、エレン・ディジェネレスを再起用して、スターたちの自然な笑顔を上手く引き出してみせた。我々映画ファンというものは授賞式になにを求めているのかといえば、別に結果速報を求めているわけではありません。スターたちが普段は見せない素の顔を見せてくれた時にこそ、我々はニヤニヤしてしまうわけです。
というわけで、今年は素晴らしい授賞式だったと思います。なにより、時間制限で伝えたいこともろく伝えられないスピーチを強制してきたシステムが廃止されたのが嬉しい。今年は時間無制限でスピーチしていいとあっては、素晴らしいスピーチのオンパレードでしたね。血の通った授賞式でとてもよかった。
主演男優賞を受賞したマコノヒーは(あのマコノヘーですよ?!)「15歳の時にヒーローは誰かと聞かれ、よく考えてみたらそれは10年先の自分だろうと。つまり追いかけるのは自分自身です。尊敬するもの、期待すること、追いかけるものそれですべてがうまくいくものです。これからも人生は続きます」とスピーチしてましたなあ。
オスカーのような頂点の場所ですら通過点だと思ってなければ、人生は渡りきれないものだとわたしも思います。わたしがマコノヒーに出会った作品「評決のとき」でも借りてこようかしら。サンドラ・ブロックも出ている黒人差別もの。まさにタイムリー。20年弱前のマコノヒーを目に焼き付けて現在の彼に挑めば、きっと涙がちょちょぎれるにちがいありません。あー頑張ってるといいことあるんだな、おれも頑張ろう。10年先の自分、楽しみだぜ!
■作品賞■
それでも夜は明ける
■監督賞■
アルフォンソ・キュアロン(ゼロ・グラビティ)
■主演男優賞■
マシュー・マコノヒー(ダラス・バイヤーズクラブ)
■主演女優賞■
ケイト・ブランシェット(ブルージャスミン)
■助演男優賞■
ジャレッド・レト(ダラス・バイヤーズクラブ)
■助演女優賞■
ルピタ・ニョンゴ(それでも夜は明ける)
■脚本賞■
her 世界でひとつの彼女
■脚色賞■
それでも夜は明ける
■編集賞■
ゼロ・グラビティ
■撮影賞■
ゼロ・グラビティ
■美術賞■
華麗なるギャツビー
■衣装デザイン賞■
華麗なるギャツビー
■メイク賞■
ダラス・バイヤーズクラブ
■視覚効果賞■
ゼロ・グラビティ
■録音賞■
ゼロ・グラビティ
■音響効果賞■
ゼロ・グラビティ
■作曲賞■
ゼロ・グラビティ
■歌曲賞■
“Let It Go”アナと雪の女王
■長編ドキュメンタリー映画賞■
バックコーラスの歌姫たち
■アニメーション映画賞■
アナと雪の女王
■外国語映画賞■
追憶のローマ(イタリア)
■短編ドキュメンタリー映画賞■
The Lady in Number 6: Music Saved My Life
■短編映画賞(実写)■
Helium
■短編アニメーション映画賞■
Mr. Hublot