山行報告【松木渓谷アイスライミング(1日目)】 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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1.前書き

所属山岳会の会山行「アイスクライミング」があったので、会の有志で前入りして、2日間アイスクライミングを満喫してきました。わたしはこれで今シーズンはアイス3,4回目になります。

2.山行記録1日目:松木渓谷・ウメコバ沢

初日は、松木渓谷でも一番奥にあるウメコバ沢を目指します。最近、松木渓谷はクライマーに人気のようで、駐車場は人でいっぱいでした。そしたら知り合いが5名もいるじゃないですか。わたしも山の知り合いが増えてきたなあと、こういう時に実感しますな。




駐車場から最奥の沢に向けて歩き出します。秘境のなかの秘境と呼ぶ人もいるウメコバ沢ですから、その取り付きまでは駐車場から2時間30分弱は見ておいたほういいと思います。わたしたちは途中でテントを張り、そこに宿泊用の荷物をデポして、取り付きに向かいました。




で、これがウメコバ沢のF1です。凍っているのは珍しいそうです。F1F2にはフィクスがはってあるのでそれを頼りに巻きます。今日目指している滝はこんな小さいものではありませんから、凍っていても素通りします。




せっせとウメコバ沢をつめて、到着したのが目的のF650mロープを目一杯使って登る大物です。因みにF6というのは、沢の6つ目の滝という意味です。今回はこのF6とその上にあるF7で遊びます。




2名は右側から先に取り付いていきます。




わたしを含む3名は左側から取り付きます。




なんかとてつもないところを登っていますが...




F6を抜けるとF7が顔を見せます。今回はここに2本トップロープを張って、時間一杯登ります。




シャンデリアが階段のように見えるので、楽そうに感じるかもしれませんが、11つのシャンデリアは身長以上あり、バーティカル(直角に近い)なので、登るのはかなり大変です。後輩くんは、左も右も上に抜けること適いませんでした。


3.まとめ(1日目)

さて、わたしはこの日知人から売ってもらった一本爪アイゼンをおろしました。前日夜にヤスリで研ぎに研いできた逸品です。わたしは今シーズンでアイスは3シーズン目ですが、はっきり言って、アイスの楽しさがいままでまったく分からないでいました。エベレストを目指している以上、必要な技術なので習得しなければならないと思っていただけで、アイスそれ自体に面白みを感じたことはなかったのです。


だって、そうでしょう? アックスを振っていればすぐに腕がパンプするし、なによりアイゼンの前爪にのるという感覚がまったくわからない。アイゼンの前爪にのれないから、ずっと足を壁に押し付けているような状態で、それで足は疲労するし、それでも足を信用できないから、腕だよりのアックス大振りになって、結果腕も死んでしまう。足もつらいし、腕もつらい、いったいなにが面白いのかと。そんな風に思っていました。


しかし!一本爪アイゼンに変えた途端、アイスはまったく別のものに生まれ変わったのです。前爪に簡単にのれるじゃないですか!正確にはかかとを下げないと前爪が刺さってくれないので、結果かかとを下げて前爪を入れなくてはならない。すると、かかとが下がっているから、前爪がしっかり入って、無意識でも前爪にのれている状態になる。というか前爪に立っている感覚というほうが近い。もう無意識に立ってるだけって感じ!


わたしは今回始めて足で登るという感覚を手に入れたのでした。するとすべては一変しました。アイゼンの爪は蹴らなくても決まってくれるし、足が信用できるから、アックスもそんなに振らなくてもいい。軽く振るだけで決まる丁度良さを手に入れ、おまけに足で立ってられるから、アックスを不必要に強く握ることもなくなる。


てなわけで、手も楽、足も楽、登りに集中できるようになったのです。そうなれば、バーティカルなところも無茶苦茶長いということがなければ、簡単に抜けられるようになりました。斜度に対して、アイスで怖そうだとか、難しそうだとか、まったく感じなくなりました。


それでも行きづらいルートはある。それが前爪を刺す場所がないルートだったり、アックスを刺す場所がないルート。会長曰く「クライミングのムーブを使うしかない」らしい。え?クライミングのムーブで登っていいいの?!できるのかな~?




バーティカルな部分で出すムーブ。例えば上画像のような後輩くんがカッコよく決めているムーブこそ、ダイアゴナルというものだそうです。こういうムーブを使いこなせば、バーティカルな部分も楽に上がれるようになるとのこと。これって言うは易し、行うは難しだよなあ。


兎にも角にも長くなったので、取りあえず今日はしめます。帰り際にヘリが飛び回っていたのが心配です。テントに戻ると、一緒に酒盛りしようと言っていた知人の隊のテントが撤去されていました。胸がざわつきます。取り越し苦労なら良いのですが。




この日は、食担の後輩くんが腕をふるってくれて、下界で頂くようなおでんにありつくことができました。18時前から22時まで飲み倒す贅沢な時間でした。楽しかったなあ。(翌日につづく)