山行報告(はじめての読図山行) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

日曜、会の月山行で読図山行やってきました。読図とは、地図を見てその内容を読み取ること。今回は、事前にコンパスの使い方と読図法を教わっての山行となります。


因みに、絶対おさえたい読図の基礎は、①2万5000分の1の地図の理解、②磁北線を書き加えなければ、地図は役に立たないこと、③コンパスの正確な使い方の3点です。


さて、今回の登る山は、栃木百名山にも選ばれていない無名に近い山々。リーダーが人ができるかぎり入っていない山を栃木県内から一所懸命探してくれたそうです。人の踏み跡があると、自身の読図ではなくそちらに流されてしまいますからね。ルートは、三依小学校裏-滝向山-日向倉山-川沿いの車のデポ地点(ゴール)で、これは当日まで伏されていました。基本的に目標をその都度設定しながら、登山道のないルートを進みます。


そんなことよりも、わたしは前日の裸足マラソンの疲労から、下半身がバリバリいっており、はっきり言ってまともには歩けないような状態でした。



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スタート地点に辿りつくまでも、ストックを出してびっこふみながら進みます。メンバーから離される、離される、健常な皆さんがウマヤらしい・・・


三依小学校裏から登山開始。読図経験のある4名と未経験4名というチームだったので、二人一組で班を作り、前の班が見えなくなるまで待ち、少し間をおいて登山を開始するという作戦(前の班が見えると付いていってしまうため)。小学校裏の登山道のない急斜面を屋根に向けてまず進む。屋根に出てからは基本的に屋根伝いで進んでいくだけで、滝向山に到着できます(難しいことはとくにない)。


でも読図は下山こそが難しいのだから、それまでの登りでコンパスの使い方や地形の把握の仕方など、基礎的なことを教わっておかねばならない大事な時間です。いかにいままで地形を気にせずに歩いていたのかとよくよく気付かされました。しかし読図は楽しい。ある種のゲームのようである。攻略欲求が高いゲーム世代のわたしにはもう打って付けといっていいでしょう。


そして、人の入らない山の魅力の素晴らしさ。栃木には日光だ那須だと紅葉のスポットがありますが、そこを越えるような美しいポイントが道中にありました。読図に夢中で写真に撮ってないのが悔やまれる美しさです。他メンバーもホントに美しかったと大絶賛しておりました。また、ここら一帯が熊の生息地のど真ん中であるという事実が花を添えます。熊対策に爆竹を用意せよとのおふれが発せられていましたが、それも大げさではなかったと入ってみれば納得の熊の糞の多さ。20分に1つは見つかる熊の糞、時にはほやほやの綺麗な色した糞にまで出会う始末。そして熊の爪の痕跡の数々! 熊嫌いの先輩はヘルメット着用(頭を食べられないように)の上、爆竹をバンバンと鳴らしておりました。他先輩も笛をピーピー吹きつつの山行です。



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滝向山に到着し、日向倉山までの読図をするメンバーの皆さん。日向倉山へのルートも屋根をいけばいいだけなので、屋根が広くぼやけたところなどを意識できてさえいれば迷うところはありません。



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皆なんなく日向倉山にも到着です。記念撮影~♪



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読図の正念場はここからです。下山は車を停めている箇所にピンポイントで出なくてはなりません。しかし途中に目標にできるような視認できる箇所はなく、屋根を歩いていれば辿り着くというわけでもない、なかなか読図しがいのあるルート設定がなされています。皆真剣にそれぞれのパートナーと打ち合わせをしてました。


最初のポイントは、出だしからおりている屋根がぼやけた際に、そのまま屋根伝いに歩くのではなく、西側におりなければらない箇所の把握。周囲の地形の変化などから現在地を読み取り、判断する必要があります(●)。


そして西側に下りる際には、現在地と次の目標地点からルートをコンパスで割り出し、斜面を斜めに下りていかなければなりません。ここは視覚的な目標がないので、事前に割り出したコンパスが指す方向を信じて進んでいくしかありません。がしかし、コンパスだけを見ていると痛い目にあうこともあります。やはり常に地形をチェックして自分のいる場所を地図上で把握する意識が不可欠のようです(■)。



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こんな斜面を屋根伝いではなく屋根から徐々に離れながら斜めに下り入っていきます。進入角度によってはとんでもないところに出てしまうことでしょう。


さて、ここでわたしも1ミスです。先にも書いたとおり、コンパスばかり見ていてはいけないのですが、わたしはコンパス頼りで下りていたため、コンパスの指し示す方向に下りられない岩があり、巻かなければならなかったとき、安易に巻きやすい左を選択して、その後かなり急な斜面と悪戦苦闘するはめとなりました。正解は右で、右に巻けば素直に緩斜面を巻けたそうです。巻き出す前に、地図でどちらに巻くほうがより楽に下りられるか確認するという意識があれば良かったわけです。


そして最後の途中地点(現在地)と車の置いてある箇所からルートをコンパスで割り出し、最後の下りにとりかかります。この頃になると読図(地形を読む)が楽しくなっていて、積極的に地形と地図を見比べていたから、なんら迷うことなく下山することができました。コンパスから割り出した進行方向を指でさし、あそこらへんに車があるはずだと先輩に言って進んでいたら、どんぴしゃ車が指し示したところに見えてきたときには、感動しましたね。してやったりみたいな感じで。


最後の車までの急斜面も、コンパス通りに進めば、ストレートに下っていけばいいだけのことなのだけど、そこは先のミスの学習から、地形図を読み、ここはストレートでなくやや左にあるぼやけた屋根のような箇所を回り込んだほうが楽だと判断でき、最後の斜面で急斜面に悪戦苦闘している前の班を抜くことに成功したりしたのですが。地図を読み地形を把握するだけで、使う体力を温存することができるわけですから、これは冬山技術には必須の技能ですね。鋭意習得したいです。


ゴールした際に「読図楽しかった~」と第一声。先に下りていた一班の後輩も楽しかったようで満足気。おや? 二班がいないじゃないか。二班がいませんね? 途中会ってませんけど?ええ、抜いてません。


しばらくして三班が到着。二班見ました?いや見てないよ。そういえば途中から背後から聞こえていたはずの足音がまったく聞こえなくなっていましたよとは一班の後輩。最初の迷いポイントで屋根伝いに下りてしまったのだろうか? そういえば、変な笛の音が変な方向から聞こえていましたよ。変な音の笛はO氏の笛だ。それじゃあやはり屋根伝いに東へ行ってしまったのか。どうしましょうか。うーむ、気付いて登り返しているかな?どうだろう。このルートで迷った場合は、とにかく南へ南へ下りれば車道に必ず出ると伝えておいたからそのまま車道に向けて下りてるかもしれないとはリーダーの言葉。あっ車の鍵はO氏が持っているんだった。これではなにもすることができない。二班が下りてくるのを待つしかない一同・・・


この日は山行中もわりかし寒くて、下山ポイントもかなり冷え込む。日が落ちあたりも暗くなりだして、あー山狩りかとか、こんな熊だらけの山であの二人はビバーグするのかとか、いろいろと話していました。うちの会では遭難となったら、まずは会の有志が探しにいくことになっているのです。第一班が最初に下山してきたのが15時15分。いまや時計の針は16時20分を回っていました。このままでは埒があかない。


歩ける人間で、駅前に残してある車を取りに行こうということになり、3名を下山ポイントに残し、わたしと会長と後輩の3名で駅前に向かうことになりしまた。歩きながら途中で二人が現れないかと期待しつつ、たまに会長が山中に向かって大声で呼びかけながら、歩く歩く。しかし暗くなっていく空に不安は隠せません・・・


そんな時でした。


向こうから二人がやってくるではありませんか!



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もしも貴方にしてあげられることといったら ~♪



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いっしょに泣いてあげられることくらい ~♪



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そして両手を合わせて祈ることくらい ~♪



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だけどけして私を優しい男だと ~♪



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どうか思わないで欲しいんだ何故ならば ~♪

(長渕剛「友よ」より抜粋)


というわけで、最後の写真のメンバーの安堵の表情を見てください。事故がなくて本当に良かったですね。心から嬉しく思います。理由を聞きながら全員で下山ポイントまで戻り、待機組と合流。待機組はたき火の準備をしておりました(この日は本当に寒かった)。結局、二人は上記(●)地点で屋根伝いに東へ下りてしまったらしく、途中で気付いて分岐まで登り返し、そこから西に入ったものの、(■)の斜面を斜めに入っていく角度を急にとってしまい、やはり目的の地点に辿り着けなかったそうです。そこでリーダーから聞いていた南へ下れば必ず車道に出るという言葉を頼りに、途中かなりの急斜面に苛まれたり、沢に下りて危険な思いをしたりしながらも、車道に出ること成功したそうです。「沢におりるな」の言葉の意味を本当の意味で理解できたとは先輩O氏の弁。迷って失敗はしたものの、この二人がもっとも実戦的な読図練習ができたのではないかと、ある意味ではうらやましかったりするのでした。


あっそうそう、わたしの膝はですね、メンバーの皆さんに「本当に大丈夫?」「深刻そうだな」とかなり心配されてしまうレベルにまで達しておりました。裸足山行の疲労でこの日は棒のような状態になっていてですね、基本足が前に出なかったのです。山行も驚くほどスローなものになってしまって、大変申し訳なかったと思います。でもこれは膝を悪くしているからというわけではなく、単に裸足でマラソンを走ったことによる疲労だと思うのです。左右や箇所関係なく、あらゆるところの細部の筋肉が破壊され悲鳴をあげていたのですから。けして膝が悪化したわけではないはずです(と思い込みたいだけかも)。


兎にも角にも、読図は一朝一夕には身につかなそうです。何度となくコンパスの使い方の間違いを指摘されました。来年は4回くらい読図目的の山行を用意しようかな。冬季山行には必須の技能であると思うので。(おわり)