『イリュージョニスト（2010）』L'ILLUSIONNISTE「THE ILLUSIONIST」
ピクサーがアニメで良い頃のハリウッド（つまりはサイレント前後）を再現しようと試みていたのにならったワケじゃないのだろうけど、本作もアニメでサイレント映画の文法に挑戦していた。冒頭の額縁ありきで始まる本作は、見る側が主人公に感情移入するのをさけるかのごとくに引きの画に終始し、それはもっと大きなものに着眼して欲しいからに他ならないわけだが、キャラクターの丁寧な描写と絵画のような背景は的確で、観る側には、誰でも分かるよう、人の思いや時間の大切さ、一欠片の夢がもたらす効用と結果などなどを存分に提供してくれる。これだけ豊かなイメージを会話なしで提示してみせたのは素晴らしいの一言で、大人が観てこそのアニメショーンになっている。
＊これは感想文ではありません。