北海道産そば粉についてのなんとなく分かってきたこと。(蕎麦漫遊記95,96) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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『手打ちそば 甚作』(壬生)- 蕎麦漫遊記95。

仕事帰りの夕暮れ時は、宇都宮市内の主要道路は常に渋滞になります。だから、どこに行くにしてもちょっとカーナビを外したルートを通る必要がある。この日は、小山に行く予定があったので、最短は通らずに壬生経由で行くことにしました。このほう断然早い! でも問題発生。その道すがらにチャンスがあったら入ろうと目を付けていたお蕎麦屋さんがあったのだ。結局、目的地に着くのは大分遅れてしまったとさ。(んがっくっく)


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そんな急遽の飛び込みとなった『手打ちそば 甚作』さんは、おいらの基本書からではなく、別本に掲載されているお店です。早速掲載されていた“鴨せいろ”を大盛りで注文。客はおいらだけなのに、店員の対応がやけに丁寧だ。周りで誰が見ているわけでもないのに、丁寧ということは、おいらにだけ純度100%の気持ちから丁寧ということではないか。うーむ、素晴らしい。この時点で☆5つです!!


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さておいて、幾分待って登場した蕎麦は、まさかの三段重ね。大盛りだと途端に2枚追加になるのだろうか。いや、きっと最初から2枚なんだな、この店は。


蕎麦は白い平打ちで、画像で見ると饂飩のように見えなくもないがれっきとした蕎麦である。ここは北海道産そば粉を使って二八で打っているとのこと。さて、まずはなにも付けずに。ずずぅはむ。パシッ。なるほど、やはりね。ここでおいらは表明しなければならないだろう。おらは北海道産そば粉が苦手である。蕎麦本を読むと北海道産そば粉を使う理由に、「一定水準のそば粉が安定供給されるから」と店主が発言しているのをよく目にする。しかし、おいらには、どうしも北海道産が他より劣っているように感じてならないのだ。香り味ともに常に微弱であるし、このレベルを安定供給することになんの意味があるのかと常々疑問であった。やはり関東と北海道は距離的にも離れすぎている。劣化も一入なのだろう。


そんなおいらだったが、今年の茨城県産の不作振りには思うところがあった。今年の茨城は蕎麦栽培に大切な時期に寒くならなかったため、出来が悪いらしい。おいらが味わっても確かにそう感じる。でも、出来が悪いからといって、何時も利用している蕎麦農家と契約を切って、別の農家と再契約なんてできるだろうか。商売はそんなに簡単なもんじゃない。やはり業界の慣習上、蕎麦屋側が農家側をさしおいて、上質なそば粉を自由にマッチメイクする立場にはない気がする。そうなると、今年の不作の茨城県産を使わなければならない蕎麦屋は一年泣くしかないのか。そのくらいだったら、常に寒くて安定供給が望める北海道産を使おうと考えるのも理解できる。この店に来るまで、ここらあたりまで考えていた。


がしかし、北海道産を目の前にし、味わってみれば、やはり北海道産受付がたしと言いたくなるのである。北海道産が発する蕎麦特有の甘さは、粉っぽさと一蓮托生となっておいらの脳に味として届けられる。甘さがざらいというかしゅわいというか。ぼかあ北海道産のそば粉なら効き酒ならぬ効きそば粉ができると確信している。そのくらいどうも北海道産のそば粉には納得がいかない。ペシペシペシペシ。そもそも何故に平打ちなのか。啜れなければ、香りを立たせることもかなわないではないか。ペシペシペシペシ。


兎にも角にも、今回は久々の“鴨汁”だ、存分に楽しもう。本店は“鴨汁”の量をケチることなく、凄い量で出してきてくれているから嬉しい。味はどうかな。おっ!これは美味い。いい按配で出汁が混ざっているじゃないか。イイーネ。この“鴨汁”ならどんな蕎麦でも美味しく頂けるに違いない。蕎麦を存分に汁にくぐらせーの、すすりーの。ん???!!!


おっ、なんだこれは。もう一度。蕎麦を存分に汁にくぐらせーの、すすりーの。むむ? もう一度。すすりーの。おお、なるほど。そいうことだったのね!(次店につづく)


【壬生】手打ちそば 甚作 鴨せいろ(大盛り) ☆☆☆☆ /そば湯 ☆☆☆★


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【素材情報】

そば粉:北海道産を二八で

つゆ:本カツオ節、宗田ガツオ節、サバ節

薬 味:葱、しょうが、大根おろし



『そば処 大丸』(日光)- 蕎麦漫遊記96。


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おいらは興奮を抑えることができなかった。ハンターマウンテン塩原に行く道すがら、北海道産の蕎麦を出している店を見付けて飛び込んだ(11時オープンと記されていたけど、この日は10時30分から開いていました)。本店もおいらの基本書からではなく、別本に掲載されているお店です。早速掲載されていた“鶏団子汁セット”を注文。まあ今回ばかりは、掲載されていたメニューが他のなにかしらであったとしても、おいらは間違いなく“鶏団子汁セット”を注文したけどね!!


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頼んだ品がお盆にのせられて届けられる。あれ、つけ汁がついているぞ。これはいったい?なるほど。蕎麦は鶏団子汁につけて食べてもいいし、つけ汁に食べてつけてもいいそうだ。これはなかなか嬉しい心配り。しかし、蕎麦に海苔が。セットは“ざる”で提供される店であったか。ぬかったは!!まあいいや、今日やりたいことは蕎麦を味わうことではない。どうせ、北海道産だ、味は知れているであろう(失礼な記述に悪意はありません)。


どれどれ、海苔をわけてと、ずずっ。うん、やはり味も香りも微弱と言ってよく、おいらが気にしている北海道産ならではの粉っぽさも健在。やっぱりね。でもそれでこそ、今日は食べにきた甲斐があったというものだ。この蕎麦をですねえ、鶏団子汁存分にくぐらせてー、すすりー・・・ほら!やっぱり!!


新発見キタァー!


因みに、おいらはこの鶏団子汁はあまり美味しくはないと判断しました。出汁がまったく活きてなくて、出汁逃げしたような塩分のつっぱた味がする。この店は、つけ汁も出汁が逃げたあとのような水っぽさが目立っていたから、たぶん、この日だけ出汁取りに若干のミスがあったに違いない。普段は違うんだろうから、この際それはどうでもいい。今回おいらは美味しく蕎麦を頂きにきたのではなく、検証しに来たのだ。そして、おいらの推理は確信と変わったのである。おいらが導き出した答えは~


「北海道産そば粉で打った蕎麦は、温かい汁にくぐらせて食べるべし!」


である。北海道産そば粉で打った蕎麦は、温かい汁にくぐらせると食感が変わる。粉っぽさが消え、もちもちと質感が顔をだす。これはまるで別物と言っていいくらいである。温かい汁にくぐらせるという蕎麦の香り消し的愚行も、北海道産はもともと香りなんてほとんどしてないから気にならない。冷たいままで食べるより、温かい汁にくぐらせるという一手間があったほうが断然に蕎麦が活き活きてくる! 北海道民と蕎麦について話したことはないが、もしかしたら北海道は温かい蕎麦が主流なのではないか、自然と温かい汁との親和性の高い品種が売れ筋として生き残り幅をきかせていった、と、そんな解釈まで思い浮かぶ。


そして、一発目の店舗「甚作」さんは、このことを十分に理解して蕎麦を出していたように思える。なぜ、蕎麦を平打ちで仕上げていたのか。それは温かい汁にくぐらせたあと、より一層美味しく感じてもらえるようにという一工夫であったのではないか。「甚作」さんの“鴨せいろ”は、蕎麦や汁の特性を理解し、両者が一つとなって最上となるよう考えぬかれた一品だったのだな。それでこそ、すべてに必然の存するプロの料理というものだな。素晴らしい♪


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大丸さんは、セットについていた小鉢の里芋が美味しかった。和食の修行をつんだという情報には嘘偽りなしです。ごちそうさまでした。(おわり)


【日光】そば処 大丸 鶏団子汁セット ☆☆ /そば湯 ☆☆☆


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【素材情報】

そば粉:北海道幌加内産を二八で

つゆ:瀬戸内本カツオ節

薬 味:大根おろし


【蕎麦まとめページ】

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