緊急・重要)映画のオススメ。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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昨年末に観賞してきた『ヴィクトリア女王 世紀の愛』ですが、まだ公開中なので速報を出しておきます。本作は傑作です。満点に近い評価の作品になりました。たぶん、このタイプのコスチューム劇では、おいらが観た中でもっとも優れた作品と言っていいでしょう。こういった類の映画は、美術や衣装が見所とうたわれることはよくあるけれど、それら技術が本当に主役のように生き生きとフィルムにおさめられている映画はまずありません。それは、どこそこの宮殿が初めて映画撮影の許可を出したとか、有名デザイナーが参加したって話しだけれど、それら技術がドラマに奉仕したことはあっても映画に奉仕してきたことはいままでなかった。確かに壁に穴を開けられない重要文化財での撮影は難しいのは理解できるが、力量がなく持てあますならやめればいいというのが本来の筋である。それに比べ本作のスタッフの仕事ときたら驚嘆に値するほかない。見事なまでに考え抜かれたカメラワークが織り成したのは、いかに画が絵画的に見えながらドラマ的に活きるかという計算に基づいた証明である。コスチューム劇を絵画的に捉えて画に心情を重ねる手法にはよく出会うが、やはり映画である以上、絵画のように切り取られた画であっても活き活きと躍動してなければ、それを映画的至福にはなかなか結びつけられないだろう。本作の美術や衣装は、まるで俳優かのように演出がつけられ、一共演者かのように画の中で振る舞い、時に瑞々しくゆらめいたり、波打ったり、煌めいたりするのである。見事!とここまでに書いて読み返してみたら、何を書いているかまったく理解してくれないであろう文章だったのでショック。映画は集団芸術である。だが、多くの傑作は、監督や制作の指揮や情熱のもと生み出されるものだと思う。完璧と形容されるような傑作でさえ、すべての技術が理に適っていて、映画にまさに奉仕していたというようなことは稀で、なかなかない。簡単に書いてしまえば、本作にはそんななかなかないことが起こっていたということ。これほどオールスタッフ一丸となって同じベクトルでゴールを目指し、見事なまでの完成度で日の目を見た作品をおいらは知らない。計算しつくされた理系の土台に感情が伴うととてつもない。映画撮影技術のほか、空間演出や絵画的観察、いったいどれだけの分野で鍛錬を摘めばこういう映画を撮ることができるのか。座席に座ったままでいることが苦痛に感じるほどの至福の瞬間の積み重ね。おいら喜びのあまり上映中ほとんどスクリーンを見ていられなかったよ!(ダメじゃん)興味のある方は映画館でふるってご観賞のほどを。因みに、世間一般の評価は頗る低いです。参考まで。