今日は速報を出しておきます。現在公開中の『空気人形』を観てきたのですが、 素晴らしい作品でした。本年のおいらの主要賞候補の一角ですので、 興味のある方は映画館でふるってご観賞のほどを。 因みに本作を簡単に説明してしまえば、是枝監督の才能が結実した一作だと言えます。おいらが彼を手放しで誉めるのはこれが始めてだけど、確かな演出力は認めながらも、いままで高い評価をしてこなかったのは、彼の作品は、作中演出の密度にぶれが必ずといっていいほど生じていたから。彼の作品は、撮影前半のパートは密度が高いけれど、後半はその密度が薄まりストーリーにひっぱられる傾向がある。その演出力の高さ故の密度の高低の落差があまりに発生してしまうので、作品としての一貫性に欠けると評してきたのだ。本作の是枝監督の演出はその欠点を補ってあまりあるほど最初から最後まで高いレベルで密度の濃い瞬間が持続している。キャスティングし終えた段階で演出仕事すら終わっていると思っている監督が多い中、これだけ有名な俳優を起用しながら見事に繊細な演出がついている。ペ・ドゥナという韓国の個性派女優を主演に迎えながらもなお、脇の隅々まで演出が行き渡っているため、まるでペ・ドゥナが監督を始めスタッフやキャストから見守られているような錯覚にさえ陥る。とはいえ、万人受けは絶対しないので、誰が観ても面白いという意味で薦めているわけではありません。そこんとこ宜しく。