『本格手打ちそば 笹乃井』(大田原)- 蕎麦漫遊記40。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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漫遊記も数えるところ40。今回は気楽に行ける県内北部最後の一店「本格手打ちそば 笹乃井」さんに伺いました。大田原仕事の多い月曜が定休でなかなか足を運ぶチャンスに恵まれなかったけど、急遽の大田原警察署の仕事が舞い込んで、無事立ち寄る機会を得ることができました。本店も例の如く、おいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているお店です。


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「笹乃井」さんは、おいらが漫遊を始めて最初に出会う越前産そば粉を使っているお店。店主は日本料理で長く腕をふるってきた方らしく、メニューも多種多様に工夫をしておられるそうで、行く前から期待の一店だった。お店は住宅街の一角にあり、店内に入れば、店主と女将さんと二代目できりもりしていることが伺える、なかなか良い感じの店内。さっそく、基本書に忠実に、オススメの九割鴨汁そば(大盛り)とそばコロッケを注文する。


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蕎麦が目の前に届くまでの至福の時間を楽しみ(最近食事をするのが驚くほど楽しい)、蕎麦が届けば早速割り箸をわる。そばは綺麗に不揃い。言葉を変に思うかもしれないけれど、全体として見事に調和のとれた不揃いさ。1mmの範囲ないで上手く太さをちらしてある印象。ただおいらは不揃いの蕎麦はマイナスでしかないと思っているので、あまり良くは思わない。箸で数本つまみあげて啜ってみると、やはり太さが不揃いなのが禍して、素直には吸い込まれてくれない。これでは霞のような蕎麦の香りも引き出しようがない。


ただ表面はつややかで喉越しは悪くなく、コシも適度にあって蕎麦らしい蕎麦という印象も受けた。初めて口にした越前産の蕎麦は、噂とはまるで違う、淡くてさっぱりとした味わいの蕎麦だった。淡いのは福島産とも通ずるところがあるが、噛めばデーンと蕎麦の味が顔を出すのに対して、福井産は淡いまま霧散霧消してしまう印象。自家製粉しているそうだから、本来福島から取り寄せても香り味ともに濃くても良さそうなものだが、やはり蕎麦は実の保存方法こそが命なのだろうか。そうなると、素人にはもうよく分からない世界。特段誉めてないけど貶しているわけではありません。蕎麦らしい蕎麦を提供してもらったと思っています。因みに、一緒のボスは早々と「美味い」と口にし、喜んでおりました。


おいらが本店で特筆に値すると思ったのはつけ汁のほうですね。今回は鴨汁を頼みました、それでもがつーんとくる鰹一本出汁。味が濃いので蕎麦には少し浸すだけで十分で、蕎麦と非常に親和性の高いつけ汁で、ここらへんは流石日本料理の世界にいた人だなと感心のひと言。そば湯でのばして最後の一滴まで飲み干したい出汁でございました。


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変わり種のそばコロッケは、お好みでケチャップでどうぞとことであった。そばがきに炒めたタマネギと挽肉を混ぜて揚げたものらしい。歯を立ててかじりつけば、餅のようなと思ったものの、モチモチしているわけではなく、芋のようだと思いつつも、違う。ボスとこれはなんでしょうねと顔を見合わせる。なんとも形容し難い食感だ。そばがきのふわふわ感が高温で揚げることで芋的な粘りを発露させ、粘っているようながら、そばがきは本来つながりが強くないので、粘りを表現しつつもそばがき自体が形を維持せずペースト状になろうとする、まるまってくれないふにゃふにゃの熱々のときの団子のようだが、でもびろーんとは餅のようにはのびないつながりの弱さ。さっぱりとしたそれでいて、タマネギと挽肉がコロッケであることの前提だけは顕示している。無駄に表現を試みてしまったが、ひと言で言えば新食感だ(爆)。


ボスは蕎麦に大満足していたが、おいらにとってはこの店は出汁が美味い店との印象が残った。チャンスがあったら普通のつけ汁も味わってみたい。(おわり)


【大田原】笹乃井/九割鴨汁そば(大盛り) ☆☆☆ /そば湯 ☆☆☆★ /そばコロッケ ☆☆☆☆


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【素材情報】

そば粉:福井県越前産

つ ゆ:本がえし/鹿児島県枕崎産の本枯本節

薬 味:葱、わさび


【蕎麦まとめページ】

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