劇場鑑賞12月(2008)② できるだけ感想を書き加えてみた | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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16.『アンダーカヴァー』

 109シネマズ川崎 7.0 ―

「裏切り者」でおいらのツボをとらえたジェームズ・グレイ監督の新作。「裏切り者」も世間の評価は低かったけど、今回も低いねえ。でも今回のも相当イイ! おいらのツボをつきまくりです。確かな演技に裏打ちされた家族のドラマ。この監督とは根っこが同じ気がするんだよなあ。涙が止まりません。点数関係なく12月中イチおいら好みな作品であります。


17.『永遠のこどもたち』 / スペイン=メキシコ

 109シネマズ川崎 7.2 ―

よく書けた脚本です。泣けるホラーとのことでしたが、これをホラーと紹介されると厳しい。では愛の映画か?喪失の映画か?違うと思う。本作は大人と子どもの断絶を描いている。大人は何故自分が大きくなっただけの子どもであることを止めるのか。大人の目線では子どもは理解できない。だからこのような悲劇は起こったのである。いや悲劇ではない。これは大人の子どもに対する罪だ。でも人によって全然違う風な見方をするだろう幅のある映画です。自分の目でチェックしてみてください。素晴らしかった。


18.『ワールド・オブ・ライズ』

109シネマズ川崎 6.9 ―

手堅いけどどこかで見たことのあるような映画で、オリジナリティがあるとは言い難い。二大キャストのケミストリも皆無で、もったいない作品である。おいらは高望みしないのでこれで十分楽しんでしまうんだけどさ。


19.『TOKYO JOE マフィアを売った男』 /

109シネマズ川崎 5.4 Documentary ―

スコア(曲)と再現VTRで雰囲気を出しつつ、過去のニュース映像と関係者へのインタビューの挿入。それらがしっくりとまとまっていない映画だった。伝えるべきことは極僅かなのにそれを薄く引き延ばしているだけのように思える。伝えたい要素は引き延ばすのではなく、掘り下げなければ、劇場用ドキュとしてはまだまだです。


20.『ブロークン・イングリッシュ』 / 米=仏=日

 恵比寿ガーデンシネマ 6.7 ―

見ていてとても痛々しかった。但し、見るものによってまったく感想が異なるようなそれを受けてである。同様の経験をしているかしていないかが、かなりものをいいそうな映画で、魂の崩壊前夜のエピソードの数々は共感を呼ぶかもしれない。はりつめた演出も見るべきものがあったと思う。


21.『その男ヴァン・ダム』 / ベルギー=ルクセンブルグ=仏

 シネマライズ 8.5 ―

ジャンクロード=ヴァン・ダムの最高傑作。それもそのはず、ヴァン・ダム出演作で傑作ってあったっけ?(笑)。そんな自虐的な内容と“JCVD愛”が満載な映画。母国ベルギーに呼び戻されて撮っただけに中途半端はない。JCVDのプライベートまで使い切る様は見事も見事。様々な過去作品の手法の模倣や過去作品へのオマージュを盛り込みつつ、出発点から終着点まで幅広く味わえるお得な一本。ジャンルはなんだろう。コメディになるのかなあ一応。でもね、おいらはこの映画で泣きました。2008年を代表するミニシアター作品の一指なのは間違いない。


22.『動物農場』 / イギリス

 シネマ・アンジェリカ 8.8 Animation ―

とうとう日本でも鑑賞機会を得ることができた本作。ジブリと密の連携を謀っているシネマ・アンジェリカあってこそですな。本作は政治思想が色濃く出ている映画なのでここでどうこう書く気はありませんが、前半のカトゥーン気味の導入をすぐに忘れてしまうほど、観る側を巻き込むパワフルな描写と演出で最後までいっきに見せられてしまいました。支配者層の腐敗、裏切られる革命。主義思想はともかく歴史の勉強になる上、実写でないアニメの有用性を十分示せている。


23.『青い鳥(2008)』 /

 シネ・リーブル池袋 7.5 ―

映画館で観なければ味わえない演出や手法が活きている作品。台詞と台詞の間に十二分な時間をあけて、映画的発酵作用とでもいうべき味わいを生みだすことに成功しています。ようするに無音の画が多いということだ。映画館での時間的連続性の中で観ていただけなければ、劇場鑑賞したお客さんと同じようには味わえないと断言します。と言うわけで、チャンスがあったらDVDと言わず劇場でどうぞ。


24.『ラースと、その彼女』

 シネ・リーブル池袋 7.5 ―

人間関係やコミュニティの役割についての映画。主人公のラースはあまりにも弱々しく、まいっていてとんでもないことを始めますが、病んでいる主人公が周囲に助けられて回復していく話しではないところがミソ。こういう映画はアメリカではあまりに多いけど、コミュニティのほうに着眼点をおいて、病んでいる主人公の内面とか、弱っている理由なんかを再現せずに、小品は小品のままテンポよく見せて、ドラマドラマさせなかったところが好感度大でした。


25.『エグザイル 絆』 / 香港

 シネマスクエアとうきゅう 6.7 ―

ジョニー・トー監督作品の中では一番気楽に観られる一本。B級映画なので多くを期待されても困るが、監督の過去作品が好きな人には楽しめると思う。個人的には本作はパロディでしかない。真面目な要素と笑える要素が同画面に収まっているのは上手いなあと思うけど、これを香港ノワールと言われても少し小首を傾げてしまいます。どっちかというとマカロニウエスタンだよね、これ。


26.『無ケーカクの命中男 ノックトアップ』

 新宿ミラノ座3 7.0 ―


27.『寝取られ男のラブ♂バカンス』

 新宿ミラノ座3 7.4 ―


28.『K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』 /

 新宿ピカデリー 7.2 ―

期待薄で観たからではないと思うが、よく纏まっていてテンポもいいから好印象。ドラマフルな展開や演出が皆無なのには恐れ入るが、見所は他にあるとばかりに、後半の強引な展開やちょくちょくでてくる合成合成したCGもそれ自身を一つの味として配置してあって、子供どころか大人が観ていても変な意味で楽しめる。特筆したいのは松たかこのキャスティング。彼女は映画女優としては非常に使いかってが悪くて映画界の悩みの種なのだけど、今回はその松さんのヘンテコさまで味わいの一つとして利用し、見事にアクセントとなっている。主演俳優のぼけぼけとした演技も作風にはあっていて○。


29.『私は貝になりたい』 /

 新宿ピカデリー 6.4 ―

主演の演技があれだけど、まあ全体としては及第点。おいらはどんなリメイクもされていけないということはないという、リメイク肯定論者なのだけど、嘘でもなんでもなく、本作を女の子が多数劇場に観に来ていて、皆が皆して声出して泣いていたりするわけですよ。これはジャニーズ効果以外の何ものでもないよね。本作の主演がマツケンや加瀬だったら、リメイクする必要はないかもしれない。なぜならそいった主演俳優では、本作のメッセージくらいは既に頭に入っている映画ファンくらいしか足を運ばないからだ。主演がジャニーズだからこそ、一部非難されたりもした大宣伝がうてたわけだし、結果的にこいったメッセージ性の強い映画とは無縁の子らを劇場に呼び寄せ泣かせることができた。泣いている子の中の1割程度はきっとなにかが根付いてくれるはず。題材と無関係に客を呼び込むことができるのがアイドルの力。本作が無駄なリメイクだとはおいらは思わない。ここからは余談だけど、中居くんと草なぎくんの競演シーン。あれは流石に酷いと思った。映画というかTVのコントに見えてしまってしようがない。作品外で一緒になる機会の多い役者は同作品に競演させないのが鉄則なのに、いくら客呼ぶとはいえ、同メンバーを戦争ドラマで競演させたもんかね。まあスマップが競演するとの話題作りで、観に行った人がいくらか多くなったのだろうから、上記の論理でいきゃあありなんだろうけども。


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