第6回アカデミー賞予想対決!(3) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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■オリジナル脚本賞■ (4ポイント)

 Frozen River

 Happy-Go-Lucky

 In Bruges

☆ミルク

WALLE/ウォーリー


「ウォーリー」や前哨戦奮闘した「In Bruges」など、愉快な面子が揃っているものの、今年は「ミルク」で間違いない。おいらは「ミルク」は作品賞逆転受賞の線をまだ消しておらず、「スラムドッグ」不在のここで、取りこぼすことはあり得ないとみる。


■脚色賞■ (4ポイント)

 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

 ダウト あるカトリック学校で

 フロスト×ニクソン

 愛を読むひと

☆スラムドッグ$ミリオネア


鉄板。


■編集賞■ (4ポイント)

 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

 ダークナイト

 フロスト×ニクソン

 ミルク

☆スラムドッグ$ミリオネア


今年はらりぃくん同様においらもオスカーについてまったくノータッチだった。これほどアカデミー賞について検討しなかった年はいまだかってない。コンテストの予想を投稿し終えた2月初旬で終わってしまった感さえある。だから今年の予想対決は非常に困難だ。おいらは何時も予想の軸(テーマ)を決めてから、それに基づいて予想を披露しているが、今回はその軸がない。だから、昨日から本命ばかりにベットしてしまっている。こんなんで本当に当たるのだろうか?


それはさておき、昨年は本命「ノーカントリー」が破れる波乱を見事に的中させた本部門。今年も的中といきたいですな。昨年の「ボーン・アルティメイタム」にあたるのが「ダークナイト」。他4作品は皆作品賞候補になっている。作品賞と密接に関係している本賞では、作品賞から漏れていること自体が落選通知なのだが、昨年のように圧倒的な娯楽作品が受賞する門戸は閉じられてはいない。今年のアカデミー賞を占う上で、もっとも重要になってくるのが、「ダークナイト」の取り捨てだと思う。昨年興行的にも大成功した「ダークナイト」が技術部門で圧勝するのかどうか。「ボーン・アルティメイタム」が完全受賞を果たしたことから考えれば、「ダークナイト」が技術部門で圧勝する可能性は否定できまい。


ただ、おいらは「ダークナイト」の編集は、評価されるほどの出来だったとは観ていて感じなかった。ノーランは、編集まで演出に組み込むから作品の統一感は生まれるものの、編集単体で判断すると雑な点がないではない。それは結局編集と撮影は一心同体であり、編集も念頭に入れた撮影ができているかどうかに編集の善し悪しも引っ張られてしまうというその基本から映画は逃れられないからである。ノーランは、リアリティを生むためにカメラをかなりダイナミックに動かしているけど、編集はカメラの次にしか意識できていない。スコセッシの編集をまず念頭に入れて撮影を検討するのとは対極的だ。ともあれ、「ダークナイト」の編集リー・スミスは、そいったダイナミックな素材を演出に適うべく料理するのが得意な編集者でもある。


兎にも角にも何が言いたかったかと言えば、本部門は本命「スラムドッグ」で間違いがないということだ。作品賞を落としてもここは受賞するだろう。


■撮影賞■ (4ポイント)

 チェンジリング

 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ダークナイト

愛を読むひと

☆スラムドッグ$ミリオネア


昨年、ロジャー・ディーキンスが票割れを起こすと読んで見事にはまった本部門。今年も的中させたいが混戦。まず先部門でも書いた「ダークナイト」。カメラのウォーリー・フィスターは、ノーランと組んで3度目のノミネート。今年は受賞の可能性がかなり高いと考えたいけど、昨年受賞するはずだったのに票割れのせいで受賞できなかったロジャー・ディーキンスが、「愛を読むひと」単品でノミネートされているから困った。彼は本年度も「ダウト」や「レボリューショナリー・ロード」の話題作でも仕事をしており、昨年の票割れ御免ね票、本年度も大活躍票、ワインスタイン・カンパニーの組織票と、三拍子そろって侮れない。さらには前哨戦圧勝の「スラムドッグ」の存在も忘れてはならない。本作は作品賞レースでも圧勝しただけでなく、脚色、編集、撮影、美術、録音、作曲、と技術部門の右から左もれなく評価されているのである。そんなことあり得るのかと驚くが、事実だからしようがない。ここも受賞をさらっていく可能性はあるだろう。


一票多ければ勝ちのオスカーレース。「ダークナイト」と「スラムドッグ」が牽制しあえば、「愛を読むひと」の漁夫の利ということがあってもおかしくないだろう。でも、ロジャー・ディーキンスの仕事部分は最初だけで、ほとんどクリス・メンゲスの仕事らしいから、ディーキンスが本作で受賞して果たして喜ぶかという問題もある。ノーラン版バットマンは、ビギンズの時から撮影が評価されていただけに、ここは「スラムドッグ」を押さえると読むが果たして?

と、もう昨日書いておいたんだけど、ダメだわ。昨日の「スラムドッグ」の撮影組合賞の受賞の報を受けて、とても「スラムドッグ」に逆らう気力が失せた。というか、おいらはもう折れた。アカデミー賞の本番のマジックで、「スラムドッグ」は本番苦戦すると考えていたのだが、もはや昨日の報で逆らうのが到底無理だと悟った。「スラムドッグ」はあまりに地味な作品だが、あ、いやまだ言うまい。明日も予想が残っているのだからな。ともあれ、ここも「スラムドッグ」が受賞していくことだろう。とほ~ん


■美術賞■ (4ポイント)

 チェンジリング

☆ベンジャミン・バトン 数奇な人生

 ダークナイト

 ある公爵夫人の生涯

 レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで


劇中に出てくるセットだけを評価することができるのだろうか。皆もう一度本部門のために見なおすわけ? 答えは“見直さない”。なわけで人が美術を素晴らしいと思うとき、必ず衣装が影響を与えています。現場に見学にでも行けば、セットと衣装がまるで違うと理解できるだろうが、スクリーンに描写されたソレは一枚の絵。それも脳裏に焼き付けた記憶の中のソレである。衣装と美術を完全に切り離して評価などできやしないのです。まあ場合によりますが、最近はずっと両部門同一作品が受賞しています。 


が!ここ最近は違ってきている。個別に検討していく必要がある。今年は両部門にノミネートを受けている作品が三本(ベンジャミン、公爵夫人、レボリューショナリー)。基本的に、両部門にノミネートを受けている作品から受賞作品が生まれるのが自然な上、今年はその中に作品賞候補作品が一作品しかないときているから鉄板だ。ベンジャミンである。本作は鑑賞済みだけど、惜しみなくセット作成して場所換え品を換え撮影していたから安牌である。遠方は相当CGしていたけど、まさか足下までCGということはあるまい。


■外国語映画賞■ (4ポイント)

 The Baader Meinhof Complex(ドイツ)

 The Class(フランス)

☆おくりびと(日本)

 Revanche(オーストリア)

戦場でワルツを(イスラエル)


本年度は難解である。本命が「戦場でワルツを」というアニメ映画だからである。しかも、批評家賞によっては、ドキュメンタリー映画賞部門で受賞しているといったに変わり種なのである。とても保守層からの支持は得られそうにない。対抗は、カンヌのパルムドールに輝いたフランスの「The Class」だが、パルムドールに輝くような作品はアカデミー賞では評価されないのが常であるからおいら的には論外だ。となると、ドイツ映画やオーストリア映画になるのかなと考えるが、どちらも最近受賞したばかりだから、強く推す材料に乏しい。ドイツ映画は題材もあまり本部門受賞作品に相応しくないように思える。オーストリア映画は、本部門受賞してもいいかもと感じるが、いかんせん評価が低い。となれば、やはり本命の「戦場でワルツを」に戻るしかないのか。いやさここはもう一捻りしたい。「戦場でワルツを」がアニメにして本部門で受賞するほどのパワーを有している作品であるのなら、ノミネート確実とされていたアニメ部門で選外になったりするだろうか。当然のようにアニメ部門にもノミネートされていてしかるべきだと思う。確かに、本作がアニメ部門から落選したことを受けて、各界から落胆の声はあがった。さりとて、初めて本部門にノミネートされたアニメ映画である。ノミネートされただけで快挙であり、アカデミー賞的な役割は十分果たしたとみる。で、おいらの予想は「おくりびと」。本場のウォッチャーは、本作を5番手の評価に置いている人ばかりだけど、本作のような“死”を題材として扱った映画は、本部門は結構強い。おまけに皆がヒロスエの美貌に酔いしれているそうではないか。“死”に“エロス”が加わったら本部門では最強という公式がおいらの頭の中にはある。いや冗談ではなく、向こうの人にとって“死”というのは、エロスの終焉を意味している部分が結構あって、だから“エロス”の要素を無視したような“死”にはほとんど無関心である。ここは「おくりびと」で鉄板とみる。あ、これ日本の映画じゃんか?!アカデミー賞協会員である渡辺謙氏の一票も入るからもう間違いないね!


因みに、昨年のおいらの予想を読み返したら、【ロシア映画にしてみる。オスカーウォッチャーの中では5番手(ドンケツ)にあげる人が結構いるけど、今年の外国語映画は、ノミネートされたものからノミネートされなかったものまで、すべからく不出来なんだろうと解釈してるので、出来のいい作品を撮ったミハルコフ監督が2度目だろうと賞を受ける(はずだ)。】と、今年とまったく同じように本命に難癖つけてドンケツ候補にはって撃沈しておった。人間ってよくよく気を付けないと同じことを繰り返してしまうよね。だから過去に学ぶ必要って絶対あるのだ。うーん、「おくりびと」の“死”と“エロス”理論でイケルはずなんだけど・・・