映画感想3本。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

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『ボーダータウン 報道されない暗殺者』

本作は「消えた少女たち」というドキュ映画を引き継いだ映画である。本ドキュは人権団体を動かすことに成功したが、結局のところ、そこで頓挫してしまっている。本作は何故本ドキュが楔をうった、本問題が好転しないかを、熱を込めて訴える。それはもう正論が通用しない、グローバルの名のもとの巨悪の利権だったり、それを告発できないメディア構造だったりするわけだけど、本作の問題点は、フォーマットを硬派な映画に落とし込むのか、エンターテインメントに落とし込むのかで揺らいでしまっている点だろう。しかし監督は思ったのかも知れない。3年、5年とまったく本問題が好転しない現状を見るに、大人達ではなく、若者にこそ本問題を知ってもらいたいのだと。


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『マルタのやさしい刺繍』

可愛らしく微笑まずにはいられなくなるおかし味のある作品。勧善懲悪的な部分はあるけど、役者陣が素直に動いているし、軽快なテンポが心地よいので、ターゲット層の期待にしっかりと応えている感。ビタミンムービーとして最適だと思います。



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『その土曜日、758分』

スリリングなスリラーでもって、最後まで不幸話を見せ通します。かなり“げんなり”させられますが、実は本作は“家族”の物語で、不幸な生い立ちというわけでも、経済的に“本当の意味で”恵まれていないわけでもないのに、人は愚かにもこのように転落していってしまう。このエンディングをみれば、原因の根幹にある“家族”というものを自身の中から消去でもしなければ、救いはないのではないかと思える。本作の“げんなり”は、現実に毎日湯水のごとくわいては忘れ去られていく、家族たちの転落そのものです。役者は皆素晴らしかったし、ルメットの演出も冴えていたと思います。ただ、ミニシアター系の代表みたいな映画なので、物語性を重視する人にはどうかなあと思いますな。