『蔵』(宇都宮市)- 蕎麦漫遊記6。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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蕎麦についてある程度、自分なりの考えの胚芽もできあがり、ただ食べる段階から様々なことを吸収できる姿勢ができあがったので、早速どっかで実践してみたくなった。そこで、宇都宮拘置所の目と鼻の先にある蕎麦屋さん『蔵』に赴くこととした。例の如く、本店もおいらの基本書「再訪そば処栃木の名店を歩く」に掲載されているお店です。


本店は店名の通り、昔ながらの蔵を店に再利用しているお店で、店内に入れば情緒ある佇まいを感じさせてくれます。蕎麦は“二八”と“十割”から選べ、漫遊初の十割が食べられるお店だったので、ミーハー根性で十割を頼んでしまいました。ここの特徴は、薬味に拘りがあることでしょうか。刻み海苔は別器で山のように出されて香りよく、山葵はなんと生を自分で摺り下ろして使うことができます。




肝心の蕎麦は、コシがあって風合い豊か、蕎麦とはこれのことをいうのではないかというような蕎麦の味がします。つけ汁との相性もよく考えられているなあという印象です。ただこの日のおいらは、蕎麦を楽しんだというよりも、蕎麦と格闘してきたといったほうが的を得ているような按配でした。なにせおいらは大盛りを頼んで1時間近くも店内にいたのですからね。蕎麦を2,3本とっては、“蕎麦一考”を実践すべく、音をたてて吸い込んではそれを鼻に抜く。いかに自然にやれるか。どのように音をたてて、どのように鼻から抜くのがもっとも蕎麦の香りを引き立たせるのか、それを一々、音の調子なり勢いなりを変えながら、検討していきます。


言葉でいうほど優しくないです。蕎麦の香りはしないものという基本に到っては、本当に蕎麦の香りがしたというハードルもかなり高くなってしまいました。まーず、蕎麦の香りを楽しむという台詞があうようには香ってきません。ただ、1時間も試行錯誤していると、時たま「ぶぅわぁすぅぅっ」と蕎麦の香りが鼻孔に広がる瞬間があるのです。目指すところは見えた気がします。毎度当たり前のように「ぶぅわぁすぅぅっ」となれば良いわけです。狙ってやるのは難しそうですが、意識していれば何れ近づいていくことでしょう。





さて、ここの蕎麦は、なかなかいい感じで蕎麦の味が堪能できるので、天ぷらはいらないけど、ざる食べる分にはまた来たいと思うようなお店でした。ただ問題もあります。ここはそばにフルーツのっけて出してくるんです! そんな馬鹿な。山葵を生で出すくらい拘っているのに、何故にフルーツを蕎麦の上に置けてしまうのか。そこも拘って別皿にすべきじゃないのか。蕎麦とフルーツの香りをコラボさせることによって、どんな効果が発生するのか。1時間んがっくっくと悪戦苦闘していたおいらには、まったく理解できなかった。


【宇都宮】 蔵/天ざる十割そば ☆☆☆☆/そば湯 ☆☆


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【素材情報】

そば粉:北海道産(新そばの時季のみ)県内産(益子、大谷)

つ ゆ :本がえし/カツオ、サバ

薬味:生わさび