権力の象徴
これが我が家の 「権力の象徴」となっています。
これを有する者が一家の主導権を握り、「リビングをデザイン出来る」と言っても過言ではありません。
父親である私は、今まで世帯主の権利を拡大解釈し、不当にこれを実行支配してきました。
しかし最近その勢力図が変わりつつあります。
「子ども達(長女、次女)の台頭」です。
彼女らは徒党を組み、平等と数による決定(民主主義)を強く主張してきたのです。生意気な言い方だということを除けば、その言い分は全く妥当であり、困った私は力による支配を強め、この難局を乗り切ろうと試みました。
いわゆる「そんなもん子どもが観んでもよろし!」です。
すると彼女らはこの「権力の象徴」を強奪し、走りまわるということを覚えはじめました。
これを奪われた私は「かえしなさい!かえしなさい!」を連呼するただのしょうもないコタツのおっさんでしかなくなり、リビングでの父親政権は急速に力を失っていった。
挙げ句、年末年始のテレビはほぼ彼女らの思いのままとなった。
そんなある日、妻がテレビの前で嬉しそうに何やらしている。
「子ども達が録りためた番組を編集している」らしい。
・・・あっ!・・そこで私はこの一連の革命の真実に気づく。
『◯ャニーズカウントダウン』『爆笑◯ッドシアター』などなど・・子ども達の好んだ番組はすべて妻の好む番組ばかりだった。
・・やられた・・・。
彼女は子ども達を通してこの「権力の象徴」を手に入れたのだった。
正しくは、長い時間をかけ子ども達に自分と同じ好みを浸透させ、自ら黒幕となり「子ども達の好きなように」という微笑ましい理想の皮をかぶった、傀儡政権を樹立させたのだ。
恐ろしいのは最前線で父を相手に戦っている子ども達が、そのことに気が付いていないということだ。
力で抑えるより、精神を支配したほうが強かった・・。
悔しがる私の背中に妻の言葉がつきささる。
「あんた、大人げないんだよ!」