留学生向けの授業をしていると、日々、何かしらの社会問題を考える機会に遭遇します。


【留学生】という言葉からは、勉強、専門知識、技術などの習得のため、学びに来ている外国人を連想させます。


しかし、今教えている2クラスの、ネパール人留学生クラスのうちの1クラスは、蓋を開けてみたら、


【出稼ぎ目的で集団入国してきた若者たち】


だったのだという確信に近い思いになり、留学はビザ取得のための名目上にすぎない場合もあるのかと、さまざまな現実が見えてきています。



最初に入国してきた約20名のネパール留学生たちは、自国での学力もそれなりに優秀な学生が多く、半年で、N4レベルまで大体理解できるくらいまでに語彙力や運用力を伸ばしてきています。


つまり留学生らしい留学生です。出席率もクラスで、ほぼ100%を維持。


そこに追加で、学校が更に 20名のネパール人クラスを増設する事になったのですが、どうも紹介ルートが違うらしいのです。


プレイスメント・テスト(入学後に語学力でクラス分けする、最初のテスト)で、ほぼ0点のような学生も3~4名おり、それは留学基準N5を満たしてないので、受け持たされる教師にしてみたら、スムーズにいかないクラスです。


それでも、流れで週2日はこのクラスに入って教える事になりました。


今月は、進学する学生たちは進学説明会に参加したり、年2回のJLPT試験の準備に取り組む様子が出てくるのですが、このクラスは、学生たちがアルバイト中心になり、全体的に試験勉強しようというモードがほとんどありません。


午前の授業で寝入ってしまう学生も毎回数名。


全員がネパール人なので、宿題用紙を、朝見せあって、写し合う学生多数。


(外国人は、国によっては、公然と答案を見せあって写しても、あまり罪悪感がないようで、日本人のような、「恥ずかしい」という意識が薄いです。)


とにかく、クラス全員がネパール人なので、わからない時や、盛り上がるとき、わーっとネパール語になり、いつまでも収まらないのが厄介になることも。


明るく無邪気でかわいい部分も多いですが。


約8ケ月、このクラスに入って分かった事は、

「つまり、日本への勉強目的じゃなく、ビザ取得中のアルバイトでのお金稼ぎ目的での留学だったんだね。」


という事です。


寝てしまう学生に注意すると、

「先生、私、今日はアルバイトであまり寝てないから、ダメ。」

と堂々と言ってまた机に倒れ込んだり・・


どおりで、日本文化にも、日本に関連ある物事に対しても、あまり関心を示さないし、将来の進学の事を聞いても、漠然と


「5年くらい日本にいたい」


なんていう答えしか、返ってこない訳かと・・。


こういう問題は、複数の社会問題が絡んで生じる訳だけれど、教師として困るなと思うのは

「日本語は日本へ入国し、学校に通えばできるようになるから、アルバイトできるよ。」


というような話をおそらく、斡旋業界がして、日本へN5に満たない留学生も、安易に送ってきてしまうという実態です。


学校としては、プレイスメントテストが最低点だったとしても、入学金を払えるなら受け入れているので、それ以降は、教師が育てていくことに。


目的が明確に進学という事なら、本人もN4~N3取得へと励みますが、そもそもアルバイトで稼ぐ目的だから、学校へは出席日数のためだけ。


しかも、クラスメイトたちとは全員ネパール語だけで不自由しないから、仲間うちの結束が強くなり、仲間同士でサボり合ってしまう事も・・。


こんな実態に触れてしまい、留学生数が増えていく事は、教師としても、不安が募ります。


アルバイト先では、ほとんど語学を必要としない業務や、早朝、深夜など時給につられて体力的にきつくなる所に充てられてしまう学生もいます。


しかし、実際あまり言葉の話せない、通じない留学生よりもは、雇用側だって日本人採用の方がいいはず・・。


斡旋会社、仲介会社がきちんとN5基準を満たし進学意欲のある留学生のみを入国させるようにしていかなければ、その後の皺寄せは、学校や雇用受け入れ先に及ぶことになってしまうという問題があります。