非漢字圏の留学生は、漢字圏の留学生より日本語へのハンディが大きくなり、それは特に【書く】技能に対して顕著です。


縁あってネパール留学生たちのクラスを教えてから、ネパール語の表記から、まるで異なる日本語表記を書く事が、とても大変だという事に気づきました。




ひらがな、カタカナは書けるレベルの学生が入国してきますが、濁音、促音、拗音、長音などが入る語彙を、平仮名やカタカナで正しく書くのが難しいです。

さらに漢字も入ります。

漢字には、音読み、訓読みがあり、同じ漢字でも読み方が違うので、例えば、数(かず、すう)の読みを学ぶとき、(数字すうじ、個数こすう)という音読みの語彙と意味も学ばせていき、語彙を増やしていきます。

もっとも、サクサク覚えられる学生はそういないです。

漢字の熟語を読ませるだけでも、最初は本当に拒絶反応に近い学生もいて、それも異なる文字文化を思えば無理もないかと。

スタンダードな初級教科書【みんなの日本語】の副教材に、漢字練習帳があり、書く練習はこの練習帳でさせています。

ただ、正直なところ、MAX20名クラスで、漢字指導までは、あまり時間がかけられません。

書くのが上手な学生もいますが、書くのに一生懸命なあまり?!意味が口から出てこなくなっちゃった・・なんて事も。

でも、漢字や平仮名を書いてみよう!と取り組む留学生たちの姿勢は素晴らしいと思っています。

ネパール語表記を日本人の自分が書けるかと言われれば書けないし、難しすぎるガーン

言語学習で最も重要なスキルは(どの国の言語でも)【話す、聞く】の方で、読めるか、書けるか、なら漢字に関しては【読める】方がより重要です。

あまり漢字の【書き】に時間をとっても、JLPTで【書かせる】問題は出ませんから、それよりも【読み】に重点を置く授業の方が効率的だと思います。

中級教材では、本文の漢字ルビなし音読が入ります。

これも、個人的には、非漢字圏の学生たちには酷なんじゃないかな~と思っています。

日本語教材がそもそも、漢字圏域を対象に作られた物が多いように感じます。

漢字は勿論、余裕~な中国人にカタカナだけのディクテーションをさせると、大苦戦し、やはり拒絶感を示す学生が出ます。

でも多分、非漢字圏の学生にとっては、日本語表記が常にそれくらい難しいのだと思います。

4技能のどこに重点を置くかを、留学生のハンディも含めて考慮した上で授業を組まないと、あれもこれもになり、教えきれなくなってしまいます。

教える国の学生たちの普段の文字表記や、国民特性なども少し考慮に入れ、あまり盛りだくさんな授業メニューにせず、重点を決めて教えていく事が、効果的かなと感じます。