赴任当初は日本からの駐在員の友達も沢山いたけれど、
仲よくなった頃には、皆、帰国してしまい、
いつも私だけロンドンに一人取り残されてしまうような、
そんな寂しい思いに浸ってしまったので、
仕事でも、プライベートでも
段々、日本人に係らず、
イギリスに在住する色々な人種の人と交流するようになりました。

従って今や私を知る人は、
アジアにあるジャパンからやって来た人、
...程度に思っている人がほとんどです。
アジアと言えども広いです。
インド人だって、パキスタン人だって日本と同じアジア人。
『本当の友達になれたジャパニーズは、トシコが初めてだよ』
と言われることは珍しくなく
私って日本人の代表なのかしら

と言う気持ちにもさせられ
しっかりしないと、と思ったりもします。
意外にも、世間の持つ日本や日本人に対する知識は低いので、
SUSHIやTOYOTA、GEISHAやTSUNAMIのことは知っていても、
私はどこどこ大学出身だとか、
中学以来、私は浜っ子よ、とか
法事にはね、と言ったところで
それが何を意味するか、なんてサッパリわかってもらえません。
日本に戻れば親戚は沢山いるのに、
私の血のつながった家族がイギリスにいないせいか
こういう環境で暮らしていると
私にはルーツというものがないような、
凧の糸が切れたような、
そんな変な錯覚にさえ時々、陥っていました。
ところが、この度一時帰国したときのこと、
めったに会わない広島の叔母の家を訪れました。
別の部屋にいた叔母は、私の声を聞いた途端、
『まあ~、もっちゃんかと思った~!
としこちゃん、声がそっくり!』
と、今やなき私の母かと思い、
驚いた顔で、急いで叔母はふすまを開けました。
何か、私が話すたびに、
『わあ、そっくり。
その言い回しもそっくりだわあ~!』と。
些細なことですが、
私の声や口調が母にそっくりであることに、気付かせてくれました。
周りの人に、日本人としての私のルーツを理解してもらえなくても
私のルーツは自分自身にある、
ということに気づくことができ、
ホッと暖かい気持ちに浸ることができました。
どこにいようとも、もう寂しい思いをすることはありません。
たとえ日本で暮らそうが、外国で暮らそうが
『私の凧の糸』は常にしっかり繋がっているのだから。

実家の横浜に戻る途中、新幹線から見えた富士山です。
日本を代表する富士山、気品がありますね。


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