目の不自由なスノーボーダー:その2(お客様編)よりつづく
さて、私のお客様、目の不自由なスノーボーダーのパーソナルショッピングの日に備えて、
ロンドンの有数デパートSの特別試着室を予約しました。
このお部屋を予約しておけば、私が前日下調べをした時に選んだ服や靴を
その部屋に当日用に置いておくことができます。
お客さまはショッピング当日、売り場を転々と移動する必要はなく、
コーヒーなどの飲み物は自由に出るし、
化粧室もそばだし、
お直しが必要なら、そのお部屋にお直しの人が来てくださるし、
会計もすべて、その場で処理できます。
サイズや色を変更したい時は、私がデパートを走り回れば良いことで、
お客様はお部屋から移動する必要はありません。
その特別室、パーソナルショッピングスィートには大きな鏡があり、
私が選んだ服を次々と試着していただき、鏡の前に立ってお客様と一緒に吟味します。
やっぱり似合う!と思う時もあれば、何だか今ひとつ、ということも。
ただ、このお客様の場合は目が不自由。
試着し終わっても、わざわざ鏡の前に立たないことも...

『ごめんなさいね、私も見たいから、こちらへどうぞ!』と
時々、もう少し空間のある鏡の前まで案内しました。
何せ、そうしないと、私には彼の全身の姿が良く見えません。
目が不自由ということは、お客様の意見を聞く、というよりも
私が『見て』良し、と判断したものをすべて選ぶことになるのだろう、と思っていました。
ところが、とんでもない!
お客様は服を手に取る度に、その布を『キス』しているように見えました。
何しているのかなあ~、程度で最初は思っていましたが、
どの服も『キス』しているみたい。
実は『キス』していたのではなく、唇でその布の感触を確認していたのです。
そして、本当に驚いたのは、私が『似合う!』と思った服は
私が口にする前に、彼は『これは良いね!』と言って気に入っていました

見える訳ではないのに、何故わかるの???
と本当に不思議に思い、またまた失礼を覚悟で聞きました。
私 『どうして、似合うっていうことがわかるの?』
彼 『だって、すごく着心地、良いんだよ』と彼。
ごもっとも

生地の肌触りが良く、体に合ったカットであれば、
当然、着心地は良いし、
だからこそ、似合って見えるわけです。
骨格に合ったものを選ばないと、着心地は悪いし似合わない

と常に話している私だったのに、
実はものすごく視覚に頼っている自分がいました。、
五感が揃っているにも関わらず、十分に活用していない自分に唖然としました。
そう考えると、このお客様は目は不自由であっても
唇での感覚、着心地が良いかどうかの触覚を十分に生かしている。
最終的にお買い上げになった服はすべて本当にお似合いでした。

このビデオには、彼が私のもとに訪れる前、チャリティ活動のために作成された、
モンブランをスノーボードで滑り降りた彼の映像が収録されています。
(この募金募集期間は終了しています)
イメージコンサルタントとして、彼を少しでもお手伝い出来たことは嬉しいですが
彼の心の広さとガッツを目の当たりにし、
その気にさえなれば、人の可能性は無限大であることを実証してくれた彼から
勇気と希望を与えてもらいました。
彼を通して受けたその感動を、皆様にも分かち合いたくて、
どうしようかと少々悩みましたが、
このお客様の承諾を得た上で、このようにブログに載せることにしました。
彼は『恥ずかしいなあ~。日本語のブログで良かったよ。
友達に知られたら、からかわれる』と照れていましたが…

その後も各国を飛び回ってスノーボードの挑戦を続けているようです。
今後も明るい未来に向かって大きく飛躍していく彼の姿を応援したいと思います。