高校生のときの話である。
おそらく2年か3年だったと思う。1年でなかったことだけは確かだ。
学校からの帰り道、その日はなぜか一人で自転車に乗っていた。
高校の前の道は田んぼの真ん中に新しく出来た一本道で、立派な歩道に自転車道までついている。
その自転車道を走っていると向こうからすごい音を立てて一台のパッソルが走ってくる。
パッソルとはヤマハのスクーターでこの時期のヤンキーはみんなパッソルに乗っていた。
乗り方にも流儀があったのかもしれない。
シートにどっしりと座るのではなく、前の方にちょこんと座る。
背筋をピンと伸ばし、レバーを握る手の方向は前ではなくて下におろす感じである。
そのとき見たパッソルの主もやはり流儀に従って乗っていた。
彼は中学の一年後輩だった。その学年でも1,2のワルだった。
中学生の頃、俺は不良ではなかったが、友人には不良も大勢いた。
そんな不良たちと一緒にいると、その後輩がやってきたことがあった。
不良の奴らは意外と礼儀正しい。
先生には牙を向くそいつらも先輩の不良たちにはきちんとした敬語を遣って話していた。
側にいた俺にまで敬語を使って話をするのである。
そんな彼とは2,3度口を聞いたことがあったかもしれない。
中学を卒業したあとどうなったのかは聞いていない。
きっと彼を見るのは2年ぶりくらいだったろう。
まだスクーターにはヘルメットも要らない時代だった。
彼は風が顔に当たって渋い顔をしたまま走り去って行った。
もちろん俺に気付くはずもない。
いや、俺のことなんて覚えていないかもしれない。
ただ、不良たちの行動パターンとして、出身校や、近くの高校の周りを走るのである。
彼もきっと特に意味もなく俺の高校の前を走ったのだろう。。。
特に気にもせずに数日が過ぎた。。。
たまたまある友人から話を聞いた。
「チョット前にKがバイクで事故って死んだらしい。」
Kとはそのパッソルに乗っていた後輩のことである。
しかも亡くなったのは俺の高校の前、どうやら俺が見かけたあの場所辺りらしい。
俺は思わず事故を起こした日時をしつこく確認した。
もしかしてあの時見かけたよりも前に事故ったのかもしれないと思ったからだ。
しかしそれは無かった。俺が見かけた数日後のことだったようだ。
その場所でというのは単なる偶然だったのだろうか??
大体俺とは何の縁もない彼である。
きっとあのパッソルであの時と同じ姿勢で事故ったのだろう。。。
まだ15か16のはずだ。
生きていれば今頃はきっといいおっさんになっていただろうに、、、
何故、彼は俺が見かけた、すぐあとにその場所で命を絶ったのだろう?
何故 昨夜、突然この出来事が俺の頭によみがえってきたのだろう??